──最近はデジタル原型も多いですが、今回は原型師さんが一から手原型で再現しています。
小川 実は僕自身、3Dプリンタで結構立体を作るんですよ。それはスキャンをきっちりしたら、簡単にできるんですけど、当時のカクレンジャー本人をスキャンしているわけじゃないじゃないですか? だから「どうやって作ったのかなぁ?」と不思議に思っていて。ちょっと原型師さんに弟子入りしたいくらいです。
土田 じゃあ、弟子入りしなさい(笑)。
小川 このホワイトのお尻の出かたとか、体重を微妙に右足にかけてるところもすごく。村上利恵さん(スーツアクター/ニンジャホワイト役)、そのまんまなんだよなぁ。しかも、前姿は写真が残っているでしょうけど、後姿なんて、あまりないじゃないですか?
──後姿などは当時の映像を観ながら、再現させて頂きました。
小川 きっと原型師さんはだいぶ泣かされたんでしょうね。「喜多川さん(スーツアクター/ニンジャブラック役)はこんなんじゃない!」とか(笑)。
土田 クマード(ニンジャイエロー)、すごいよね? (足の)接地面、めっちゃめちゃ小さいじゃないですか?
小川 自分で作るからわかるけど、普通は絶対に立たないんですよ。でも、これは「ポーズしてるのに何で?」って思うくらい、しっかりと立つ!
土田 いやあ、これすごいですね。バランスピカイチじゃないですか、クマード!
小川 なんか並べると面白いね。間抜けなポーズだけど(笑)。
土田 “間抜け”言うな(笑)。
小川 いやだって、これちょっと後ろから見てください。ケツがコレ!
土田 ケツ! ケツ! ケツレンジャー(笑)。
小川 この尻がまたリアルなんですよ。決めポーズの尻(笑)。
土田 そういえば、ジライヤ(ニンジャブラック)のポーズは、ケインもかなり苦労してましたよね。
小川 このポーズだけなら簡単なんですけど、一連の動きの最後にこのポーズが難しかったみたいです。
■『忍者戦隊カクレンジャー』の思い出──撮影当時のお話をお聞きしてもよろしいでしょうか?
土田 怒られてばっかりだったよね(笑)。
小川 きっと新人を鍛える意味でも、スタッフもわざと怒るところがあったのかも。
土田 うーん、あったねぇ。
小川 インタビューで何回も言っていますが、木の陰から顔を出すシーン。第1話のカッパの時ね。覚えてない?
土田 カッパ? ああ! キュウリ!
小川 木から覗いて顔を出すだけのシーンなのにOKもらえなくて、20回くらいやったり。
土田 うーん……もう、なんかよく覚えてないんだよね。あの第1話はつらすぎて。モーターボート運転させられた覚えはあるけど。その時、「これは大変な一年になりそうだ」って思いましたね。
小川 で、1話で僕らふたりは大変だなと思っていたのに、2話から登場の河合(ニンジャイエロー/セイカイ)が一番怒られてた(笑)。
土田 河合は苦労してたよね。
小川 ニンジャイエローのスーツアクター石垣さんは、当時すでにベテランで特に厳しい方だったんですよ。
撮影終わったあとも、ロケバスでずっとダメ出しされてましたね。
土田 今でも、会う度に彼はその話をしますよ。
小川 ああ、そうなんだ。
土田 当時、終わったあと、すぐに家に帰れなかった、と。もうがっかりすぎて。
小川 逆に僕の方は高岩成二さん、今でこそレジェンド級のスーツアクターですが、高岩さんにとって初めて主役の“レッド”を担当した作品だったこともあり、「一緒に作っていこうぜ」みたいな雰囲気でした。