• 【おそ松さん特集09】松原秀の第2期エピソードコメンタリー
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2020.10.09

【おそ松さん特集09】松原秀の第2期エピソードコメンタリー

(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会


きたるべきバレンタインの狂気

——「狂気」と言えば、全体が何か狂っているというか、オチが投げっぱなしというか……そんなエピソードもパワーアップしていますね。例えば「合成だよん」(第8話)。「合成」というネタだけで、意味もなく延々反復していく。あとは「びん」(第15話)もびんのフタが開かないというだけ(笑)。

松原 そうですね(笑)。まあ、サブタイトルの通りですね。みなさんが「何だ、この話?」と思ったエピソードは、サブタイトルに戻ってもらえるといいかもしれないですね。サブタイトルをもう1回、確認してもらって「あ、なるほど合成の話ね」「びんの話ね」。と(笑)。

——特に衝撃を受けたのは第12話の「返すだス」なんですが。

松原 はい、僕も大好きなんです。

——ダヨーンがデカパンのパンツを奪って逃げて、追いかけて……あとは何の意味もない(笑)。

松原 ほら、やっぱりサブタイに戻るとわかりますよ。つまり「パンツを返せ」って話です(笑)。あれはもう、プロットも口頭でした。「デカパンとダヨーンの話、やってないですね。やりましょうか」って、1時間後くらいに、僕からポロッと出たアイデアです。「ダヨーンがデカパンのパンツ持って、延々と逃げる話、どうですか?」「それでいこう!」って(笑)。

——あの回は脚本とか、どうなっているんですか?

松原 前半から時計塔のあたりまでは確か、脚本に書いてあります。ここで「ホエホエ〜」って言って欲しい、ここで「返すだス〜」って言って欲しいって、セリフも書いてあったはずです。後半は2人の感情はこんな感じってことだけ書いてあって、描写は監督や絵コンテの方にお任せしてたと思いますね。

——衝撃だったのは、途中でデカパンが逆ギレして。ダヨーンがパンツ返そうとしても無視するじゃないですか。で、そこからどうなるのかと思ったら、何事もなかったかのようにまた追っかけ始める(笑)

松原 あのへんのシーンは、僕はもうゲラゲラ笑いながら脚本を書いていたところです(笑)。ダヨーンが走って逃げ出して、延々返さない。途中、返すそぶりとかするけど、でも、返さないんだろうな、と。そのうちデカパンはキレる。不安になってダヨーンが返そうすると、デカパンは「もう知らん、もうお前なんか!」。で、どうなるんだろう……まあ、多分また逃げて、「結局返さねぇんだろうな、アイツ」みたいな。そういう意味では、ことさらぶっ飛んだものをやろうと思っているわけじゃあないんですよ。

——確かに、じゃれ合っているうちに本気のケンカになっちゃったとか、子どもの頃とかによくありますけど。でも……何かがおかしい(笑)。

松原 「イルカ」のアフレコで鈴村(健一)さんに言われたのは、「いや、いい話だよ、これ。あきらめずに頑張る話。ただひとつだけ間違ってる——なぜこいつはイルカになろうとする!?」と(笑)。

——そこだけ普通だったら、いい話なのに、という(笑)。あと、問題作ということで触れたいのは、またも年始に登場した「連続テレビドラマ 実松さん 第九話」(第14話)。

松原 登場しましたね。

——年明け1発目で「また『実松さん』で始めよう」というのは、いかにも藤田監督が考えそうなことですが(笑)。内容は予想の上をいく衝撃だったというか……。

松原 普段の6つ子の世界とリンクしちゃいましたね。全話通して、藤田さんのアイデアが出発点になることはもちろんあるんですけれど、今回の「実松さん」だけは、ちゃんと藤田さんからペラ1枚のプロットが送られてきて、話の流れはもうできてました(笑)。

——特にノリノリで(笑)。

松原 会議して「『実松さん』やりましょうか。この前(第1期)は三話だったし、今回は九話くらいかなぁ……あ、でも今日は時間なんで、内容は次の会議で考えましょう」みたいな終わり方だったんです。で、翌日の昼にはもうメールでプロットが送られてきてました。プロット読んで、笑っちゃいましたよ。「6つ子出てくるんだ、マジか!?」と思って(笑)。夕焼けの中でおそ松と2人きりで話して、「『それが無理なことは、本当はお前もわかってるだろう?』みたいな、切ないことを言う」とか、その時点でもう書いてありました(笑)。藤田さん、「実松さん」になるとノるみたいです。

——では、今のところで、松原さん的にノって書けたエピソードは?

松原 ノッて書けたのは、「アフレコ松さん」(第10話)。「大丈夫かなぁ、怒られねぇかなぁ」と口では言いながら、悪ふざけ的に超ノッて書きました(笑)。あとは、さっき出た「イルカ」と「旅館」も、ノって書けました。「イルカ」は「これは大丈夫、きっとみんなも喜んでくれるな」ってポジティブな方向でノれました。「旅館」は「自分的には超笑えるけど、わかってもらえるかなぁ……」って不安に思いつつノりました(笑)。

——これから先も、ノリノリのエピソードを期待したいですね。

松原 近いところで言うと、いよいよバレンタインデーの話がきますね。サブタイトルもずばり「バレンタインデー」(第19話)です。

——数々のリア充的行事を破壊してきた6つ子が、ついにバレンタインデーに牙をむくわけですね。見どころを教えてください!

松原 さぁ、どうなるでしょう——どうなってしまうんでしょう!? はたして牙をむけるかどうか(笑)。見どころは、どう言えばいいんだろう「そうか、そっちにいっちゃったか……」かな(笑)。

——意味深ですね(笑)。クライマックスに向けてのエピソードにも、期待と不安が膨らんでます。何しろ第1期の「手紙」からセンバツ(「おそまつさんでした」)への衝撃の流れがありましたから。

松原 どうなるんですかねぇ……いや、もちろんもう内容知ってるんすけど、言えないです(笑)。

——つまり、「言えないくらいにすごいことが起こる!」ということでよろしいでしょうか?

松原 はい、そういうことで大丈夫ですので、楽しみにしていただければと思います(笑)。よろしくお願いします!
(初出=アニメージュ2018年3月号)



(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

アニメージュプラス編集部

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