• 「夏のホラー秘宝まつり 2019」に小中兄弟最新作が!中丸シオン&高橋真悠&和哉監督に直撃!
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2019.09.03

「夏のホラー秘宝まつり 2019」に小中兄弟最新作が!中丸シオン&高橋真悠&和哉監督に直撃!

『VAMP』(2019/日本/86分 R15)

キングレコード主催の映画祭「ホラー秘宝まつり」が今年6回目を迎える。そこで「夏のホラー秘宝まつり2019」では8月23日(金)〜9月5日(木)の期間、キネカ大森(東京)、シネマスコーレ(名古屋)、シアターセブン(大阪)の3都市で同時開催(※名古屋と大阪は8月24日から)。さらにオープニング上映に小中兄弟による最新作『VAMP』(監督:小中和哉/原作・脚本:小中千昭)が披露され、現在公開中だ。

平成ウルトラマンシリーズでおなじみ、脚本の小中千昭さんと、監督の小中和哉さんによる久々の兄弟タッグ最新作となる『VAMP』では、『ウルトラマンネクサス』でヒロイン・斎田リコ役を演じた中丸シオンさんをはじめ、堀内正美さん、木之元亮さん、故・石田信之さん、大浦龍宇一さん、北岡龍貴さんら小中和哉監督と縁の深い俳優陣が勢ぞろい。
父親から虐待を受け続ける女子高生・「美以那」を高橋真悠さんが演じ、生きる希望を失い自暴自棄に陥った彼女の前に現われる謎の美女・「苓」を中丸シオンさんが演じる。自らを“ヘマトフィリア(血液耽溺者)”と呼び、“生きるに値しない”男たちを殺し血をすする「苓」が、傷ついた「美以那」を導いていく。そんな二人の前に美しきヴァンパイアの影が……。
そこで本作で魅惑のWヒロインを演じられた中丸シオンさんと高橋真悠さん、監督の小中和哉さんに、リアルと幻想が交錯する『VAMP』についてお話を伺った。

ーー今回どういった経緯でスタートしたんでしょうか。

小中和哉(以下:小中) これは兄弟(兄:小中千昭)での持ち込み企画なんですが、久々に兄貴とホラー映画の企画を一緒にやろうと。キングレコードの山口(幸彦)さんというホラー好きのプロデューサーがいるので持っていこうというところから始まりました。

ーーそこで「第6回 夏のホラー秘宝まつり2019」にと?

小中 いやそれはまだなくて。もともと僕は日本ビクターで『四月怪談』(1988年公開)を撮ったり、その後ポニーキャニオンで『くまちゃん』(1993年公開)を兄貴と撮ったり、ビデオ会社が映画をオリジナルで作る時代にデビューしたので、自主企画をビデオ会社に持ち込むことが多かったんですよね。当時、映画会社はやはり敷居が高くて、ビデオ会社のほうが小規模なオリジナル映画をやるにはやりやすかった。
それでVシネ(ビデオシネマ)がだいぶ壊滅状態のこのご時世の中、キングレコードはまだそういう映画に出資し続けている会社で、特にホラーのジャンルでは山口さんというプロデューサーがずっと『新耳袋』シリーズとかその他ホラー作品をたくさん作ってらっしゃるので、山口さんに何かホラー企画をもっていこうということになったんです。

ーーその時点でヒロインは決まってたんですか。

小中 その時点ではまだ未定です。ただ女性ヒロインでやろうというのは決まってました。話の基になった短編があって、それは兄貴が書いた『吸血鬼アンソロジー』に入ってる1本で、女性吸血鬼のショートショートなんです。これを基にやろうというアイデアが兄貴からあって、じゃあどうやったらいいかねっていうのが最初のストーリーの起点です。

ーーでは千昭さんのほうからヴァンパイアでという。

小中 僕からは別にヴァンパイアって言ってないですね。ホラー企画を何かやろうっていうところで兄貴が持ってきたのがその小説だった。

ーー中丸シオンさんと高橋真悠さんにはいつ頃オファーをされたんですか、それともオーディションでしたか?

小中 2年前ぐらいにキャスティングだったんです。『VAMP』のホン(脚本)ができて、それから具体的なキャスティング候補が出てきて、まずは中丸さんに声をかけました。

ーーその他のキャスティングも小中さんご兄弟で決めていかれたんですか。

小中 基本、僕です。当て書き的なことはないんですが、脚本ができ上がってまず「苓」っていう主人公と、ある種視点となって物語を引っ張っていく「美以那」というキャラクター、この2人が一番重要だった。
中丸さんは『ウルトラマンネクサス』からずっと見てきていて、お芝居ができるのがわかっていたのでお願いしました。
高橋さんはNHKの『ファミリーヒストリー』でオノ・ヨーコさんの再現ドラマを僕が演出した回がありまして、そこで初めてお会いしました。でもその前に『西の魔女が死んだ』(2008年)という映画を観ていて、その時の中学生が今こうなっているんだっていうことを現場で知って、その時企画していた『VAMP』にも合うかなと思ってお願いしました。
その他のキャスティングも結構ウルトラマン経験者が多いんですが、僕が今までお付き合いしてきた役者さんの中でこの役を一番うまくやってくれるのは誰かなという視点で候補を出して、皆さんに集まっていただいたという感じですね。

ーー中丸さんと高橋さんが初めてシナリオを読まれた時の印象を教えてください。

高橋真悠(以下:高橋) まず最初に監督からお話を頂いた時、本当にものすごく嬉しくて。自分が映画に出演することができる、参加することができる、という個人的な思いが先行しちゃって、一番最初にシナリオを読んだ時は全然客観的に読めなくて、嬉しい嬉しいという思いしかなかったんです。
でも何日か経って冷静になって読んでみた時、初めて美以那という役を演じるという視点から読めました。ですから美以那からになりますが、ものすごく苦しい部分が精神的にも場面的にもたくさんあって、そういう中にも人間らしいところがたくさんあるというか、リアルな心がたくさんあるので、そこは、すごく私は好きだなと思いました。

中丸シオン(以下:中丸) 私は初めて本を拝見した時に、すごく衝撃的だったので、本当に驚きました。容赦がない脚本というか、結構描写も激しいですし、このような作品を小中監督はどのように描かれるんだろうという気持ちでいました。
実は十代で仕事を始めた頃からドラキュラだったり、ホラーものには興味があったので、監督のおかげでヴァンパイア映画に出演できるのはすごく嬉しかったです。

ーーちなみに皆さんの思うドラキュラ像というか、最初のドラキュラ作品は何でしょうか。

小中 やっぱりハマー・フィルムのドラキュラシリーズ、ドラキュラを演じたクリストファー・リーですかね。映画を観始めた頃に観ました。あとは『血を吸う薔薇』(1974年)ですね。和製ドラキュラとしては岸田森さん。『もんもんドラエティ』(1981〜1982年テレビ東京で放送)っていうバラエティ番組内で、手塚眞さんが短編のショートショートをやったんですが、バラエティ部分はドラキュラ一家(もんもん家)の話で、岸田森さんがドラキュラ役を演じていて、手塚眞さんの短編に僕も出演していたので岸田森ドラキュラとは間接的な共演ができたっていう。そういうのがわりと学生時代の体験としてはあります。

高橋 私は本当に全然観たことがないから。

中丸 ホラーが苦手なんだよね(笑)。

高橋 はい(笑)。そういうジャンルが苦手で。怖いのが苦手なので自ら観ようと思って観たものはないんです。だから私が一番最初に観たのは、この作品をやるとなったときに、監督から『ぼくのエリ 200歳の少女』(2010年日本公開)を観て欲しいと言われて観た時です。それが私の初めてのヴァンパイアでした。

小中 兄貴からヴァンパイアネタがきたとき、僕が一番やりたいヴァンパイア映画に近かったのが『ぼくのエリ』だと思ったので、それは企画の最初の段階でイメージとしてありました。

高橋 すごく美しい映画で面白かったです。

中丸 リメイク版のもありましたが、やっぱり最初のが面白かったですね。

文/村北恵子

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