そこはゲームフィールドだったーー第2話で明らかになった『デカダンス』の本当の世界観は驚きです。滅亡の危機に瀕した人類が荒野で繰り広げる人間ドラマ……と思っていたら、じつはその世界はサイボーグたちがプレイするゲームでした。
立川 ナツメたちが生きている世界は、サイボーグたちが運営している「デカダンス」という名の娯楽施設内です。ちょっと誤解されやすいかもと思うのですが、あのフィールドはインターネット上などの仮想世界ではなく、実在する場所(ユーラシア大陸)なんです。人間たちも全員、生身で実在していて、あのフィールドで「真実」を知らずに暮らしています。舞台は遠い未来。人類はサイボーグたちの娯楽施設である「デカダンス」のフィールド内にしか存在しておらず、その外は完全にサイボーグの世界です。なぜ、そうした世界になってしまったのかも、この先のストーリーで語られます。
ーーつまり、第1話のラストシーン〜第2話の冒頭から登場したサイボーグたちが、あの時代の世界の主役。そして、絶滅寸前の人類を使って娯楽を楽しんでいるわけですね。その「逆転構造」は衝撃的ですね。
立川 サイボーグたちのデザインがコミカルなので、より衝撃は大きいかもしれないですね。人間の世界とサイボーグの世界の両方を交互に描く際にガラッと雰囲気を変えたくて、サイボーグたちはカートゥーン的な方向のデザインで描くことにしました。
ーープレイヤーとしてゲームに参加しているサイボーグは、「デカダンス」のフィールド内では人間の姿をしています。
立川 サイボーグたちは人間に近い姿形の〈素体〉にログインし、〈ギア〉と呼ばれる戦士となります。フィールド内では特殊な戦闘民族的な、別種族のような存在で、人間とは肌の色が違ったりもしています。〈ガドル〉と呼ばれる怪物たちも、すべて娯楽施設の設備としてサイボーグたちが作ったものなので、生々しい怪物ではなく結構かわいい方向性のデザインなんです。巨大要塞のデカダンスが変型して巨大な拳になって、大型のガドルをパンチで倒すとか、結構無茶のある設定だと思うんですが(笑)、それも含めてすべて娯楽施設として設計されたもの。そして人間だけが実物で、そんな世界の仕組みを知らずに生きている。事実を知ってしまうと「処分」されてしまいます。
▲リアルに描写される「デカダンス」の世界
▲カートゥーン的な雰囲気で描かれるサイボーグの世界(C)DECA-DENCE PROJECT