• 今度の素子はかわいい系!?『攻殻機動隊 SAC_2045』神山健治+荒牧伸志両監督インタビュー
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2020.05.02

今度の素子はかわいい系!?『攻殻機動隊 SAC_2045』神山健治+荒牧伸志両監督インタビュー

▲これが最新の草薙素子 (C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会

現在、Netflixで全12話が好評配信中の『攻殻機動隊 SAC_2045』。初の3DCGによる『攻殻機動隊』ということでも話題になっている。
独特な存在感を放つその映像世界について、本作の監督を共同で務める神山健治監督と荒牧伸志監督に聞いた。


▲3DCGによって描かれる、新生公安9課。もちろんタチコマもフル3DCGだ

——現在、3DCGは多様なスタイルの映像を生み出すことが可能で。より実写に近い映像にもできるし、いわゆる「セルルック」にすることもできます。なぜ、今回の映像の方向を選んだのでしょうか。

神山 ひとつには、この物語が乗せられる強度がある絵、ということですよね。それは必ずしも「リアル」ではないだろうなと。『攻殻』の世界を実写にしたら美味しいかというと、多分それもまた違うだろうしね。『009 RE:CYBORG』など何本か3DCGで絵を作らせてもらい、特に荒牧さんと前作の『ULTRAMAN』を作ったことで、自分の中でもCG映像の意味性みたいなものがわかってきました。(3DCGは)アニメと実写で言うと、本質的には実写に近い。その「いいところ」と「悪いところ」が実写に似ているんです。それを踏まえた上で、どうするべきかと考えました。それと同時に、スタッフがやりたくないことをやらせてもなかなか上手くいかない。これは、手描き作画のアニメでもそうだし、おそらく実写でもそうだと思うんです。そこにいるスタッフのポテンシャルを最大に引き出すという意味で、スタッフの志向にも寄り添う必要がある。そういう複合的な理由で、今回のルックになったのかなと思います。

ーー『ULTRAMAN』に比べると、今回はキャラクターの輪郭線の印象が、少し薄くなっている気がしたのですが。

荒牧 でも(線の)出方は『ULTRAMAN』とそれほど変わらないというか、むしろ今回のほうが強かったりするんですよ。スタッフにも最初に「ラインをもっと太くしてくれ」と指示したので。ただ、キャラクターなどの陰影づけがはっきりしている分だけ、線自体がフラットではない。そういう意味では確かに、いわゆる「輪郭線」という印象は薄いかもしれないですね。

神山 つまり(2Dに振り切らずに)“立体” を残したから、そう見えたんだろうね。こちらとしては、実写的なライティングはほしいけれど、実写そのものにはしたくないと考えたんですよ。「この映像はあくまでも嘘、作りもの、アニメーションなんですよ」という前提を観客に感じさせたいということで、アウトラインを強めに残しているんです。

ーーその結果なのか、映像の中に独特な空間があるような印象を受けました。アニメ的でもありつつ実写的でもあり、でも、セルルックのCGとも違う。正直、最初は少し違和感を感じる人もいるかもしれませんが、ストーリーに惹かれて観ているうちに、不思議な没入感が生まれてきます。

神山 まあ、そこは「慣れてもらえるだろう」という計算もあって作っているのでね。

荒牧 そこがCGの強みだったりするんですよ。「この世界がひとつある」という存在感、リアルな実在感も持たせつつも、しっかりとストーリーに合わせてチューン(調整)された絵にしておくことで、上手くいけば観ている人が、より物語の世界に没入できるんです。

アニメージュプラス編集部

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