• 舞菜とともに成長した立花日菜さんが『推し武道』を振り返る!
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2020.03.29

舞菜とともに成長した立花日菜さんが『推し武道』を振り返る!

立花日菜さんが『推し武道』を振り返る!

『推しが武道館いってくれたら死ぬ』音楽インタビュー第4弾は、メインキャラクター・市井舞菜を演じた、声優の立花日菜と、寺田悠輔プロデューサーの対談。最終話のライブで突然現れたあの曲や、まさかのED『♡桃色片想い♡』デュエットなど、その真相を語っていただきます!



――最終話までご覧になった率直なご感想をお願いします。

立花 感動的なシーンもコメディもたくさんあって、毎話毎話えりぴよさんの熱がすごくて、1話から最終話までずっと面白かったです。毎話更新されていくような感覚で、最終話は突き抜けていったなという感じで観ました。この作品のメインは、えりぴよさんと舞菜のお話なんですが、ChamJamメンバー同士の仲間的な意識だったり、“眞妃ゆめ” の百合っぽい要素もあると思います。くまささんとれおちゃんのお話もあるし、最後のフェスではメイちゃんも出てきて。とにかく、すごい!作品です。もちろんアフレコしているので、お話はわかっているんですが、声や音楽、色がついた絵で完成した状態で観ると、ものすごいものができあがっていたんだなと改めて思って。とても感動しました。

――舞菜は最初と比べると、だいぶ成長したように思いますが、演じるうえで変えてきたことはありますか。

立花 舞菜ちゃんはすごく成長しているのに、私が成長できていない気がして。私にとっては、初めてレギュラーをやらせていただいた作品だったので、本当に未熟者で毎話毎話申し訳ありません、と思いながらアフレコをしていたんです。でも結構いろいろな方に「舞菜ちゃんと一緒に成長していってるように見えたよ」って言っていただいたのが、すごくうれしくて。自分ではそんなに成長できてるかと言われたら、自信を持って言えるか怪しいんですけれど、私から見て作中の舞菜ちゃんはすごく成長していたので、私も舞菜ちゃんと一緒に歩めていたらうれしいなと思っています。

――最終話の特典会のシーンでも、声の張りとかも全然違う印象を受けました。

立花 大事なシーンですし、原作のお話の中でも、すごく綺麗に描かれているところだったので、えりぴよさんに伝えたかった思いや感謝といった気持ちを、ちゃんと伝えたいなと思って臨みました。

――作品を通して、アフレコのときなどのエピソードはありますか。

立花 個人的なことになってしまうのですが、元々、佐藤聡美さんがすごく好きで。個人的に尊敬している声優さんなんです。この作品が決まったときに、佐藤さんのお名前もあって、すごくびっくりしました。「佐藤さんだ!」って思って。実在するんだって思いました(笑)。アフレコが始まって、なかなかうまくいかなかったときに、佐藤さんが「自分の思うようにやってみて大丈夫だよ」って声をかけてくださったんです。それが私の中ですごく大きくて。ずっと憧れていて、尊敬していた、自分とは全然違う世界にいると思っていた方から、そういう風に言ってもらえたことがすごく大きかったんです。自分の中でも変わるきっかけになった日だなと思って。すごく感動しました。

――何か吹っ切れたような感じですか。

立花 そうですね。自分は下手くそで迷惑かけたらどうしようといつも思っていたんですが、下手くそなら下手くそなりにやってみようと思えるようになったというか…。引っ込んでいたらダメ、大事な役をまかせていただいているのだから、私がどうというより、ちゃんとお話のことや舞菜のことを考えてアフレコに臨まないといけないなと、改めて身が引き締まりました。やっぱりプロってすごいなと思いました。すみません、すごく未熟なことを。

――どんどん舞菜と重なってきますね。

立花 そうですか(笑)。そんな感じでした。

――では寺田さんにも入っていただき、歌についてお聞きします。曲数も多いですが、最初は『ずっとChamJam』、レコーディングはどうでしたか。

立花 ずっと緊張してて。不安なまま始まって、不安なまま終わっちゃったような気がします。みなさん「それでいいんだよ」っていう感じの空気を出してくれるので、これでよかったのかなと思って……。

寺田 『ずっと ChamJam』のメンバー紹介、他メンバーが8小節あるのに対して、舞菜だけ4小節しかないんですよね。急いでいるという感じの難しさもあったと思うんですが、舞菜らしい雰囲気になっていたのは、立花さんの声の力が大きいと思います。邪険にされてる感じもあるけど、そこもまたいいみたいな。

立花 ありがとうございます。駆け足で入っていく感じが、すごく難しかったですね。あと、どのくらいアニメの中の舞菜の表情を入れ込むか、というのも難しかったです。サビではちょっとアイドル感強めの感じでやっていますが、自分のソロパートのところは控えめな感じでやりましょうか、とディレクションをいただきながら歌ったのですが、難しかったですね。自分の声だけになると、舞菜の声って細いというか、ふわっとしているので、聞いていてたまに不安になるんです。「歌ってる?」みたいな。私の不安が舞菜の不安定さにそのままなっているような気がします。

――レコーディングはおひとりだったのですか。

立花 ひとりです。私の前に、れおちゃん役の本渡楓さんと、あーや役の伊藤麻菜美さんは録っていたので、こんな感じなんだ、って思いながら歌いました。

――歌でも、れおちゃんがお手本になっていたのですか。

立花 そうですね。結構、私の前にれおちゃん役の本渡さんが録ってることが多くて、舞菜として歌うときはれおちゃんの声があると身が引き締まるんです。やっぱりリーダーですし、ついていくというか、逆にれおちゃんがいないと不安になっちゃうんです。どう歌っていいかわからなくなっちゃったりとかして。やっぱりChamのリーダーはれおちゃんなんだなと思います。

寺田 次は『ほっと♡サマーホリデー』と『Fall in Love』が並行して進んでいて。近い時期でその2曲を録っていましたね。

立花 Chamっぽさがすごくあるなと思いましたね。歌う前は、舞菜パートのことだけ考えて練習していると、この曲ってChamっぽいのかな? と、意外に思っていたんですが、やっぱりみんなが歌っているのを聞くとChamだなって。

寺田 ローカル感みたいなものは出してほしいと、平尾先生から言われていました。

立花 地下アイドル系の曲を聞くことがあまりなかったので、これがローカルなアイドルの音か、みたいな感じでした。難しかったです。難しかったしか覚えてない! 難しかったんですよ! すごく!

――舞菜をどのくらい出すかっていう加減もありますよね。

立花 そうですね。難しかったです。歌詞の中に「あなた」的な言葉があるときは、えりぴよさんのことを思って歌うと、舞菜ちゃんっぽくなるなと思っていました。まだ舞菜も、アイドルとしての完全なプロ意識があるのかと言うと、多分まだそこまでじゃないと思うんですよ。それよりも、えりぴよさんのために頑張ってるっていうところがあるので、歌っているときもえりぴよさんに「自分は頑張っているよ」と伝えるため、そういう方向の頑張り方を見せられたらいいなと思って、歌いました。距離感的にも、遠くのお客さんに呼びかける感じじゃなくて、最前にいるえりぴよさんに向かって歌う感じをできるだけ意識して歌いました。

寺田 ローカル感も出ていて、よかったと思います。その次に録ったのが『Clover wish』で、最後に最終話の劇中歌『私たちが武道館にいったら』だったと思います。あとはED『♡桃色片想い♡』も同じ時期ですかね。

立花 同じくらいですね。

寺田 Chamが7人×5曲なので、ED含めて40回近くレコーディングがあったんですが、僕は3分の1くらいしか立ち会えていなくて、キャラクターソングプロデューサーの横尾(勇亮)が全て立ち合いをしていました。立花さんの収録で僕が立ち会えたのは『私たちが武道館にいったら』だけだと思うのですが、この曲の作曲は劇伴もやっていただいた日向萌さんで、ディレクションも日向さん自身が担当していました。「自分のキャラを推してくれているオタクのキャラを思い浮かべながら歌ってください」っていうような指示をされていましたね。舞菜で言うとえりぴよ。ミニアルバム曲を経て、また違うChamの曲ができたなという感じでしたね。

――ミニアルバムの3曲と『Clover wish』ともまた違う。でも確実にミニアルバムの3曲よりChamが成長している感じでしょうか。

寺田 そうですね。あとレコーディング当日、立花さんがすごく早く来ていて。1時間15分前とかに来てたんですよ。

立花 そうなんです。

寺田 「こんなに早く来たんですか」って聞いたら、「いつもそうです」って言われて。「毎回1時間15分前に来るのは逆に迷惑なのでは…」と内心思ったのですが、確認したら普通に間違えていて、15分前のつもりで来ていたそうです(笑)。

立花 すっごく恥ずかしくて(笑)。申し訳なくて。みなさんに気を遣わせてしまってごめんなさい。そんなこともありました(笑)。

寺田 最終話用のED、えりぴよと舞菜のデュエットは、先にファイルーズさん、続けて立花さんという順番だったのですが、僕は立花さんの収録に立ち会えなかったので横尾に任せていて。当日の収録の後に「すごくいいのが録れた」と横尾から連絡がありました。ただミックスはすごく苦労したみたいです。二人の声質的に、うまく混ぜるのがなかなか難しいと言っていたんですが、試行錯誤の結果、うまく混ざってなくてもいいんじゃないかと。それはそれで、曲としてもキャラとしてもいいんじゃないかということで、今の曲が出来上がりました。滑らかではなく、凸凹感がありますよね。それが最終的に曲としての魅力になっていると思っています。

――レコーディングはいかがでしたでしょうか。

立花 ディレクションで「幸せな感じで歌ってください」って言われたんです。えりぴよさんが結構切ない感じで歌っているんですよね。それに対してミスマッチだけど、舞菜は逆に幸せそうに歌ってくださいと。キラキラした幸せというよりは、溶けるくらいの幸せをイメージしました。いつもよりふにゃ度高めみたいな。アレンジも、アイドルっぽいハキハキした元気な感じではなく、モノローグっぽい感じなので、そういう気持ちで歌いました。最初の段階から最終話はふたりで歌うと決まっていたので、第1話の放送後にEDがいろいろなところで話題になっているのを見て「怖っ!」って思って。最終話怖い! ってずっと思っていました。あまりにえりぴよさんの『♡桃色片想い♡』が好評だったので、舞菜なくなるんじゃないかなって思って。「やっぱりなかったことにします」って言われるんじゃないかと思ったりしていたんですが、無事ちゃんと入っていて不安と怖さとうれしさとみたいな感じでした。

――「幸せな感じ」というのは、EDの前のシーンからきているんですか。

寺田 そうですね。最終話のEDだけデュエットにして、物語的な最後、片想いを一歩超えて少しだけ両想いに近づいた瞬間、というのを演出したくて。

立花 エモいですね!

寺田 あとは舞菜とえりぴよに限らず、Cham側とオタク側の「武道館に行くんだ」という想いが重なる最終話でもあるので、その意味でも両想いになるクライマックスかなということで、デュエットをご提案しました。

立花 すごくエモいです!

――観ていてたまらないですよね。舞菜がわーっと想いを伝えて、その後にEDが流れる。それだけでもすごく感動なのに、舞菜の声が入ってくるっていうのが、ダメ押しで鳥肌が立ちました。

寺田 えりぴよとのチェキ絵も効いてますよね。まだちゃんとハートが作れてないんですけど、それでも第1話よりはもうちょっと近くなっている。あの距離感、近づいたけどまだあの距離感っていうのがふたりっぽくていいなっていう。

立花 ずっとすれ違っていましたからね。

文/阿部雄一郎