• 高田明美が語る「意外なきっかけで完成したクリィミーマミの髪型」
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2020.09.09

高田明美が語る「意外なきっかけで完成したクリィミーマミの髪型」

「魔法の天使 クリィミーマミ」(C)ぴえろ

【『Angel Touch』画集発売&展覧会開催記念 高田明美インタビュー 前編】

『うる星やつら』『魔法の天使 クリィミーマミ』『きまぐれオレンジ☆ロード』『機動警察パトレイバー』などの人気タイトルを手がけてきたキャラクターデザイナー・高田明美。岡山県・倉敷市立美術館で特別展「高田明美展 Angel Touch」が開催され、追って同タイトルの画集が復刊ドットコムより発売されたことにより、これまでの仕事を一望できる、またとない機会を迎えた今、高田氏にこれまでのキャリアを振り返りながら、画集・展覧会の見どころについて語って頂いた。

――今回、『Angel Touch』というタイトルで二つの大きな動きがあります。まずは岡山県・倉敷市立美術館での展覧会の開催、続いて画集の発売です。そして『Angel~』は、高田さんのブログのタイトルでもあります。

高田 はい、ブログのタイトルの頭文字の「A.T」はAKEMI TAKADAの頭文字にもなっているんですよ。

――ということは、これまでのお仕事のひとつの区切りになるような内容になっていると考えて良いですか。

高田 そうですね、『魔法の天使 クリィミーマミ』に『きまぐれオレンジ☆ロード』、『機動警察パトレイバー』、『魔法のステージ ファンシーララ』。あと今まであまり展示してなかった『うる星やつら』も。これは絵的にもすごく初期で恥ずかしいところがあるんですが、まあ歴史だからって思って(苦笑)、今回の画集にも入れました。

――本当にキャラクターデザイナーとしてのキャリアの総括的な内容なんですね。

高田 画集には都合があって『パトレイバー』は掲載されないんですが、ほぼそういう内容になっていると思います。あと、ここ最近で展覧会を何回もやっていまして、そこでの反応を見ながら「この絵は人気がある」「この絵は外しちゃいけない」みたいなところが見えてきたので、そういうところも参考にしていますね。

――例えば、自分の思ってた以上に人気があった作品というのもあるんですか。

高田 『オレンジ☆ロード』なんかはそうですね。あの頃は若かったので、やりたい放題やっちゃってちょっとエッチなのもあって(笑)。「ごめん、見逃してくれよ」と思いながら展示してみたら……。

――人気があったと。そういえば、まどかが手ブラをしている絵とかありましたね。

高田 その南国風の絵はこの前複製画にしたんですが、凄い人気でしたね(笑)。あとは、まどかとひかるがレオタード姿のイラストも人気です。

――高田さんの絵は全然下品じゃないですから大丈夫ですよ。さて、せっかくですので簡単にこれまでのキャリアについてふり返らせて下さい。まずはキャラクターデザイナーという職業を目指したきっかけからお聞かせいただけますか。

高田 最初は漫画家に憧れていました。子どもの頃、絵を描くと親に見せに行って、その度に「よくできたわね、可愛いわね。また見せてね」って褒められるのがうれしくて。そんな風に描いたものが誰かの笑顔を生んでくれる、というのが絵を描く大きな動機になっているんですね。でも自分でお話が作れないし、親から「大学に行くのも大事だよ」と言われて、多摩美術大学に入ったんです。学部はグラフィックデザインを選択したんですが、そこでいろいろな絵を描く人がいることを知ったり、画材を一通りそろえたりすることで、後々であれこれと役立つことになりました。

――アニメ業界でのお仕事は、竜の子プロ(現・タツノコプロ)からですよね。

高田 はい。最初の3カ月は契約期間で「(キャラクター)デザインするならここを知っておかないと」っていう感じで。鳥海永行さんがいらっしゃる演出部に配属になって動画の研修を受けて。そこからキャラクター室に配属になりました。

――キャラクター室とは、当時竜の子プロにあったキャラクターデザイン専門の部署ですよね。現場はどんな雰囲気でしたか。

高田 入社時はまだ吉田竜夫さんがご存命で、吉田さんの遊び場みたいな感じになっていました。吉田さんがあまりに絵が上手いので、しっかり教えてもらおうって思っていたのに、半年後に亡くなられてしまってショックでした。仕事に関しては、割と自由というか「とにかくいいキャラをあげてくれればいい」という感じがあったんです。確か『タイムボカン』の時、天野喜孝さんは「いいキャラクターができるまで出社しなくていい」って言われていたらしいですよ(笑)。だから私も勤務時間に映画を観に行ったり、会社の経費でレコードを買ったりしたり、のびのびとやらせてもらいましたが、仕事そのものはとても厳しくて。キャラクターデザイナーのプロになるための基礎は、全部ここで学ばせていただきました。

アニメージュプラス編集部

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