• 映画『ジョーカー』日本語吹替版でアーサーを演じた平田広明 『「普通だったね」って言われるのが一番嬉しい』
  • 映画『ジョーカー』日本語吹替版でアーサーを演じた平田広明 『「普通だったね」って言われるのが一番嬉しい』
2020.01.29

映画『ジョーカー』日本語吹替版でアーサーを演じた平田広明 『「普通だったね」って言われるのが一番嬉しい』

1月29日にブルーレイ&DVDリリース、デジタルレンタルが配信開始される映画『ジョーカー』。日本語吹替版では、アーサー・フレック/ジョーカーの吹き替えを平田広明さんが担当している。

ヒース・レジャーやジャック・ニコルソンなどそうそうたる顔ぶれの名優たちが演じてきた『バットマン』シリーズ最大の悪のカリスマ、“ジョーカー”。
映画『ジョーカー』は、人身の冷え切った都会で大道芸人として暮らしながら孤独と疎外感にさいなまれた男アーサー・フレックが、最も強く残酷なヴィラン(悪役)“ジョーカー”へと変貌していく様を描く物語で、昨年10月に公開されるや、各国でオープニング記録を塗り替えるなど興行的な成功を収めるとともに、その衝撃的な内容から世界中のファンの間に賛否を巻き起こした。
また、アメコミ作品では初の快挙となるヴェネツィア国際映画祭<最高賞>金獅子賞を受賞し、米アカデミー賞でも作品賞をはじめ監督賞・主演男優賞など最多11部門でノミネートされるなど、ますます注目を集めている。

1月8日からはデジタルセル配信が開始、さらに1月29日にはブルーレイ&DVDリリース、デジタルレンタルが配信開始されるが、それにあたって、公開当初から望む声が大きかった「日本語吹替版」が初めて収録されている。日本語吹替版でジョーカー役を演じているのは声優の平田広明さん。ホアキン・フェニックスが鬼気迫る演技によって現れた“ジョーカー”像を、いかにして日本語吹替版で表現したのか、平田広明さんにインタビューしてお話を伺った。

※記事中には映画『ジョーカー』本編について、いわゆる「ネタバレ」となる記述があります。ご了承ください。

――数々の大ヒット作に声を当てている平田さんですが、ホアキン・フェニックスの演技も絶賛されて注目度の高いジョーカーを演じるにあたっての心境はいかがでした?

平田広明(以下、平田) オーディションだったんですが、一切情報がなかったんです、公開前で。最近は色々とセキュリティ上の問題もあってキャスティングされるまでは中身を教えてもらえない作品が増えました。今回も事前に頂ける原稿も映像も一切なしで当日手ぶらで行って。(昨年)9月の末でした。「映画の吹き替え」っていうことしか知らずに。オーディションのシーンは、ホテルのトイレで「父親じゃない」と言われ殴られるシーンと、初めて人前でコメディをやるシーンだったのですが、初めて見た時は「え、何これ?」っていう感じでした。その時は『ジョーカー』であるという情報は一切なかったんです。ホアキンだというのは分かりましたけど。

オーディションには合格をいただきまして、収録が1013日、台風の翌日だったのですが、映画自体は104日から公開になっていましたので、台本とリハーサル用の素材をいただく前に一回観ておこうと思い、劇場に行きました。その頃からじわじわと話題になっていましたよね。ですので僕ももちろんですけど、制作スタッフ、音響監督の三好(慶一郎)さんもすごく気合いが入っていましたね。ただ、その時はまだ今ほどではなかったので。もし今の盛り上がり具合だったら、たぶんプレッシャーで潰れていたと思います。

――平田さんでもですか?

平田 「アガったことある?」ってよく訊かれるけど、そりゃアガりますよ、人間だもの! アガってないフリするのに必死です。

――平田さんなら大丈夫だろうと思って観てしまうんですよね。

平田 ありがとうございます。でもそれこそがプレッシャーでしょ? でも皆さんからの期待を「よし、待ってろよ!」ってエネルギーに変えさせていただいてます。数々の大作がある中で、R指定で色々と制約があった上でのこの大ヒットですからね。今は収録し終わったあとだから「どんどん盛り上がれ」っていう感じですが、これが「収録は来週です」っていうことになったら、しばらくネットは見ないでおこうみたいな気分になっていたと思いますよ。近年まれに見る反応でしたよね、日本に限らず。

――平田さんも近年まれに見る緊張を感じたということですね。

平田 そうですね。でも吹き替えというものに対して、多くの方が興味を持って下さってるんだなっていうのをあらためて感じました。「なんで『ジョーカー』には吹き替えがないんだ」って言って下さっている方がたくさんいて、吹き替え声優としてとてもありがたいです。

声優の僕が、この作品は吹き替えがなくてもいいんじゃないかなとも思ったりするくらいホアキン・フェニックスの芝居はすごいですよね。映画の評判とか人気の前に、彼の演技そのものがものすごいプレッシャーでした。「ちょっと吹き替える身にもなってくれよ」って。


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文/小田サトシ