• 【おそ松さん特集10】藤田陽一と松原秀が語り合う第2期最終回!
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2020.10.10

【おそ松さん特集10】藤田陽一と松原秀が語り合う第2期最終回!

(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会


最終回だからみんな死んじゃえばいい!?

——「桜」では、宝探しに行くイヤミたちを見送るおそ松の姿が印象的でした。「モラトリアムの終わり」の象徴として、淡々としつつも切なく表現されていてグッと来ました。

藤田 はい、はい。

——で、それがまさか「地獄のおそ松さん」への伏線になっているとは……と(笑)。

藤田 ははは(笑)。

松原 ありましたよね、「やりやがったな!」感が(笑)。

——宝探しに出発したイヤミの飛行機が6つ子の家に墜落して、おそ松が「言いたいこと」を言う前に全員死んで地獄に落ちてしまう、という展開でした。あらためて聞くのもちょっと間抜けですが(笑)、最後に生き返るとはいえ、どうして6つ子を殺しちゃったんですか?

藤田 まあ最終回なんで、みんな死ねばいいんですよ。

松原 ……(笑)。ええと、まず第24話が「何となくこんな話かな」と決まり、じゃあ最終回はどうしよう? ということで。何かアイデアを出すきっかけにでもなればと、熱海に行ったんですよ。

藤田 そう、また熱海に行って打ち合わせ。熱海打ち。

松原 そしたら、なぜかそんな話が出てきたんですよね。「最終回だから死んだほうがいいんじゃない?」みたいな(笑)。あと、地獄に行ったらF6もいるのかなとか。

藤田 最近見ないキャラクターはみんな、地獄に落ちてりゃいいんだよって。少なくとも天国には行ってないだろうから。それに、わりと初期から、地獄をネタにした話はやりたいなっていうのもあったので。

松原 そうでした。それを結局、最終回に持ってきた形ですね。それにしてもあんなフザけた話なのに、終盤の盛り上がりはすごかったですよね。ちょっと観ていて「熱さ」も感じましたよ。最後にアガってくところでウルっときたっていうスタッフもいましたけど、僕もその気持ちはわかりましたよ。

藤田 後半は熱血少年アニメですからね、演出の方向性が。

松原 確かに、何とかしようと必死にあがいている感じでしたね。

藤田 第1期の最終回(「おそまつさんでした」)は、あえてドラマを排したお祭り騒ぎだったけど、今回はちょっとドラマチックにしました。とはいえ、やっぱり最後はお祭りにしたいから、最終回らしくカロリーを無理矢理使って、強制的にテンションをアゲてみたって感じですね。

——せっかくなので、後半のエピソードで藤田監督的に印象深いものを挙げていただけますか?

藤田 印象深いエピソード……まあ「イヤミはひとり風の中」(第18話)かな。あれは、第2期をやると決まった段階で、最初から「やらないといけない話」と自分の中では決めて、勝手に背負い込んでいたんです。だから完成した時は、肩の荷が降りた感がありましたよ。

——あの話は原作にあるエピソードですよね。原作では「時代劇」ですが、今回は終戦直後の雰囲気にアレンジされていました。どうしてあのエピソードをやろうと?

藤田 それは単純に、小1、小2くらいの時に原作を読んで、いまだに覚えていた話だから。ただ、イヤミのキャラクターがある程度認知されてからじゃないとできない話なので、第1期でやるのは無理で。第2期があったらやろうと思ってました。

松原 結構、早い段階から準備をしていて、確か最初は1クール目に入っていましたよね。だけど「まだちょっと早いか」とか……。

藤田 あと「こっちの話を先にやっとかなアカン」とか、そういう調整をしているうちに、思ったより後半にやることになりました。

——赤塚不二夫先生らしい、チャップリン風の人情話が見応えありましたし、終戦間もない風景の描写もさりげなく細かかったですね。

藤田 いやあ……TVシリーズの1話こっきりで、あんなことをやっちゃあいけないな、と。各話のスタッフが頑張ってくれたおかげで、いい形になったと思います。(赤塚)りえ子さん(赤塚不二夫の娘でフジオ・プロ社長)もあの回をめちゃくちゃほめてくださったそうで。やってよかったなと思いました。

——では最後に。第2期を作り終えての今のお気持ちをお願いします!

松原 ……こういうのって普通、感慨とかあるんでしょうか?(笑)。

藤田 物語がキレイに終わったらあると思いますけど……オレも『貧乏神が!』とか『クラシカロイド』の第1期とか、キレイにお話を終わらせたなって時は、少し感慨みたいなものはありましたよ。でも、『おそ松』みたいに永遠に続いてもおかしくないタイプの作品だと、特に何もないなっていう感じで(笑)。

松原 「終わった感」を抱きにくいタイトルってことですね。あ、あと個人的には、少し6つ子を休ませたほうがいいんじゃないかな、と思ってます。さすがにあいつらも、疲れたんじゃないですかね(笑)。

藤田 EDイラストで浅野くんは「魔他井津華怒狐火出!(またいつかどこかで!)」って書いていましたね……卒塔婆に。

松原 前向きなメッセージだけど、書いてある場所がなぁ……(笑)。

藤田 というわけでこの対談も、締めの言葉は浅野くんの詫びイラに任せるってことで!(笑)
▲「詫びイラ」by 浅野直之
(初出=アニメージュ2018年5月号)

(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

アニメージュプラス編集部

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