• ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズの生みの親が完結した今だからこそ明かす制作秘話!
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2019.10.15

ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズの生みの親が完結した今だからこそ明かす制作秘話!

『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章では、ジョン・スノウ(左)とデナーリス・ターガリエン(右)を中心に様々なキャラクターたちの運命が物語の終着点へと向かっていく。

2011年に放送を開始した『ゲーム・オブ・スローンズ』は、アメリカの作家、ジョージ・R・R・マーティンの大ベストセラーファンタジー小説『氷と炎の歌』シリーズを原作に、HBO制作でドラマ化したシリーズ。その圧倒的なスケールと膨大な登場人物が織りなす人間関係、複数のストーリーラインが絡み合う複雑でありつつも豊潤な物語など、様々な要素が全世界の視聴者を魅了し、そしてついに2019年5月から放送された第8シーズン「最終章」にて全73話の物語が大団円を迎えた。最終章のブルーレイ&DVDのレンタルは10月2日(水)より開始されており、セルブルーレイ&DVDも12月4日(水)に発売される。
本作の企画者で全編を通じて製作総指揮、共同脚本も務めたデイヴィッド・ベニオフとD.B.ワイスが来日し、合同取材が行われた。シリーズを知り尽くす“生みの親”とも言える二人だけに、最終章を含めたシリーズ全体を俯瞰して、これから最終章を観るという人、すでに観たという人、そのどちらにとっても興味深い内容を存分に語ってくれた。



——物語の結末は最初から思い描いていたものだったんですか?

ワイス だいぶ昔の話で記憶が曖昧な部分もあるんですが、大まかなアウトラインが固まったのは第二章をやっていた頃ですね。話が進んでいくにつれてディテールを描き込んでいくようになりました。実際にどうなるかは脚本を書き始めないとわからないので、そこは書きながら進めていったわけですけど、特に第四章から第六章などは結末がこうなる、ということを見据えて作っていきました。
▲ジョン・スノウ(演:キット・ハリントン)とは違った道を歩んだアリア・スターク(演:メイジー・ウィリアムズ)もまた物語の中核を担ったキャラクターだ

——物語を作る上で役割分担はどういった形なのですか?

ワイス まず各シーズンごとの大まかなストーリーラインを固めて、それを基に各エピソードの結構長めのサマリーをまとめます。そして僕らを含めた脚本を手掛けている4人くらいのチームで、最終章ではデイヴ・ヒルとブライアン・コグマンとの共同作業だったわけですが、エピソードごとのアウトラインをそれぞれに割り振っていきます。また、場合によっては「僕はあのエピソードの前半をやりたいけど君はどのエピソードのどこをやりたい?」といった住み分けの仕方もします。そうして出来上がったものをお互いに渡して推敲を重ねてリライトしていきます。そうしていくと、最終的には誰がどこを書いたかというのがわからなくなったりもするんですね。そういった形なので、自分が書いたものにそんなにこだわりはなくて、いい意味でエゴが排除されていく方法だと思います。

——お二人がストーリーテラーとしてこだわっているところは何ですか?

ベニオフ 最終章でピーター・ディンクレイジが演じるティリオン・ラニスターが語ったように、まさに僕ら自身が「物語は人々をひとつにしてくれるものだ」と信じています。また、物書きとしては「観ている人を飽きさせてはいけない」というのが最初のルールなのではないかと思います。僕らが子どもの頃のアメリカには、CBS、NBC、ABCと3チャンネルしかテレビはありませんでした。たとえあまり質がよくなかったとしても、それしか観るものがなければそれを観ていました。でも今は、いつでもどこでも数百もの番組を観ることができます。その中で飽きられてしまったら、ということはもちろん考えます。
▲左がティリオン・ラニスター(演:ピーター・ディンクレイジ)。右は愛憎相半ばするその兄、ジェイミー・ラニスター(演:ニコライ・コスター=ワルドー)

また、物語を綴る上では、皆さんの多くと同じように、やっぱりキャラクターに思い入れます。キャラクターに思い入れを持ってもらえれば、そのキャラクターがどこへ向かっていってもきっと視聴者は付いてきてくれると思うんですよね。時にはそれで辛い思いをしてしまうこともあるかもしれないですが(笑)。『ゲーム・オブ・スローンズ』が恵まれていたと思うのは、73時間という長い時間を掛けてじっくりとキャラクターの道のりが描けたことです。また、ひとりではなくたくさんのキャラクターの群像劇が描けたこと、素晴らしいキャストたちがキャラクターを見事に表現してくれたこともそうです。そうしたキャラクターの道のりにしっかりと付いていくこと、その内にあるものに忠実であることを大切にしています。

だから、物語の中でキャラクターがこうあるべきだと思っているときに、怖いなと感じることもあります。心から愛しているキャラクターなのにこんな展開で大丈夫なのかな、と。でも、キャラクターを愛していれば自然とその道のりは見えてきますし、それを信じなければいけないと思います。ルールをたくさん作りすぎてしまうと結局は破ることになるので、あまりルールを作って縛らずに、シンプルに「キャラクターを愛する」ということですね。

文/小田サトシ