• 本広克行監督が語る『ビューティフルドリーマー』の実験と野望
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2020.11.05

本広克行監督が語る『ビューティフルドリーマー』の実験と野望

(C)2020映画「ビューティフルドリーマー」製作委員会



本広克行監督インタビュー



――まずは新レーベル「シネマラボ」発足のきっかけからお聞かせ下さい。

本広 今年亡くなられた大林宣彦監督から「今の時代、君たちが頑張らないと映画がダメになるぞ」と励まされていたんですが、その際によくATG(日本アートシアターギルド/60~90年代初頭にかけて、映画作家を重んじる非商業主義的芸術作品を製作・配給し、若い才能を発掘した映画会社)の話をされていたんですね。
確かに今は若手が最初に作る自主映画の製作費が数百万、僕らが作るメジャー作が数億でその間を埋める枠、若手が挑む第2作にふさわしい枠がないんですよ。僕自身ATG作品が大好きだったし、実写を撮りたがっている押井(守)さんを担げば何かできるんじゃないか、と思ったんですね。

あと、僕が主宰している「さぬき映画祭」で小中和哉監督とお会いした時、「『星空のむこうの国』(86年)のセルフリメイクをやってくださいよ!」とお願いしたのも大きいですね。僕らの世代の映画人にとって、あの作品の影響って本当に凄いですから。そういった話をしていたら、いろんなところから協力が得られるようになって、このような形になりました。

――で、本広監督が今回テーマに選んだのが……。

本広 押井作品のオマージュを含めた、青春映画です。この機会に、あえて売れない「ちょっとSFコメディ」をこじんまりとやろう、と。今回新たに押井さんに「夢みる人」というシナリオを書いてもらったんです。でも、これをそのまま作ると今回の企画としては予算的に厳しい……と判断して、そこからあれこれと変わっていって。




――押井さんの元のシナリオはどういう話だったんですか。

本広 文化祭の前日を何度も繰り返す軽音楽部の話なんです。ただ音を扱う作品は時間がかかるし、しかも押井さん、登場人物に東欧の女の子を入れてくるんですよね(笑)。「またかよ~!」と。まあ、最終的には押井さんに「(改変に関しては)任せるよ」と言われたので、セリフの中に僕らが影響を受けて来た映画タイトルをあれこれとぶち込んだりして、楽しみました。

(C)2020映画「ビューティフルドリーマー」製作委員会

アニメージュプラス編集部

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