• 【おそ松さん特集04】浅野直之の6つ子デザイン裏話!
  • 【おそ松さん特集04】浅野直之の6つ子デザイン裏話!
2020.10.04

【おそ松さん特集04】浅野直之の6つ子デザイン裏話!

(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

『おそ松さん』第3期放送開始を記念して、月刊アニメージュのバックナンバーに掲載されたインタビューを再掲載して6つ子の世界の魅力をあらためて紹介する特集「おそ松さんを6000倍楽しもう!」
今回掲載するのは2016年2月号、第1期から『えいがのおそ松さん』までキャラクターデザインを担当した、浅野直之インタビューだ。
1クールの放送を終えたタイミングでの、満を持しての初表紙+巻頭大特集だったこの号は発売直後に完売し、定期刊行誌では異例の増刷が行われた。この時期には、6つ子人気は完全に爆発したと言っていいだろう。
その原動力のひとつとなった魅力的なキャラクターデザインについて、制作過程やイメージの源泉についてフランクに、それでいてかなり詳細に語られている、貴重なインタビューだ。

>>>『おそ松さん』特集の全容はこちら!

6つ子誕生の軌跡を語る!
浅野直之【キャラクターデザイン】

ハチャメチャできる
最高の素材!

——『おそ松さん』大人気ですが、その自覚や実感はありますか。

浅野 ありますね。まわりから「毎週楽しく観ています!」とか感想のメールをいただくことも多いです。同業者の方々と会話することがあると、「売れてるみたいですね」「うらやましいですね」みたいな、そういうことも言われるようになりました。

——こんな評判になるという予感は、当初からありましたか。

浅野 いや、それはなかったですね。まったくなかったです。多分、誰も予測してなかったんじゃないかと思います。驚きと、あと「なぜなんだろう? なぜそんなにウケるんだろう?」という疑問ですね。

——なぜだと思いますか?

浅野 いやぁ……まあでも、キャラクターとか、世界観とか、最近あまりない方向のものだったから、逆に新鮮だったのかなとは思います。シンプルだし、特にカッコいいキャラクターもいないし。「普通」なところが逆に、新しいものとして若い人たちに受け取ってもらえたのかもしれないですね。

——昔の『おそ松くん』はご覧になっていましたか?

浅野 はい、観てました。平成版(1988〜1989年のTVシリーズ)を小学校4〜5年生の頃に観てましたけど、実は、その頃はあまり好きじゃなかったです。アニメだから観てはいましたが、どっちかというと「勇者シリーズ」とかのほうが好きでしたね。小学生はロボットとか、派手なのが好きなんで(笑)。でも、二十歳過ぎたくらいから原作というか、赤塚(不二夫)作品のスゴさみたいなものに気付きはじめて、好きになりました。それからは「こういうのをやりたい!」という気持ちをずっと持っていたので、今回のお話をいただいたときは「ついにきた! そりゃあ、これはオレがやるしかないでしょ!」と。ハチャメチャなことができる、自分にとって最高の素材をいただけたと思いました。

——『おそ松さん』として現代風にアレンジすることについては、どう思いましたか。

浅野 結構、ハードルが高そうだなと。変えるのって、スゴくリスクがあるじゃないですか。キャラクターも完成されているし。平成版の『おそ松くん』もあらためて観たらすごくおもしろいし、出来もよかったんで、そのプレッシャーもありましたね。今の若い人に受け入れられるようにと変えた結果、毒気がなくなったり、普通の「昭和なつかしアニメのリメイク」みたいになっちゃったりすると、何かなぁ……という不安は、正直ありました。

最初はひとりだった!?
6つ子の個性成立の裏

——キャラクターデザインをするにあたっては、最初に「6つ子を大人にする」というオーダーが?

浅野 ありましたね。最初にありました。頭身を高くしてほしい、みたいな。最初は「二十年後」っていうオーダーだった気がします。

——実際にはそこまで大人になってはいませんが、最初はそんなに歳を取らせるプランもあったんですね。

浅野 「二十年後、おもしろいな」とは思ったんですけど、でも、絵自体はあまり変えられないだろうなとも思いました。自分も赤塚さんの絵のテイストが好きで、シンプルで、デザイン的でもあるじゃないですか。そこにどんどん情報量を増やしていっても、よくはならないんじゃないか、と。だから、デザインの初期の頃は「もっと変えて欲しい」みたいな要望もありましたけど、なるべく変えないように。なるべく原作の絵の世界をキープしたまま、ちょっとずつ変えていくという感じで、進めていきました。

——少しずつ、今のデザインに近づけていったわけですね。

浅野 そうだった気がします。最初にラフで出した絵は、今よりもっと原作のまんまでしたよ。マンガを模写して出す、というくらい一緒でした。そしたら、藤田(陽一)監督はわりと「自由にやっていい」と言ってくれましたけど、「やはり旧作と差を出した方がいい」という意見もあって。だからまずは頭身を高くしたのかな。で、その方向で何となくキャラクターができかけた状態のときに、並行してシナリオを作っていた藤田監督から「もっと(6つ子の)個性を出していきたい」という要望が出たんです。そこから、6つ子それぞれに、デザインを変えていく方向に行きました。最初は6つ子全員、同じ顔で描いていたんですよ。

——そもそも原作は「同じ顔が6人いるからおもしろい」というキャラクターとして、描かれていたわけですからね。

浅野 そうですね。そういう原作のもともとのおもしろい部分を変えるのは、ハードルが高いと思いましたけど、藤田監督が「もう、やっちゃいましょう」と言うから、さすがに監督は勇気があるなぁと(笑)。ただ変えるとはいっても、そんなにガラっとは変えたわけではないんですよ。ガラっと変えちゃうと、ただの6人兄弟になって「6つ子」のおもしろさが消えちゃうので。そこは大変でした。「基本同じだけど、ディテールがちょっと違う」というバランスで個性を出すのには、かなり時間がかかりましたね。

——つまり、最初は「6人とも同じ顔」から出発して、少しずつ個性がついていったんですね。

浅野 そういうことですね。

——最初の6人一緒のデザイン、いわば「スタンダードタイプ」に今、一番近いのは誰ですか。

浅野 ああ、それはやっぱりおそ松です。最初に「全員同じ顔の6つ子」として今のおそ松に近いデザインを作って。それからシナリオを起こす段階で、藤田監督やシリーズ構成の松原(秀)さんが考えた性格のイメージを細かく一覧にした「キャラ分け一覧表」を見て、それに合わせて表情とかを細かく描きおこして……。でも最近になってもまた、そこからも変わってきているような部分もあるし。話数が進むにしたがって変わってきている気もします。

——ひょっとして、今も少しずつ変わりつつあるとか?

浅野 顔がちょっと変わっているような気がしますね。最初の設定とは大分違います……なんで変わるんだろう?(笑) 版権イラストとかいろいろ描いていくと、デフォルメしたキャラクターを描いたりもするじゃないですか。そうするとデフォルメの感覚が(普段の絵にも)入って、ちょっと引っ張られたり。最初はもっとシャープなイメージだったんですが、最近ちょと丸っこくなってるような気がしないでもないですね。



(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

アニメージュプラス編集部