『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』のポスターを見かけたとき、「ん?チャールズ・ブロンソンにそんなタイトルの映画あったかな?」「再映?それとも未公開作品?」、ポスターの写真に「何歳くらいの頃のブロンソンかな?」などと思い、よくよく見てみると「ロバート・ブロンジーin」と書いてある事に気付く。そこでさらに頭の中の「?」が大きくなる。まだよくわからない。そして、じっくりポスターを見直すと「2018年・アメリカ映画」「原題:DEATH KISS」と書いてあるではないか???そう、この映画は昨年作られたれっきとした新作で、主演はチャールズ・ブロンソンではない。当然だ。ブロンソンは2003年に81歳で亡くなってる。この、全くブロンソンと同じ顔してるおじさんはロバート・ブロンジーというハンガリーのおじさん(年齢非公称)だったのだ。原題がブロンソンの人気“デス・ウィッシュ”シリーズを模しているあたり、ブロンソン好きが集まって撮った映画なんだろうとは想像できるけど、ブロンソンのそっくりさんによる、ブロンソン主演風映画という出オチなキワモノ映画なんだろうな……。そうは思いながら、じゃあロバート・ブロンジーってどれくらい似てるのか?角度によって?声は?演技は?など、どんどん気になっていたところ試写で『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』を観せてもらう機会に恵まれた。人身売買組織、麻薬密売人、武装ギャングなど法が裁けない悪人どもを容赦なく始末する謎の男K、そのKが秘かに見守る母娘、そしてKを狙う組織とのバトル、堂々たるアクション・エンタテインメントに正直驚いた。漂う80年代アクションの香りは、まさに“デス・ウィッシュ”シリーズの2本目「ロサンゼルス」や3本目の「スーパー・マグナム」を思わせる。面白い!Kを演じるブロンジーも、どの角度から見ても完璧にブロンソンで、アクションはもちろんただ歩いてる姿もそっくり。声もしゃべり方もそのまんまだ。モノマネ芸の域は完全に超えていて生まれ変わりのようだ。興奮さめやらぬ中、なんとブロンジーが来日するというので早速取材させていただく事になった。——映画の中で銃の扱い慣れた感じでしたが、普段から扱われているんですか?
ブロンジー ハンガリーで軍にいた事があります。それからは大工や馬の調教師、ミュージシャンなどを経てスペインの西部劇のデータパークでスタントマンとしてショーに出演していました。そこで6連発の銃を扱ってましたね。ハンガリーやスペインの伝統を保存する活動もしてまして、刀や弓を使い民族衣装を着て演舞をしたりしています。それで武器の使い方を研究し実演してきました。そういう活動が好きなんです。
——そのテーマパークで今回の監督のレネ・ペレスと出会ったそうですね?
ブロンジー そうです。ショーに出演中にレネ・ペレス監督に出会い、彼の監督作品『FROM HELL TO THE WILD WEST』(17)で映画デビューしました。今作は初主演作になります。
——チャールズ・ブロンソンに似ているという自覚はいつされたんですか?
ブロンジー かなり若い頃ですね。馬をブリーディングして調教する仕事をしていた時に、外部から訪問してきた人にかなり言われたんですね(笑)。それで同僚のピーターがブロンジーと呼ぶようになって、それがそのまま芸名になりました。