• 日本でも数少ない4D職人が戦場を作る!『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』鼎談
  • 日本でも数少ない4D職人が戦場を作る!『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』鼎談
2020.08.28

日本でも数少ない4D職人が戦場を作る!『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』鼎談

(C)「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」製作委員会

『ガールズ&パンツァー』や『SHIROBAKO』などを送り出してきた水島努監督による美少女×レシプロ戦闘機アニメ『荒野のコトブキ飛行隊』が完全版となって9月11日に劇場公開されます。今回の劇場版の魅力は何といっても、映像に合わせて座面が動き、風や水しぶきなどの効果も楽しめるMX4Dでも『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』の世界を体験できるところ。一足先にMX4Dのテスト上映に参加させていただき、MX4D化に携わった制作陣にお話を伺ってきました!

<まずはMX4Dを体験>
最終調整段階のテスト版を今回は視聴。制作陣お薦めの抜粋シーンを30分程堪能しましたが、その感想は「この映画は絶対にMX4Dで観たほうが良い」という一言に尽きます。映画自体も一足先に全編拝見していましたが、それとは全くの別物という印象。正直に言うと、ここまで動くとは思っておらず、映画を観たというよりは、遊園地のアトラクションをたっぷり楽しんだという感じ。敵機に攻撃を食らっている感覚や離陸時の浮遊感、撃墜された時の激しい衝撃など細かいところまで再現された動きに驚くこと間違いなしです。自分がコトブキ飛行隊の一員になって実際に空を飛んでいる感覚に浸りたい方には、是非MX4D版を体感していただくことを強くお勧めします。

<興奮そのままにMX4D化の制作陣にインタビュー>
上映後は、本作のMX4D化に関わっているソニービジネスソリューション株式会社(以下、SBSCMX4Dプロジェクトリーダーの條々淳さん、株式会社ダイナモピクチャーズ(以下、ダイナモ)のモーションプログラマー野中友恵さん・吉田和弥さんにインタビュー。『荒野のコトブキ飛行隊』をMX4D化する難しさや魅力を語っていただきました。
▲大迫力の空中戦。MX4D版では、水しぶきが飛ぶ演出もある

――MX4D、とにかく凄かったです……! もう何か遊園地のアトラクションに乗っているような感じでした。そもそも、このMX4Dはどのように作られているのでしょうか?

條々 まずどんな作品がMX4D化されるかというところですが、基本的には映画館、つまり興行会社さんの編成部が決めています。ただ、映画の特性に合わせてこちらから興行会社さんに提案することもありますね。金額面など色々な条件を勘案してMX4D化が決定したら、映画の完パケ映像をいただいて、SBSCからダイナモピクチャーズさんにお渡しします。そこからはダイナモさんのお仕事になっていきますね。

野中 映像をいただいたら、まずは通しで観てみます。その後、吉田と二人で演出の方向性を話し合い、吉田が椅子自体の動きと外部ギミック(ストロボや風、煙、水しぶきなど)を、私が座面の振動部分を担当し、パソコンでプログラミングしながら効果を付けていきます。

――まず演出の方向性を話し合うとのことですが、今回の『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』ではどのような方向性にされたのでしょうか?

野中 今回は「ずっと空戦中の風に乗っているイメージ」で制作しました。今まで4D化してきた作品はロボットに乗って戦うとか、わりと敵味方はっきり分かれたものが多くて、主観を味方目線で付けることが多かったんです。ただ、今回は登場人物がみんな戦闘機に乗っていて、映像がどんどん切り替わっていくので、味方だけに動きを付けると上手くいかないなという話になりまして……。

吉田 敵には効果を付けないようにすると、映像のスピード感やテンポの良さが失われてしまうということがあったんです。そこで、敵味方を区別するよりは、戦闘の雰囲気そのものを味わってもらいたくて、全体を通して「空戦中の風に乗る」という方向性を定めた感じです。

――敵味方で視点を分けるというよりは、観ている人が、常にその場面の主人公になる感じということですね。この視点は比較的早い段階で定まりましたか?

吉田 そうですね。序盤でこの方針は決まりました。

――ちなみにこの方針はどのタイミングで水島監督に確認するのでしょうか?

條々 私達の4D化では、監督さんやコンテンツ責任者に確認していただくクオリティーチェックというものがあるのですが、まず一次クオリティーチェックとして、モーションプログラマーが自分たちの解釈で作った510分くらいの映像を監督さんに見ていただきます。そこで制作のコンセプト・方向性を確認してもらい、OKが出たら全編にわたって効果を付けていくことになります。最終のチェックでは、監督さん達に全編を通して見ていただきながら、横で野中さん達が細かい要望に応えてプログラムを修正していく感じになりますね。

――野中さんは動いてる席の上でプログラミングをするのですか⁉

野中 そうです。動く中でカタカタやっています(笑)。

條々 慣れたものですよ(笑)。監督の「もう少し角度付けて、いや、やっぱり戻して」などという細かい要望に応えるのは最終のクオリティーチェックなのですが、細かく指示をされる監督もいれば、こちらにお任せ頂きあまり指示されない監督など、色々な方がいらっしゃいますね。

――まだまだ新しい試みですもんね。

條々 そうですね。でも最近では、4D化することを見越して映画を作ろうとする監督さんも出てきているので、4Dは今後さらに進化していくかもしれません。

C)「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」製作委員会

アニメージュプラス編集部