• 森口博子とガンダムソングーーその深い絆
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2020.10.15

森口博子とガンダムソングーーその深い絆

(C)創通・サンライズ


楽曲から受け取ったメッセージ

——他の収録曲で、あらためて「歌詞にこんな意味が」、あるいは「曲自体にぐっときた」といった楽曲はありましたか。

森口 曲自体にぐっときたといえば、今回のリード曲になっているわたしのオリジナル「君を見つめて -The time I'm seeing you -/with 本田雅人」。91年の『機動戦士ガンダムF91』のイメージソングです。実は当時メイン曲としてレコーディングしていたのですが、リリース直前に富野(由悠季)監督の一声でカップリングだった「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」がメイン曲になって、「君を見つめて」のほうがカップリング曲になったという経緯があります。
結果、「ETERNAL WIND」でたくさんの人に注目していただきましたが、そういう意味では逆に「君を見つめて」の出番はなかなかなくて……。でも今回、ファンのみなさんの投票で第3位にランクインして。きっとファンのみなさんもこの曲を同じ気持ちで望んでいた。だから収録されて喜びにあふれているんじゃないかなって、想像すると私もぐっとくるものがあります。
それから、今回のレコーディングでは途中の落ちサビの部分が、当時20代だった私の歌声と、現在50代の私の歌声を重ねたツインボーカルになっているんです。過去と未来のコラボレーションが実現できて、それも感慨深かったです。

——20代のご自身の歌声を今、聴いてみての印象は?

森口 「真面目か!」って思いました(笑)。まっすぐで真面目で。でも、種明かしする前に気付いた通なファンの方もいらっしゃいましたし、「(当時の声とのコラボ)泣けました」とか「鳥肌が立ちました」とおっしゃってくれる人もいました。私も実際、レコーディングで重なった声を聴いたときに、ウルっときたんです。こんなにも長く歌わせていただけて、ファンのみんなやスタッフといろいろなことを乗り越えてきた証だなって、そのツインボーカルを聴いて思いました。そして、フィーチャリングされている元T-SQUAREの本田雅人さんのサックスも、クールと情熱が共存していて、もうカッコいいの一言です! MVもバンドスタイルで、評判いいです! 森口博子オフィシャルYou Tube チャンネルで公開中なので、是非、チェックして下さね。
あと、歌詞についていうと「サイレント・ヴォイス / with 寺井尚子」ですね。「拍手鳴らない星空で」というフレーズ。先日、寺井尚子さんのジャズライブにゲストで出演させていただいた際、ソーシャルディスタンスを保ちながら聴いてくれているファンのみなさんが一生懸命、拍手をくれたんです。「拍手鳴らない星空で」というのは、どんなにさみしい世界かとも思うけれど、今日はお客さんがソーシャルディスタンスを保ちながら一生懸命拍手をしてくれたんです。「博子ちゃん!」とか、「ありがとう!」「楽しかったよ!」といつも客席からかけてもらえる言葉が、そのときは声になって届かない。その感覚がまさに「サイレント・ヴォイス=声にならない声」と重なって、今の地球とこんなにもシンクロするんだ、と。命の叫びをこの曲にも感じました。同時レコーディングでも寺井尚子さんの情熱的なバイオリンがドラマチックに響いて圧巻で、尚子さんのバイオリンで私も覚醒されました。興奮しました!
「いつか空に届いて / with 武部聡志」は武部さんの美しいピアノの演奏とエバーグリーンなアイリッシュ風のアレンジが最高に心地良かったです! 安心の同時レコーディングになりました。
「あんなに一緒だったのに / with 押尾コータロー」は梶浦由紀さんのメロディーがとてもストレートで印象的。押尾コータローさんのスパニッシュ風のギターともマッチして、オシャレでとにかくカッコイイ! 痺れちゃいます!!
塩谷哲さんとコラボした「一千万年銀河 / with 塩谷哲」は、富野監督(井荻燐)の歌詞に凛とした哀愁を感じて、大人になればなるほど染みてきます。「星の数だけ生命(いのち)を貯えれば」という歌詞は輪廻転生を感じさせます。私たちひとりひとりが星であり、それがめぐりめぐっていろんな出会いが生まれる。星のパズルのなかで、どんな人と出会うのだろうか……そんなイメージもこの年齢になって気付くことだなぁという感動がありました。そして塩谷さんの透明感溢れるピアノが本当に素晴らしかったです! 煌めきに包まれた同時レコーディングです。
「限りなき旅路 / with VOJA」は、ファンのみなさんの投票とは別に “森口博子枠” として選ばせていただいた曲。菅野よう子さんの失神するほどの壮大なスペーシーソングの極みですよね。「Anison Days」でカバーさせていただいたときにとても感動して説明のつかない涙がこぼれたんです。これはぜひみなさんにお届けしたいという思いで選びました。ゴスペルコーラスグループのVOJAさんの壮大なコーラスワークが、本当に “宇宙” になっていました。生で聴いてこちらも感動の涙が!
そして、忘れちゃ行けない大事な曲「銀色ドレス」。デビュー曲「水の星へ愛をこめて」のカップリング曲で、劇中では第20話で一度しか流れていない挿入歌ですが、いまだにファンのみなさんに愛していただいて、本当に私も嬉しいです。途中でリズムが急にワルツに変わるのですが、これはオリジナルにはない今回の新しいアレンジで、そのアレンジを聴いたとき私、実は号泣したんです。主役のカミーユがTVシリーズの最終回で精神のバランスを崩してしまうのですが、そのカミーユの精神が崩れる瞬間と、リズムが急に変わって優雅なワルツになる瞬間が、私のなかでリンクしたんですよ。ワルツは3拍子でとても優雅じゃないですか。でもその優雅さに、逆に何かが壊れていくようなイメージが重なって……号泣しました。カミーユのことを思ったら胸が痛くなって。きっと私たちの社会でも起こることだと思うんです。不器用な人や、人間関係で摩擦が起きてしまう人……そういう人たちもみんなが健やかに生きてほしいなという祈りが、私のなかでワルツになったような気がしました。聴く人にとっては、それぞれの回想シーンを彷彿させるリズムでもあると思います。

——多彩な曲が収録されていて、それでいてガンダムという一本筋が通っていて。『GUNDAM SONG COVERS 2』はとても聴き応えのあるアルバムになりましたね。

森口 はい。豪華なミュージシャンの方々と一緒に、こんなに贅沢なアルバムをデビュー35周年に制作することができて、本当に私は幸せ者だなと感じています。応援してくださっているファンのみなさん、支えてくださっているスタッフのみなさん、ミュージシャンのみなさんに心から感謝の思いでいっぱいです。想像を遥かに越えた大勢の人たちの想いが込められた、みんなで作ったアルバムです。それに、ファンの方からいただいた10万票を超えるこの投票は私にとって、みなさんから受け取った大きなバトンだと感じています。そのバトンをさらに太く、輝くものにして、アルバムとしてお届けすることができたと思います。

——最後に、少し気が早いですが……第3弾も期待していいですか?(笑)

森口 (笑)。まあ、何といってもガンダムソングは360曲以上ありますからね。アルバムのボーナストラックとして、みなさんの投票とは別枠の “森口博子枠” で「限りなき旅路 / with VOJA」を最後に収録するということにこだわりました。私たちの人生も、ガンダムも限りなき旅路——つまりTo be continued...そんな意味も込めさせていただいたので、ぜひお楽しみに!

森口博子
1985年『機動戦士Ζガンダム』の主題歌「水の星へ愛をこめて」でデビュー。音楽活動と並行し、様々なジャンルで活躍し幅広い層に支持される。1991年に映画『機動戦士ガンダムF91』の主題歌「ETERNAL WIND 〜ほほえみは光る風の中〜」がヒットし、初のベスト10入りをはたし、同年から6年連続でNHK「紅白歌合戦」に出場。透明感に深みとパワーが増した歌声で、ライブ活動でも人々を魅了している。

アニメージュプラス編集部