「君という仮説」のこと
――まったくやったことがなかったら、ボイトレとかも大変だったんじゃないかと思うんですが。
中川 ボイトレは広いスタジオに先生と2人で…もうずっと泣いてました。人前で声を出すこととかなかったですから、ぜんぜんできなくて。
――そこで「君という仮説」を歌おうと決めたんですよね。
中川 そうなんです! なにか1曲、完ぺきに歌えるようになろうと先生に言っていただいて、それで自分で「君という仮説」に決めました。
――どうして「君という仮説」を選んだんですか?
中川 私、佐保さん(アップアップガールズ(仮)の佐保明梨)が好きなんですよ。ソロライブを観た時に歌われていて、「君という仮説」の佐保さんの歌声が好きで。私もそうなりたいという、憧れが強いですね。
――でも、かなり難しい曲ですよね。
中川 そうだったんですよ。ぜんぜん歌えなくて。先生から、1音1音直してもらって。もう、ピアノの音を聴くのも嫌になったりもしましたね。
――でもそれをやりきって、歌いましたよね。去年の8月、実力診断テストで。
中川 もう、この曲を歌うしかないと…ソロでステージで歌うのって初めてだったんですよね。すんごい緊張してたのは覚えてるんですけど、それ以外はぜんぜん覚えてないです(笑)。あ、お客さんが全員自分を見てる、と思ったのは覚えてます。「わ〜、すごい見られてる、怖い!」みたいになっちゃって。
――それで、真っ白になっちゃって、歌えなかったんですね。あのときのことは、鮮明に覚えています。
中川 最初のフレーズでつまっちゃったんですよね。それでAメロが歌えなくて、Bメロからやっと歌えて。
――でもちゃんとサビの前に「サイリウム振って下さい」みたいなアオリもやってましたよね。
中川 もうそれはやろうと決めていたんで。
――歌い終わった後は号泣していましたね。
中川 歌ってる間は、絶対に泣かないと決めてましたから。先生から、歌う子は絶対に泣いちゃだめと言われていたんです。だから、歌い終わってから泣きました。
――でもあの日、ファンが増えたと思うんですよ!
中川 あの日のステージのことはあんまり覚えていないんですけれども、そのあとの特典会で、チェキを撮影してくださる方がすっごく多かったのは覚えてます! 人生であんなにチェキ撮るのはもうないんじゃないかというくらい(笑)。ファンのみなさんみんな「ちーこちゃん、よかったよ!」って、チェキ撮ってくれて。
――ファンのみなさんは、優しいですね〜。
中川 優しすぎます! いやー、ひと夏の思い出ですね。
――あの時は、正直ほーちゃんのほうが注目されていたじゃないですか。
中川 はい! ほーちゃん、かわいいって話題になってましたね。
――でもあそこで、歌えなくて、終わって泣いて、ネガティブに自分はアイドルに向いてないとか語り始めて。
中川 ちーこちゃん、あんな一面もあるんだって、言われました。
――ちーこちゃんの性格というか、中身というか、まだぜんぜん知られてなかったですからね。どういう子なのか、ファンもまだ見えてなかった。それがあそこで、垣間見えた。
中川 あんなでしたけど、自分を出せたんじゃないかなって、今は思います。
――すごく真面目な部分が、みんなに伝わったと思います。
中川 いやあ、なんか、アイドルっておもしろいですね。
――それで、赤坂単独でソロコーナーがあると発表があって、ちーこちゃんは絶対に「君という仮説」やるだろうなと、ファンはみんな思っていましたよ。
中川 もう次にソロをやるなら絶対「君という仮説」と決めてました。赤坂のソロは緊張もあったんですけど、お客さんがみんな泣きそうな顔で、客席を見られなかったですね。もう見たら泣いちゃいそうで。
――ちゃんと歌えるかもう心配で、お客さんも緊張してましたね。それで、ちゃんと歌い切って、ホッとしました。
中川 最後「ありがと!」って。メンバーにもマネされました「ありがと!」。あとは最初「こんにちーこ!」って初めて言ったんですよ。ブログでのあいさつで、もともと口に出す言葉じゃなかったんですけど、せっかくだから言ってみようかなって。あのあとはメンバーから「こんにちーこ!」もイジられましたね。