• 怪獣愛が繋ぐ「熱海怪獣映画祭」の「全国自主怪獣映画選手権【熱海傑作選】」レポート
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2019.11.27

怪獣愛が繋ぐ「熱海怪獣映画祭」の「全国自主怪獣映画選手権【熱海傑作選】」レポート

開田裕治氏によるイラストを使用した「第2回 熱海怪獣映画祭」メインビジュアル

「熱海を怪獣の聖地に」を合い言葉に、熱海市民有志が立ち上げた「怪獣」に特化した映画祭、「熱海怪獣映画祭」の第2回が11月22日(金)からの3日間開催された。

11月23日(土)に行われた、子ども向け企画の『ウルトラマン』第11話「宇宙から来た暴れん坊」(1966年舗装/円谷プロ)と『猫企画』(2018年/監督:粟津順)上映、「怪獣」をテーマに子どもたちが参加したお絵かきコンクールの表彰式、熱海市民有志によって制作された熱海のご当地ヒーロー「ラインアスロック」ショー、「全国自主怪獣映画選手権【熱海傑作選】」に参加してきたので、ここでは「全国自主怪獣映画選手権【熱海傑作選】」の模様をお届けする。そのほかのイベントに関しては別途記事を公開しているので併せてご覧あれ!

「全国自主怪獣映画選手権」とは、『THE NEXT GENERATION-パトレイバー-』の監督や『ウルトラマンX』『ウルトラマンオーブ』のメイン監督でおなじみ、田口清隆監督が主催のイベントで2014年から開催されている。まだ田口監督がウルトラマンの監督をやる前に「米子映画事変」のイベントで持ち時間5時間をもらい、困っていたときにツイッターで“怪獣映画を作っている人”を呼びかけたことが事の始まりだそうだ。

そこで今回はここ2年ぐらいの中から集めた傑作選を上映。田口監督いわく「ピンの中のピンを集めました!」ということで、自身の自主制作作品(+1本出資作も)含め6本を上映し、田口監督による各作品と制作者紹介も行われた。


まず最初に上映された『機械忍者 完全版』(2018年/15分)は、監督・脚本:黒川陽平(Y1)、撮影:黒川祥宏(Y2)、黒川泰明(Y3)という3兄弟+お母さんという主に兄弟で制作された作品。田口監督が「米子事変」でイベントをした際、当時小6・小4・小2の3兄弟が見に来ていて、監督の自主制作作品『大怪獣映画G』をあげたら、翌年自分たちで作って持ってきたんだそうだ。ちなみに本作は当時から6年経って作られた作品とのこと。そうなると田口監督に渡したという記念すべき1作目も見てみたくなる。ちなみに黒川陽平氏は現在19歳。「Yプロジェクト」名義でYouTubeにて過去作を公開している。


2本目は井上森人(1993年生)監督・脚本による『無明長夜の首無しの怪獣』(2018年/30分)。本作は2018年の「全国自主怪獣映画選手権」優秀賞作品でもある。井上森人氏は武蔵野美術大学の特撮サークル「ビビッドマン製作委員会」の初代代表で、当日会場に来ていたのでご本人も登壇し、作品について話してくれた。制作当時サークルのOBだったので後輩達に手伝ってもらったり、武蔵美にあるミニチュアを使わせてもらったことを披露。また当時の心境もありエキセントリックな作品になったことなども明かした。現在はコントのシナリオなども書いているとのこと。武蔵美の特撮チームについては田口監督も「関東圏で一番勢いのある特撮集団」と評していた。こちらもYouTubeでて見ることが可能だ。


3本目は、田中まもる(1971年生)制作による『ドラゴンザウラー バトルゾーン』(2018 年/3分)。田口監督いわく「お酒を飲みながら永遠に見ていられる作品」「なぜか最後には号泣してる」とのこと。2階の部屋でのみ撮った作品で、当日は法事で来られず、お詫びとしてメイキング映像も流れた。全て一人で制作している過程も面白いのでぜひ! 「田中安全プロレス大放送!」名義でYouTubeで見られる。


4本目は「親子」をテーマにした『ビビッドマンV(ブイ)』(2018年/18分)(+メイキング5分)。武蔵野美術大学の特撮サークル「ビビッドマン製作委員会」は毎年違う監督が『ビビッドマン』を制作するそうで、昨年は初のW女性監督で塩月彩矢(1998年生)と與儀沙仁扇(1999年生)が監督・脚本・編集を担当。ちなみにクレジットとメイキング映像にウルトラマンのスーツクターでおなじみ岩田栄慶氏が登場し場内が沸く場面も! 田口監督の撮影現場に塩月さんが手伝いに行ったことがキッカケで、岩田さんが殺陣師として協力してくれたそうだ。田口監督いわく「怪獣デザインがいつもイイ!」とのこと。

最後に田口監督の自主制作作品『女兵器701(ジョヘイキセブンオーワン)』(2017年/5分)と、初出資作品であり現在YouTubeで配信されている『UNFIX』の
特別編集版(2018年/20分) を上映。
『女兵器701』では『ウルトラマンオーブ』ジャグラス・ジャグラーを演じた青柳尊哉さんや『ウルトラマンX』高田ルイ役の百川晴香さんらが出演。
『UNFIX 特別編集版』は、「今年ある人に自主映画を撮ろう」と言われ、「ユーチューバーになりました!」と田口監督。会場には出資者でありプロデューサーの加藤君枝氏も来場し、映画を撮りたいという思いから撮れる方にお願いしたとシンプルな強い思いを明かした。こちらも青柳尊哉さん、『ウルトラマンオーブ』松戸シン役のねりお弘晃さんなどが出演している。
『UNFIX』は2019年より毎月1本、YouTubeで配信されており、本作は1話・6話・7話の総集編となっていた。12月1日には最新話11話が配信されるそうなので、未見の方はお見逃しなく!


最後に、TVシリーズ『うる星やつら』や『機動警察パトレイバー』、平成ガメラシリーズの生みの親であり多数脚本を手掛けている、熱海市在住の脚本家で本イベントのスーパーバイザーでもある伊藤和典氏より、「自主制作映画は自由でいいなぁと」「楽しかったです」と本当に楽しそうに感想を言った後、「運営側より報告があります。第3回が決定しました」との発表も! さらにその場で田口監督に来年のオファーをする伊藤さん。もちろん即答され「全国自主怪獣映画選手権」の開催も決定した。今年来れなかった方は、ぜひ来年参加して思う存分「熱海怪獣映画祭」を楽しんでみてほしい。

文/村北恵子

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