• 『絶望の怪物』は、観る前より観た後に、気になるアニメ
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2019.12.13

『絶望の怪物』は、観る前より観た後に、気になるアニメ

『絶望の怪物』 (C)JUNYA KOTANI 2019

劇場版アニメ『絶望の怪物』は、観る前よりも、観た後の方が気になる作品だと感じた。

2016年から3年の歳月をかけて、たったひとりで作った30分の自主制作アニメ『絶望の怪物』は、2019年6月に大須シネマ、7月に下北沢トリウッドで上映され、2019年12月から東京、大阪、名古屋で再び上映される。最短で12月14日(土)から大阪で上映開始。

たったひとりでアニメを制作した話や、観た後に作品のことが気になる理由などをコタニジュンヤ監督にお聞きした。

最後に12月からの上映情報も掲載しているので、気になる方はぜひ劇場でご覧ください。

――劇場上映にこだわった理由は?
コタニ 5分程度の作品であれば動画投稿サイトでの公開も考えたと思いますが、はじめから30分のアニメ作品にしようと決めていたので劇場での上映を考えていました。

――上映までの経緯を教えてください。
コタニ 映画祭で賞を取ってから劇場上映の流れを考えていたので、音楽もモノラルで作りました。映画祭には、いまでもエントリーしているのですが、なかなか上手く賞が取れなくて(苦笑)。自分で劇場や各所に連絡をしながら交渉を行い、いくつかの劇場で上映していただけることになりました。

――アニメを作ろうと思ったきっかけは?
コタニ マンガ家を目指してまして、いくつか賞もいただいてデビューもしたのですが、なかなか上手くいかなくて。そんな中、出版社からの帰り道に、ふとアニメを作ろうと思ったんです。

――マンガよりアニメを作る方が大変では?
コタニ 将来的にアニメは作るだろうと思っていまして、順序としてはマンガで有名になってからアニメに進む予定でしたが、いまがアニメを作る時だと感じたのです。インディーズも増えてきましたし、挑戦するタイミングは一番良かったと思います。

――はじめに行動したことは?
コタニ 電車の中で詩を書いたんです。それが物語の構成の基になりました。実は、その詩がエンディング曲「星の終わり」の1番なんです。

――詩から、どのように物語に?
コタニ 詩は個人の感情なので、どんな視点から見られても成立するように社会性などを入れながら物語を組み立てていきました。

――詩から、そのままエンディング曲に?
コタニ 音楽全般をお願いしていたAKIKOさんに、作曲もお願いしました。言葉のフレーズが長かったので「短くできますか?」と聞かれたのですが、そのままでお願いしたので大変だったと思います。作中の音楽含めAKIKOさんがSteinwayのピアノで音を作ってくれたので、インディーズアニメの中でも最高にいい音響になっていると思います。

――ひとりでアニメを作っていると、心が折れたりしませんでしたか?
コタニ マンガを描き始めたころは、なかなか完成させることができなくて、完成までのハードルは高かったんですが、一度完成させてしまうと、その後もマンガを完成させることができるんです。アニメは時間がかかるだろうけど、その経験から、いつか必ず完成させるだろうと当たり前のように考えてました。他にやりたいことがなかったというのはありますが、完成させないという選択肢は思いつかなかったです。

――ひとりで作ることのメリットとデメリットは?
コタニ マンガをひとりで作っていたので、そのスタンスで作り始めました。作業的なメリットは設定資料などを作らなくていいので関節的な作業が少なくて済みます。揉めることもありませんが、逆に喜びを分かち合えたりできないことがデメリットだと思います。

――苦労した点は?
コタニ 制作でいうと、思うように絵が動かなくて、アニメとしての動かし方が良くわからず、描き直しを繰り返していた頃ですね。それと、作り終わってからも大変でした。楽観的に完成させれば見てもらえると思っていたのですが、試写会をやっても人を集めるのは大変だし、賞を取るのも難しい。自分で映画館に交渉をしていますが、なかなか厳しいですね(苦笑)

――これから『絶望の怪物』を観る方にメッセージを
コタニ この作品は絶望をテーマにしていますが、その中から希望を見つけてほしいです。この作品を観た人は、何かを作りたくなるそうです。そういうことを言ってくれる方が多かったので、同じように感じていただけると嬉しいです。
それと、作品が完成した時点ではなく、みなさんに映画館で観ていただくことで、この作品は映画になり、僕は監督になります。ぜひ映画館でご覧ください。

――最後に流れるエンディング曲「星の終わり」は、物語のもとになったコタニジュンヤ監督からのメッセージで、30分間の中で語られた物語と、語られていない物語を感じることができる。その語られていない物語が歌として広がり、主人公たちの気持ちと重なることで、観た後に気になるのかもしれない。なお、作品についても質問してみたのだが「作品については観た人の受け取り方なのでノーコメントで」とのこと、それぞれの受け取り方で観てほしい――



櫻井靖之