• 【おそ松さん特集07】カオスと円熟〜第2期の世界〜
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2020.10.07

【おそ松さん特集07】カオスと円熟〜第2期の世界〜

(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会


【ふたつの異色作】
混沌としたエピソード群のなかでも異色といえるのが、第17話「旅館」だ。
6つ子たちが物語の登場人物に扮して展開されるシチュエーションドラマで、舞台は山奥の旅館。不倫風のカップル(扮しているのはカラ松とトド松)が座敷童を名乗る少女・おそまと遭遇。最初は怖がっていたカップルも、人なつっこい少女の存在を徐々に受け入れていくが……。ホラー風味で不気味な後味を残すエピソード。シリーズ構成の松原秀がその内容を会議で説明した際、参加していたメンバーの大半が戸惑いを見せるなかで、藤田陽一監督だけが笑っていたという逸話が残っている。

もう1本、挙げておきたいのは第18話「イヤミはひとり風の中」。盲目の花売りの少女とイヤミの交流を描くエピソードだ。
チャップリン『街の灯』にオマージュを捧げた、原作(『おそ松くん』)にもある物語。原作では時代劇だが、ここでは舞台を終戦直後の雰囲気にアレンジされている。ユーモアとペーソスに溢れた人情話が繊細な演出で描かれた珠玉の話数で、藤田監督も「第2期をやると決まった段階で、『やらないといけない話』と自分のなかで決めていた」という、こだわりの1本だ。

最終2話(第24話、第25話)も、シリアスかつ叙情的な第24話から一転、混沌を極める最終第25話へという第1期同様の流れを踏襲しつつ、そこから発散される闇雲なエネルギーは明らかにパワーアップしている。『おそ松さん』を支持する若いファンへのメッセージも込められた最終2話の爆発力はぜひ、実際に観て感じてほしい。

さらに過激で、先鋭的で、攻撃的で、圧倒的なカオスでーーそれなのに、どこか深い円熟も感じさせる。それが『おそ松さん』第2期なのだ。




(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

アニメージュプラス編集部

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