• 【今夜最終回!】『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』岸本卓(シリーズ構成・脚本)インタビュー
  • 【今夜最終回!】『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』岸本卓(シリーズ構成・脚本)インタビュー
2020.09.24

【今夜最終回!】『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』岸本卓(シリーズ構成・脚本)インタビュー

(c)筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥


ストーリーの裏側

——シリーズ構成全体は、どのように組み立てられたのですか。

岸本 基本は、大助と加藤の関係ありきです。水と油だった二人の距離がどんどん縮まっていって、関係性が出来上がったかと思ったらまた離れて……という波を主軸にして。構成案を立てるときにまず、「(加藤が大助を)イヤなヤツだと思う」「さらにイヤなヤツだと思う」「でも、何となくいいヤツなのかもしれないと思い始める」「いい面もあるじゃんって具体的に気付く」「と思ったのに、またすれ違う」とか、そんな風に僕の中での二人の関係性の変化を一行ずつ書き出していきました。それを各話数に割り振ってから、じゃあどういう事件をやろうかとか、本線のストーリーをどう組み立てていこうか、といった形で11話分を構成しました。その後、より詳細なところを詰めていくという感じです。僕の場合はだいたい、いつもそうですね。人間関係のドラマを書くのが一番好きなので、その軸をまず作っておいてから、具体的なイベントを考えていくという流れです。

——第5話・第6話あたりから神戸家の謎がテーマとして浮上し、シリアスな展開に入りましたね。

岸本 シリーズを通した縦軸のストーリーを作ることも、わりと最初から決まっていました。でも、どのタイミングで物語の本線に入っていくかは議論になったというか。僕はけっこう早め——第3話・第4話ぐらいで本線に入ろうと思っていたんです。僕はいつも、キャラクターよりもストーリーを重視しがちで、キャラクターの日常をしっかり見せたりするより、引きのあるストーリーでグイグイ引っ張っていくのが好きだし、結果的に自分には向いているとも思っているんです。でも、それは長所でもあり短所でもありで……本線に入っていくと「次はどうなる?」って観る人の意識がストーリーに行っちゃう。今回は第3話でそうなるのは早すぎるのではないか、という意見が出まして。もうちょっとキャラクターやその関係性をしっかり見せた後に、本線に入ったほうがいいんじゃないかということになったんです。だから実際は、第5話のラストで「あれ? ヒュスクが言うことを聞かなくなっちゃった」というわかりやすい形で大助に異変が訪れて、「何かが始まる」みたいな流れに入っていきましたが、僕としては本線に入るのをいつもよりもちょっと遅めにしているという感じです。もちろん、みんなの意見でそう決めて、僕も納得していますし。結果、第4話みたいな完全な日常回も入れられたので、よかったかなと。

——第6話以降は、長さんや武井、清水などのおじさんたちのドラマも濃厚に描かれていきました。

岸本 実は、結構心配だったんです。第5話を過ぎるとおっさんたちばっかり出てきて、「あれ、長さんが主人公?」みたいになるから。こんなおっさんたちの過去話を知ってどうするんだ? みんなの期待を裏切るんじゃないか? と(笑)。でも自分としては、こっちのほうが好きというか、書きやすいんですよね。イメージしやすい。

——長さんたちのストーリーは、重厚な刑事ドラマとして面白く観られました。

岸本 そう言っていただけると、ありがたいですけど。僕の中で一番盛り上がったのは、第8話なので。

——第8話のラストの、長さんと武井さんの死はショッキングでした。

岸本 泣けますね。第8話まで関係を作り上げてきた大助と加藤が、ここでどうやって決別するか。これが、大助と加藤のドラマを軸に据えた上でどうストーリーに関係してくるか。長さんと武井というキャラクター達をどう輝かせるかという点を含め、自分としても特に力を入れたポイントでした。

——最後に、第9話以降のクライマックスの見どころを教えてください。

岸本 今まで影に隠れていた大助の本当の目的が現れてくることで、大助自身にもう一段、ブーストがかかります。そうなると、加藤はどんどんついていけなくなる。ついていけなくなった末に悲劇が起きるかも……!? という感じです。でも、「最後のミッションを成し遂げるには、やはり二人が協力しなきゃいけない。さあどうする?」というスリリングなお話を第9話以降で展開、という感じでしょうか。加藤がどのようにトラウマを乗り越えるかというのも、ひとつの大きなテーマになりますし。科学力・武力において大助を上回る相手も出てきてしまう。決裂した大助と加藤がどのように和解し、脅威に立ち向かうのか!? 楽しみにしていてください。

(c)筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事