• 『私、能力は平均値でって言ったよね!』アニメ化記念! 原作・FUNA先生インタビュー
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2019.10.07

『私、能力は平均値でって言ったよね!』アニメ化記念! 原作・FUNA先生インタビュー

(C)FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会

2019年10月7日(月)より放送&配信が開始される、アニメ『私、能力は平均値でって言ったよね!』、通称『のうきん』。原作は、小説投稿サイト『小説家になろう』にて2016年1月より連載が開始され、累計2億8000万PVを記録しているFUNA(著)・亜方逸樹(イラスト)によるライトノベルだ。今回、アニメ化を記念して、原作者のFUNA先生にお時間をいただき、アニメ化について、作品の世界観、そして先生のパーソナルな部分もちょっとだけお聞きしました。


ーー小説を書こうと思ったきっかけを教えてください。

FUNA 小学生の頃からの夢が、恒星間宇宙船の船長になることとSF作家になることでした。前者は、航空機の機長になるところまでしか行けず、大気圏を離脱することなく中途半端に終わりました。もう一方の夢については、趣味として、小説書きと小説投稿サイトへの投稿を始めたのですが、それがまさかこんなことになろうとは。夢をはるかに超えてしまいました。投稿小説を書き始めて4年弱、小説家としてデビューして3年と少々になりますが、読者さん達の平均年齢よりは少しばかり年上だと思います。人間、夢を追いかけるのに遅すぎるということはないと思っています。体力が必要なスポーツ選手と違い、小説家は、年を取って知識や経験が増えるほど、ネタや書きたいことが増えていくし、あらゆることが糧となります。例えば友人に誘われて、いい年になってから始めたサバイバルゲームや、往復4時間かけてのとんぼ返りで蕎麦を食べに行ったこと。コミケで売り子をやったこと。アマチュア無線も、小型船舶免許も、気象予報士資格も、全部、糧となりネタとなって、今の私を支えてくれています。閻魔さまのところへ行った時、「お前は、死ぬには年を取り過ぎている」と言って追い返される者はひとりもいないのと同じように、小説を書き始めるには年を取り過ぎている、と言う人はひとりもいないと思います。

ーー本作品のアニメ化が決まった時のご心境は?

FUNA 宝くじが当たるような感じで夢見たことはあったけど、まさか本当に、こんな日がやってこようとは……。実は目が覚めたら病院のベッドの中で、「先生、患者さんの意識が!」とか言われるんじゃないかと思いました(笑)。

ーーキャラクターを見たときや、実際の動画を観てのご心境は?

FUNA ……完璧の母(笑)! 夏くらいに動くマイル達を見たのですが、まるで自分の子供が初めて立ち上がって歩いたところを見た時のような感覚でした。いや、子供どころか、奥さんもいないんですけどね(笑)。キャラクター自体は、書籍のキャラクターデザインを踏襲していただいたので、イメージ通りで、絵も声も、全く違和感がありませんでした。


ーー太田雅彦監督、シリーズ構成・脚本のあおしまたかしさんとご相談されたことは?

FUNA アニメ製作が決まった後、制作スタジオでみなさんとお会いしました。その時に、私が希望することは全てお伝えしました。私がお伝えしたことは、次の通りです。小説とアニメは、媒体としての特性が違うので、原作を気にせず、自由に改変してもらって構いません。“小説『のうきん』”とは別の、独立した作品として、監督が作られた“アニメ『のうきん』”と言う作品を作っていただきたいです。ただ、「このキャラは、絶対にそんな言動をしない!」と言うことだけは避けていただきたいです。そして、それらすべてのお願いは、守っていただけました。なので、出来上がった作品には、とても満足しています。会議の途中で監督が、「それで、どこまでやっていいんでしょう? 思うようにやっていいなら、やっちゃいますよ? 本当にやっちゃいますよ?」とおっしゃいまして。私から監督に、「小説の中のネタ、何割くらいお分かりになりましたか?」と訊いたところ、「全部!」と。その瞬間「よろしくお願いします! 全て、お任せします!」とお願いしました。そして結果がどうなったかは、アニメを観ていただければお分りいただけるかと思います。

ーーアフレコに行かれたそうですが、和氣さん、徳井さんはじめ声優さんの演技を生でお聞きになっていかがでしたか?

FUNA 1話と最終話のアフレコを見させていただいて、もう「すごい!」のひと言です。止め画の映像に合わせて、台詞の入りや終わりがぴったりで、あんなの、普通の者にはタイミングが合わせられずにNG連発ですよ! それが、明らかなミスによるNGは2~3回あるかどうかで、サクサクと進んでいました。音響監督からの指導も、一発で要求通りになるんです。こちらから見ると、あんな抽象的な指示で、どうしてわかるんだ! って感じで……。声の質も感情移入もバッチリで、ほんと、プロってすごいなぁ、と驚きました。

ーーその他アニメ化にあたり、FUNA先生が関わられたことは?

FUNA 最初に会議で、方針やお願い、共通認識の擦り合わせなどを行なった他には、キャラ設定やシナリオ、絵コンテ、脚本、キャラクターデザイン等を全て送っていただき、気になる点や、修正してほしいところをメールでお願いしました。他の原作者の方の中には、頻繁に制作現場に足を運んだり、色々と細かく打ち合わせをされる方もおられるそうですが、私は「餅は餅屋」という方針でして、メディアの特性が異なる小説の書き手が、畑違いのメディアのことに余計な口を出しても良い結果にならないだろうと思って、アニメの専門家であるスタッフの方々、そして全てをお任せした監督たちに自由に作っていただくべく、あまり口出しはしないようにしていました。『私、能力は平均値でって言ったよね!』という名の小説のアニメ化をしていただくのではなく、『私、能力は平均値でって言ったよね!』という名のアニメを新たに創っていただきたい、と思いまして。だからと言って私には責任がない、ということではなくて、全て私が納得してOKを出しています。

文/阿部雄一郎

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