• ルパン最新作『峰不二子の嘘』の脚本・高橋悠也氏インタビュー【後編】
  • ルパン最新作『峰不二子の嘘』の脚本・高橋悠也氏インタビュー【後編】
2019.06.06

ルパン最新作『峰不二子の嘘』の脚本・高橋悠也氏インタビュー【後編】

脚本を手掛けた、高橋悠也さん



彼らは決してヒーローではない。それはルパン三世のピカレスクロマンといわれる魅力の一つ

――『ルパン三世』という大いなるマンネリの中で、新しいものを生み出すというのはかなりのパワーがいると思うのですが、毎回敵もルパン達も魅力ですごく面白いです。

高橋 新しいかどうかは、僕も仕上がってみてないとわかんなかったり、後はもう本当に小池監督のセンスっていうのがあるんで。シナリオ上で出来ることも限られてはいて、画力っていうか演出的なお芝居で新しく見えてる部分とか、音楽もそうですし、総合的にあると思うんです。

シナリオ面においては……ホントに自分が見たことないルパンっていうものを探すっていうことに尽きるとは思うんです。でもストーリーから考えるっていうのはどうしてもね、自由すぎるが故に手詰まるというか。不二子==……という風に何かモチーフから考えていく、シチュエーションが決まってこういう場所に不二子がいたら何か面白い、みたいな。ストーリーはどうにでもなるさと。言葉にするとアレですけど(笑)、それは後から付いてこれるものなので。

何かね、ルパンを書くときはそういう面白さがあるんですよね。だからイタリア・ルパン(『ルパン三世(PART4)』)の時もそうだったんですけど、ヴェネツィア映画祭がイタリアにあるよなって思ったとき、そういうシチュエーションにルパンたちが置かれるエピソードを見てみたいと思ってゾンビの話を書いたりとか(「ヴェニス・オブ・ザ・デッド)。

そういう意味では石井さんの発想に何か近いのかもしれないです。ストーリーより先にチュエーションとか状況に彼らを放り込んでみるっていう。で、ちょっと面白くない、見たことあるなと思ったら止めて。いろんな所に置いてみて、あっここは新しいなと思ったらストーリーが浮かぶっていう。ルパンの場合は、何かそういう感じかもしれないですね。

——原作のモンキー・パンチ先生のハードボイルドさやコメディな感じ、ルパンと次元、仲間同士の関係がドライだけどカッコイイ感じがたまりません。

高橋 それは本当に、ルパンってそうであってほしいなっていうところがあって。

2シリーズから始まるファミリー向けルパン(『ルパン三世』1977-1980年放送)もね、国民に愛されている非常に魅力的な関係性だと思うんですけど、もう一個ダークでビジネスパートナーなヒリヒリしている関係性っていうのもある。

彼らは決していわゆるヒーローではなく、ヒーローでもあるんですが、ワルっていうか、人を救うために生きてる人たちじゃないっていうところを表現したい。それはルパン三世のね、ピカレスクロマンといわれる魅力の一つでもあると思うんで。

コメディでも、ちょっとブラックジョークに近いシニカルな口調っていうか、それは僕がシナリオを書く上で出来ることとして拘ってやっている事かもしれないですね。小池監督が小道具とか効果音とか含めて、すごい拘って作られる方っていうのがわかったので、あんまりファンタジックなものになりすぎないようにしていくっていうことも意識しつつ、ただそれだけだと面白くないので、リアリズムという制約の中で出来る最大限のファンタジーというか、そこは意識して頑張ってみたつもりです。