• 『ウルトラマンダイナ』刊行記念!脚本・長谷川圭一×アスカ隊員・つるの剛士対談!!
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2020.01.31

『ウルトラマンダイナ』刊行記念!脚本・長谷川圭一×アスカ隊員・つるの剛士対談!!

『ウルトラマンダイナ』刊行記念対談にて。脚本の長谷川圭一さん(右)とアスカ隊員のつるの剛士さん(左)。



つるの すごく肩の力が抜けていたキャラクターで、僕ももちろん小さい頃から「ウルトラマンになりたい」という夢はありながらも、変な役作りというか……責任感とか、そういったことはなかったんですよね。自然にストーリーの中に自分も入っていけた。当時生意気でしたし。周りは大先輩ばかりでしたから、相当迷惑をおかけしたと思うんですが、でも本当に自分のままでありながらも1年間勉強させていただいて、成長させていただいた作品でしたね。

長谷川 1、2話を書いたらすぐに映画版(『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』)のシナリオを書くことになっちゃったので。半年後のつるのさんを書かないといけないっていうことで、その頃のアスカはどうなっているのかなと。調子のいい感じのキャラクターだから、半年後ってちょうど木から落ちる頃だろうというので、「一回アスカが落ち込んで立ち上がるドラマにしよう」っていうのが映画のコンセプトになりました。つるのさんも大変だったと思います。テレビと並行しての撮影だったから、違う時系列を同時にやらなきゃいけないし。ウルトラってそういう大変さと、面白いところもあると思います。

切通 映画版にとりかかって、途中の話があまり出来ない中、長谷川さんが書かれたアスカで印象的だったのは、第18話「闇夜の少女たち」で、女の子に突き飛ばされてアスカがプールに落ちる……。

つるの 憶えてます。あれも等身大でしたね。

長谷川 女の子ナンパしようとしてプールに落ちて、最後デッキブラシで沈められていたからね。

つるの そんなヒーロー見たことないですよ。そのへんの男の子が出ている感じ。だから、見ている子どもたちもすごく夢があったんじゃないかなと思いますね。「僕でもウルトラマンになれるかも」っていう。ヒーローというと、すごく雲の上のような存在だし、僕もそう思っていました。でも、なかなか手に届かない存在かも知れないけど、ひょっとしたら自分もアスカになれるかもって。当時みんなアスカの髪型にしててね。撮影現場に見に来てくれたりしてましたし。そういった意味でも、ハードルが低かったんじゃないかと。
 そしてだからこそ、芯に持っている部分が逆に浮き出るというか。親父とのドラマとか、ひょっとしたらアスカはお母さんがいないのかもしれないとか、明るさの裏側のちょっと暗い部分というか、アスカの持っている内面がすごく哀愁っぽく映る。「こんなに破天荒で明るいけど、でも」っていうところでの淋しさみたいなものがあるじゃないですか。そういう、いろいろなことを考えますよね。アスカの本質ってどうなっているのかなと。それが垣間見えるキャラクターだったのかなと、今になって思います。

切通 今度の小説『ウルトラマンダイナ 未来へのゼロドライブ』の中に、アスカに対するリョウ隊員の印象で、熱血なんだけどシニカルなところがある……と書いてあって、たしかにそういうところがアスカにはあるなと思いました。

長谷川 シリーズが終わった後にもう一度振り返ってみると、まさに最初はとにかく破天荒で明るくて裏表のないキャラクターという人物設計でスタートしていたんだけど、話が進んでいって、他の脚本家さんのホンでもわりと父親話とか補完してもらうと、「アスカの中に秘めた別の顔っていうのがあるんだな」と。それがやっぱり作品に滲んできて、最終回の流れにも繋がったので……本当に成長していったというか、アスカというキャラクターが人間としての血肉を得てきて、だんだん見えてきた感じですね、1年通して。それをテレビは現在進行形で作っていたけど、今回の小説ではもう一度俯瞰してみた。アスカという人間がわかっている段階で、1話から最終回までを洗い直したっていう感じですね。


写真撮影/真下 裕(Studio WINDS)


<書籍概要>
タイトル:小説『ウルトラマンダイナ—未来へのゼロドライブ』
著者:長谷川圭一・谷崎あきら
価格:2.420円(税込)
頁数:384p
発売元:早川書房

★Hayakawa Online

インタビュー・構成/切通理作(文筆家)

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