• 【今夜最終回!】『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』岸本卓(シリーズ構成・脚本)インタビュー
  • 【今夜最終回!】『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』岸本卓(シリーズ構成・脚本)インタビュー
2020.09.24

【今夜最終回!】『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』岸本卓(シリーズ構成・脚本)インタビュー

(c)筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

筒井康隆の小説『富豪刑事』を、現代を舞台にしてより華やかに、大胆に生まれ変わらせたアニメ『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』。
その全11話のストーリーが今夜、9月24日(木)深夜の放送でついに最終話を迎える。

大富豪の神戸家の御曹司で、有り余る財力と最新のテクノロジーを駆使して事件を半ば強引に解決していくクールな男・神戸大助。
曲がったことが嫌いで、昔気質の捜査にこだわる熱血人情派刑事の加藤春。
そんな対照的な二人の男が繰り広げる、スリリングでスタイリッシュなバディストーリーは今夜、どんな結末を迎えるのだろうか……!?

最終話を前に、本作のシリーズ構成・脚本を務めた岸本卓のインタビューをお届けしよう。
大助と加藤、二人の主人公はどのように生まれたのか? 物語はどんなコンセプトで構築されたのか?
『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』の世界をより楽しむための手掛かりにしてほしい。
(なお、本記事は、アニメージュ2020年10月号に掲載されたインタビューを再編集して掲載している)

神戸大助のキャラクター像

——大助は、原作では基本、おっとりしたお坊ちゃんですが、それを今回のようなキャラクターにアレンジしたのはなぜでしょう?

岸本 大元はプロデューサーの松尾(拓)君のアイデアだったのかな。はるか昔でよく覚えていないのですが、松尾君が「金ピカド派手で、アメリカンで、みたいな作品にしたい」と最初に提示して。そこからみんなでワイワイやって、それを僕が整理して書いていって、自然に今のようになったという感覚です。大助のキャラクターについても、早い段階から「札束で人のほっぺたをひっぱたく」というイメージがコンセプトとしてありましたし、大助を「悪漢(ピカレスク)」にしようという方向は、最初からみんなで一致していた気がします。ただ、そこから先、実際にストーリーを考えるときは、事件のギミックやら登場するガジェットやらを含めて、考えるのが大変でしたけど。

——OPコンポジット担当のハイパーボールさんは、伊藤(智彦)監督たちと「本当のお金持ち」のイメージについて話し合ったそうですが。

岸本 ああ、(企画段階の会議でも)その話はよく出ました。「お金持ちってどんな感じだろう?」って。そんなのわかんないですよね。だって、自分が本当のお金持ちではないから(笑)。某有名実業家に話を聞きにいこうかとか、そんな話も出ました。「どんな感じの生活なんですか?」って取材しよう、みたいな。実際には実現しなかったけど、取材したらしたで面白かったでしょうね。

——岸本さんがイメージする大富豪とは?

岸本 僕がパッと思い出したのは、知人からの又聞きなんですけど……そいつが大学のときに、ポルシェかなんかで学校にやってきて、入学早々キャンパスの並木道だかに車をぶつけて壊してレッカー移動されたという友達がいたそうで(笑)。その友達は某文豪の親戚だとかで、自宅の住所が「新宿区〇—×」とか「番地がそれだけ?」ってくらい短い。「金持ちの住所ってそんな感じなんだ」という話を聞いたのを思い出しました。あと、大助のキャラクターとしては「頓着しない」っていうことも考えました。

——頓着しないのは、物事に対して? お金に対して?

岸本 両方ともです。何事にもこだわらない。あまりに満ちたりているから、特別に人に優しくすることもないけど、意地悪をすることもない。よくいえば鷹揚だけど、悪くいえば無神経な部分もある。それは人並みの苦労を知らないからってことを考えた気がします。

——確かに大助は、いちいち怒ったりもしないですね。

岸本 そうですね。そして、そのかわり共感や同情もしない。それこそ、「パンがないならケーキを食べればいい」的なイメージもあったかもしれないですね。あの発言も、意地悪で言っているわけではないですが、相手の立場に立ててないから結果的に無神経な物言いになってる。

——思ったことを、そのまま言ってしまうと。

岸本 要は、極端に素直なんでしょうね。ただ、大助の場合は復讐を心に秘めているので、そこに触れるとガラリと変わります。でも、それ以外の部分では何事にも頓着しないんじゃないでしょうか。

(c)筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

アニメージュプラス編集部