当時、アニメージュ編集部に在籍してこの特集に関わり、後にスタジオジブリプロデューサーとなる鈴木敏夫は、次のように振り返る。
当時は宮崎駿なんて誰も知らない時代だったから、そんな特集を組むことは、『アニメージュ』がアニメファンから総スカンを食らうということなんです。宮さん(=宮崎駿/引用者注)自身も、冗談じゃないと言って、そう簡単にはOKしてくれなかった。
(中略)
「(他の編集部員に/引用者注)トシちゃん、返本率50%になるぞ」と脅されて、本当に半分返本されてきたんですけど(笑)。
(『BEST OF アニメージュ アニメ20年史』[1998年/徳間書店刊]より)
そして「でもこの特集がなかったら、今のジブリは存在しなかったんだから、面白いでしょ」と続けている。
当時はけっして「大ヒット」とはいえなかったこの特集こそが、『風の谷のナウシカ』連載からアニメ化、そしてスタジオジブリ誕生へと続いていく流れの出発点であり、その意味では日本のアニメの歴史の中でも特筆すべき位置を占めている。
そして、作家・宮崎駿を語る際にこの特集は、今もなお必須にして最重要な資料のひとつでもあるのだ。