• ASCA『Howling』インタビュー「今を一生懸命生きてるみんなと声を上げたい」
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2020.10.17

ASCA『Howling』インタビュー「今を一生懸命生きてるみんなと声を上げたい」

ASCA『Howling』インタビュー「今を一生懸命生きてるみんなと声を上げたい」


◆02:『ハイドレンジア』
自分自身の実体験を交えて書いていったので、この歌詞を書いてる時はちょっとしんどかったです。

――『ハイドレンジア』は、タイトルやメッセージをASCAさんが決められたんでしょうか。

ASCA 違うんです。実は、これは3年以上前から存在している楽曲で。この曲を作ってくれたSakuさんと出会った頃に「これを歌ってほしい」ということを言っていただいて。1コーラスだけプリプロしたデータがあったんですが、最初に聴いた時から大好きな曲だったんです。Sakuさんとも、「これをどうにかしてASCAとして届けたいよね」っていうことは、この3年ずっと言ってたんですよね。ようやくリリースできたので、念願が叶った1曲です。今回の作詞は、Sakuさんが書いてくれた美しい1番の歌詞の世界観を、なるだけ壊さないようにと意識して書きましたね。1番の世界観は、Sakuさんにヒアリングしました。「1番っていうのは、『自分が想っている人の気持ちは、自分には向いていない。そのことに気づいてしまったけど、それでも好き』ということでよろしいのでしょうか?」という感じで。解釈が合っていたので、そこからどう書いていこうかなって考えていったんですけど、全く書けないくらい悩んでしまって。

――悩んだというのは……

ASCA Sakuさんの世界観を壊さず、新たに想像して作っていくということをやったことがなかったので難しくて。1番の「好きな相手の想いが、自分には向いていないことに気づいてしまった」という部分に目を向けた時に……なんで気づいちゃったんだろう? ってところに行き着いて。そこから書いた2番は、ちょっと時が戻るんです。曲中の「相手」が、他の人に自分が見たことない優しい笑顔を向けていて、「え、私そんなの見たことない。知らない」って。時系列的には、2番が一番辛い時かなとも思うんですけど……。

――そうした構成なんですね。《痛くて苦しくて それすら愛してた》というフレーズから、相手との時間全てを肯定したい気持ちがあるのかなと感じていました。

ASCA そうなんですよね。自分自身の実体験を交えて書いていったので、この歌詞を書いてる時はちょっとしんどかったです。悩みながら、自分の気持ちを出しながら……でも、Sakuさんの世界観を壊さないようにっていうことをやっていきました。最初にデモを聴いた時に、間奏のストリングスが入ってくる箇所が印象に残ったんです。切ない音だけど、切ないだけじゃなくて希望も感じるなと。なので、この1曲を悲しいだけの曲にしたくなくて、最後のサビは少しだけ傷が癒えているというか……ちょっとだけ前を向いているような歌詞にしました。

――どのようなお気持ちで歌われたんでしょうか。

ASCA ずっと3年前からの音源を聴き続けていたのもあって、歌の表現に関しては「これがリリースされる時は、もっとこういうふうに歌いたいな」とか、色々と自分の中で気持ちが更新されていっていて。それをようやくレコーディングで解禁できたわけなんですけど……音を聴いた時に、サビで大雨が降っているような印象を受けたんです。歌詞にも《雨に打たれながら》ってあるんですけど、歌詞とも相まって本当に大雨が降っているように思えて。なので、切ないんだけど……大雨の中で悲痛な叫び声を上げているようなイメージがあったので、今回はそういう歌唱になっていますね。

◆03:『OVERDRIVE』
先にある楽しいことを用意したくて、こういう楽曲に仕上がりました。

――『OVERDRIVE』の共同での作詞、作編曲を担当されている重永亮介さんとは、『リインカネーション』からご一緒されていますね。

ASCA はい。もうずっと……長いですね。ライブも一緒にやってくださってます。

――『OVERDRIVE』は、胸に突き刺さるようなサウンドや歌詞が印象的でした。今回の楽曲に込めた思いをお聞かせください。

ASCA 今まで歌う人として歩んできた中で、孤独だったり……夢を追うからこそ失ってしまうものってあるなと感じているんです。《脆い自分と戦い続ける》という歌詞で言うと……ステージに常に自信をもって立てていたかと言われれば、本当に、夜眠れないくらいの不安を抱えてステージに立ったこともあったなって。でも、結局そういうものを払拭してくれるのは、応援してくれるみんなで。夢を追い続けることっていうのはそういう側面もあるけど、歌い続けてこなかったら掴めなかったものが最近になって自分の中にちゃんと見えてきたものとしてあって……この曲には、そうした思いが込められています。この曲、最初は間奏がすごく短かったんです。けど、今みんなに会えない、一緒に声を上げられない状況だからこそ「コールアンドレスポンスの時間がほしい」と感じて、重永さんに間奏を延ばしてもらうようにお願いしました。そうした間奏が長い楽曲を今の時代に出すのって結構挑戦というか、勇気がいることだったんです。でも、自分に自信を与えてくれた存在であるみんなに、いつか絶対会えると思うし、またその時に一緒に声を出したいっていう、先にある楽しいことを用意したくて、こういう楽曲に仕上がりました。

――アーティストとファンの気持ちがひとつになる瞬間を、ご自身で明確に打ち出されたんですね。

ASCA そうです。この曲もだし『Howling』でも、“みんな”っていう存在が私の頭の中にあって。だからこそ、完成したのかなって思いますね。

――ラストの《幻の向こう側へ/君を連れていくよ》というフレーズも胸に迫りました。

ASCA 嬉しいです。ここは、ずっと会えない期間があってようやく会えたっていう、未来のことを歌ってます。「本当に希望しか持っていないよ」っていうメッセージでもあるんです。

――レコーディングの時は、どのようなお気持ちで歌われましたか。

ASCA これは自粛期間を経てレコーディングをしたんですけど、世の中ではライブを誰もできてなくて。開催の目処も立っていない、いつできるかわからない状況の中でレコーディングをしたので……全然先が見えてないけど、自分の中では「いつか絶対、ファンのみんなに会える」って信じてて。それが何年後になるかわかんないけど、今の時代だからこそ、歌で希望を作りたい・届けたい気持ちで歌ってました。

――この曲の聴きどころはありますか?

ASCA そうですね……冒頭の、叫び。あれは、レコーディングの最後に録ったんです。声が全開になって、ライブ後半ぐらいの仕上がりになった時に歌ったんですよ。なので、ライブでのみんなの顔を思い浮かべながら歌った箇所ですね。

◆期間生産限定盤(アニメ盤)収録『grilletto』
何度もライブにも遊びに行かせていただいている、大好きなGARNiDELiAさんの曲をカバーさせていただきました。

――『grilletto』は、どのような経緯でカバーされることになったのでしょうか。

ASCA 今回、TVアニメ『魔法科高校の劣等生』のオープニングを歌わせていただいていますが、このアニメは一度、放送が延期になったんですよね。なので、「ようやく届けられる」って気持ちがまずはあって。それと、アニメ作品の楽曲を歌わせていただけることのありがたさを感じていて。アニメ盤は、アニメが好きな方も手に取ってくださると思うので、よりアニメと楽曲を楽しんでいただけるんじゃないかなということで、何度もライブにも遊びに行かせていただいている、大好きなGARNiDELiAさんの曲をカバーさせていただきました。

――この曲は「絶対歌いたい」という感じで決まった曲なんですか?

ASCA はい、そうです!!(即答&笑顔)この曲は、ライブで何度も聴いているんですが、メイリアさんは踊りながら歌うので……「いやぁ、これはすごいな!」ってリスペクトしてた曲なんです。今回は、編曲をTeddyLoidさんという方にお願いしてまして、新たな風を吹かせてくれました。レコーディングにも立ち会ってディレクションしてくださったんですけど、歌を録り終えて、どのテイクを使っていくかっていう作業も一緒にして。音源を何度も聴いていたので、自分の中ではリズムにとにかく忠実にタイトに……ニュアンスや表現を重視するよりは、ちゃんと音を当てていくみたいな歌い方を意識してたんですね。なんですけど、TeddyLoidさんから「それよりも、ASCAさんらしい表現があるものを使いたい」というお話がありまして。おー、面白いなー、全然歌の捉え方が違うんだなーって思いました。TeddyLoidさんの楽曲を色々と聴かせていただいていたのもあって、格好いいものが出来上がると確信していたので、お任せすることにしました。完成した楽曲を聴いた時は……もう、スタッフさんもみんな「めっちゃ格好いい~~っ!!」みたいな!(笑顔)デモの段階から色んな音が混じっていて、すごい変貌を遂げた1曲です。

――アレンジの方向性も含めて、すべてTeddyLoidさんにお任せされた?

ASCA そうですそうです。一任しました。イントロや間奏に、「どこから持ってきたんだろう!?」っていう私の1音を切り貼りしたものが入っていて。テイクを選ぶ時は、私らしい表現を大事にしてくださっていたんですけど、声を楽器としても捉えて使われるんだなっていうことにびっくりしました。「えっ、その音をここに持ってくるんだ!?」みたいな使い方というか……度肝を抜かれて。ヴォーカルのテイクの選び方が、私が想定していたものとは違っていたので、どういうものが上がってくるのか楽しみにしてたんですけど、その楽しみをさらに上回るもので返してくださったので、今回作っていただいて本当によかったなぁって思ってますね。

――ASCAさんのお気に入りのフレーズはありますか?

ASCA えー、どこにしよう! えー、迷うな……。じゃあ、落ちサビの《壊れそうな儚いリアルを/永遠なんてありえない/軌跡を描いてく》っていうところが……うん、好きですね。“今”とすごくマッチしているなと思って。《永遠なんてありえない》し……。自分自身が歌を歌っていけていることもだし、私の音楽に出会ってくれる人がいるってことも奇跡で。このフレーズは落ちサビでテンションを上げて、ニュアンスをすごくつけて歌っている場所でもあるので、共感しますね。自分自身も、もっとこれから活動していく中で、色んな奇跡を作って、《軌跡》を描いていきたいと思います。

――GARNiDELiAさんの楽曲で、カバーしてみたい曲はありますか。

ASCA カバーしてみたい楽曲!?(笑)え~……! 中学生ぐらいから好きなので……「踊ってみた」の時から、存在が唯一無二過ぎて憧れてたんです。メイリアさんって、元々はジャズを歌われているんですけど……んー、『G.R.N.D.』っていうアルバムの『Love Swing』ですかね。自分は歌えないからこそ、挑戦してみたいというか。めっちゃ格好よくて。

――ASCAさんが歌われる『Love Swing』をいつか聴いてみたいです!

ASCA いやあ、すごい長い戦いになりそう……(笑)難しそうですけど……ありがとうございます。

◆最後に、ファンの方へのメッセージをお願いいたします。

ASCA 長い期間、みんなに会うことができない中で、SNSに色んな中止のお知らせを出さなきゃいけないことが何より悔しくて……。ライブで一緒に声を上げてパワーが集う空間を作ってくれたのはみんなだから、楽しかった記憶が込み上げてきて、悔しくて涙が出たこともありました。今回、改めて自分自身と長い時間向き合う機会がありましたが……自粛期間前や、自粛期間に入ってからSNSや手紙でくれる言葉があったから、自分自身も信じてあげることができました。
「ここで終わりじゃない」「この先で絶対にまた会えるよ」っていう希望があるのはもちろんですが、今この状況だからこそ説得力をもって歌える歌詞達がいっぱいあるので、ただ、毎日を……今の時代を一生懸命生きてるみんなのそばに、このシングルがいてくれたら嬉しいです。力にならないかもしれないけど、出会えたことが奇跡だと思ってるから、このシングルがみんなのそばにいてくれたら幸せだと思ってます。



【CD概要】
通常ジャケット
7th シングル「Howling」
TVアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』オープニングテーマ
2020年10月4日「Howling」先行配信
2020年11月4日 CD RELEASE

〇初回生産限定盤(CD+BD)1800円+税
〇通常盤(CD)1300円+税
〇期間生産限定盤(CD+BD)1600円+税

<DISC1:CD(初回生産限定盤/通常盤)>
M1. Howling
M2. ハイドレンジア
M3. OVERDRIVE
M4. Howling -Instrumental-

<DISC2:BD(初回生産限定盤)>
M1. Howling Music Video
M2. ハイドレンジア Music Video

<DISC1:CD(期間生産限定盤)>
M1. Howling
M2. ハイドレンジア
M3. grilletto
M4. Howling -TV Size ver-

<DISC2:BD(期間生産限定盤)>
M1.「魔法科高校の劣等生 来訪者編」ノンクレジットオープニングムービー

>> ASCA オフィシャルサイト
>> ASCA オフィシャルTwitter

出雲ゆき弥

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