• 森口博子とガンダムソングーーその深い絆
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2020.10.15

森口博子とガンダムソングーーその深い絆

(C)創通・サンライズ


生きるための歌声

——ガンダムという作品を彩る楽曲に、どんな印象を抱いていらっしゃいますか。

森口 やっぱり壮大で重厚感がありますよね。私が歌わせていただいた「水の星へ愛をこめて」「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」など美しい世界だなと。やはり歌詞の意味などを考えると震えるほど美しくて、哲学的で、気絶しそうなぐらい感動します。この年齢になって、やっとわかりはじめました。売野雅勇さんが書かれた「水の星へ愛をこめて」の歌詞も、17歳の私ではまだ理解が浅かったと思うんですが、50代になった今は「時間(とき)という金色のさざ波は宇宙(おおぞら)の唇に生まれた吐息ね」と、本当にため息がもれちゃいます。売野さんが描きたかった天地創造の世界にやっと気付いた、そんな感動もあります。

——今回はカバーアルバムですから、オリジナルは別の方が歌っている曲も多いです。たとえば、先行配信もされた「星空のBelieve」。聴かせていただきましたが、とても素晴らしかったです。

森口 嬉しい! ありがとうございます。「星空のBelieve」はデビュー曲(「水の星へ愛をこめて」)がOP曲だったときの『Zガンダム』ED曲だったので、私にとっては運命共同体、ファミリーソングです。日ごろからよく口ずさんでいる大好きな曲ですし、仲良くさせていただいている先輩の鮎川麻弥さんの曲なので、リスペクトを込めて歌わせていただきました。BS11の「Anison Days」というレギュラー番組に麻弥さんがゲストできてくださったときにもコラボさせていただきましたし、今回もレコーディングするのがとても楽しみでした。

——この曲は、どんなことを思いながら歌いましたか。

森口 レコーディングは緊急事態宣言が発令される前でしたが、すでに日常的にマスクをしたり、手洗い消毒が当たり前になったりしつつある時期でした。歌詞のひとつひとつが本当に、目に見えないものと闘っている今の私たち、ソーシャルディスタンスを保ちながら会いたい人とも会えない環境の中で生きている私たちにリンクしたんです。ひと言ひと言が私にとっても強く響いて、ガンダムの曲でありながら、時代を越えてこんなにも人類に訴えかけるメッセージが息づいている。本当にガンダムの曲ってすごいなと感じました。そして、その後に緊急事態宣言が発令されて、レコーディングが中止に。リリースも延期になったんです。当初リリース日の6月にせめて先行配信だけでも、とこの曲を配信しました。すると、聴いてくれたみんなから「涙がこぼれました」とか、「頑張って生きようと思います」とか、たくさんの熱い感想をいただいて。歌って本当にメッセージなんだなって、あらためて気付かせてもらえました。

——アニメソングらしいく壮大で、とてもストレートに響く歌声で。だけどところどころにドキッとするような「親密さ」や、大人っぽい色気のようなものも感じました。今さらこんなことを言うのも失礼ですが……「森口博子、すごい!」と思いました。

森口 あははは、嬉しい! 今の、ぜひ太字の見出しにしてください(笑)。ありがとうございます。

——さきほどおっしゃっていた壮大さを感じさせる部分がある一方で、「あなた」という言葉で個人的に誰かに呼びかけるような生々しさもある。そのスケールの違いは、やはり歌うときに意識していらっしゃったのでしょうか。

森口 意識するというより、「星空のBelieve」に関しては、状況がそういう気持ちにさせてくれたという気がします。たとえば「愛したひとのため Please」というフレーズは、本当に大切な人のことを思ったら、歌っていて涙が出そうでした。家族のこととか、離れて暮らしている母や、今はなかなかイベントやコンサートで会えないファンのみんなとか……。

——歌が時代や状況を超えて違う意味を持つ。逆に言えば、根底に共通した何かがあるということなのでしょうか。

森口 共通した何かというのは、私は「生きる」だと思います。ガンダムのテーマも根底は「生きる」ですよね。今回のレコーディングが、地球が未曾有の危機に直面しているタイミングだったので、音楽が生きる力になって、人の日常に寄り添うことができればという思いはありました。「だって会えないんだもん。生でお届けできないんだもん」って、思いは募ります。
新型コロナも、当初は何ヵ月で乗り切れるのかなって、みんな考えていたと思うんです。最初に緊急事態宣言が発令されたときでも、夏くらいには収束する感覚で。でも、ふたを開けてみたらそんなに簡単なものではありませんでした。何年かかるかわからない闘いになりそうですが……。

——でも、このアルバムを聴いていると元気が出て、闘いに向かう勇気が湧いてきますよね。

森口 そう感じていただけると何よりです。


アニメージュプラス編集部