——もう十数年チームとして演じてこられているということで、今回もスムーズに現場に入られましたか?森田 別に特別な感じもなく、スッと入れましたね。今回はアンドロメダ瞬として佐藤聡美が入ってきました。僕と同じ事務所の後輩なんですが、現場でこんなに長い時間一緒にいるのは初めてなんですよ。『聖闘士星矢』ではガヤとかでも確か一度も来ていないはずです。世代的にもかなり下になるのでどうなるかなと思っていたんですが、見事に堂々と演技してすぐに現場に慣れたので良かったなと思います。僕がとにかくバンバンアドリブを入れるので、それに驚くかなと思ったらすぐに対応してきましたし。チームとしてはすぐに出来上がった感じですね。
——佐藤聡美さんが入られて変わった部分はありますか?折笠 何も変わってないですね(笑)。そんなに意識はしてないというか。
森田 関係性は変わってないもんね。
折笠 瞬は瞬だな、っていう感じで。
——確かにそうですね。瞬が女性になるということですごく話題になりましたけど、実際に観ると自然にとけ込んでいますね。森田 別にアテナと瞬が女子トークをするわけでもないですしね。
折笠 仲間として馴染んでいますね。
——今回脚本はアメリカで書かれていて、原作漫画とも最初のアニメシリーズとも違う展開で、物語がすごく整理されている印象を受けました。そのあたりは演じながらどのように捉えていらっしゃいました?森田 目立つところでいうと今回はヴァンダー・グラードっていう人間が出てきます。元々グラード財団っていうものが原作にあって、このグラードってじゃあ何なんだろうと。実は原作で語られていなかった部分で、今回はそういうところも補完していこうというのもどうもあったらしくて、かなり根を詰めて脚本作りが行われたみたいですね。ほかにも6話までだと暗黒聖闘士(ブラックセイント)にもいろいろな意味が込められているので、そのあたりを読み解いて頂けるといいのかなと思います。ただ単に原作から外れてオリジナリティを出したのではなくて、原作の中から抽出した要素をさらに掘り下げるということを新しい『聖闘士星矢』でできたのではないかと思います。
——キャラクターとしてこれまでお二人が演じてこられた星矢/アテナと、今回の星矢/アテナではどういうところが変わったのか、あるいは変わっていない部分は?折笠 変わらないのは小宇宙(コスモ)ですよね、みんな。小宇宙は不変です(笑)。原作寄りだと沙織というかアテナってわりと俯瞰でみんなを見ている感じだったのが、今回はぐっと星矢の横にいるというか。みんなと目線が一緒なんだけど、時々女神モードになるという感じですね。
森田 演技に関して言うとほぼ変えてはいないんです。ただ、今回の星矢は、少し幼い顔つきに表現されているので、そこに合わせるようにしました。背景もアメリカのストリートみたいになっているので、今までやっていた「聖闘士」としての星矢というよりも、「普通」の星矢、そのへんにいる少年としての感じを強く残した演技にしています。ちょっとやんちゃ度が増しているというか、戦い方も一気呵成に行く、爆発力でドンドン押していく思いつきで戦っているような形で、バトルシーンは今までよりも大変でした。これをやる前に『冥王ハーデス冥界編』を観返したんですけど、そこまで「ペガサス流星拳」は張って言ってないんですよね。今回はすごく張って言ってるんですよ。
——そこはぜひ皆さん見比べて、というか聞き比べてほしいですね!森田 明らかな違いがありますよ(笑)。今回アテナが近くにいるっていうのは、チームの中に一緒にいる感じですごく好きですね。これまでいつもアテナって遠く離れたところにいたので。