• 『ゲゲゲ忌2020』に見た、そのユニークな魅力と可能性~前編~
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2020.12.30

『ゲゲゲ忌2020』に見た、そのユニークな魅力と可能性~前編~

『ゲゲゲ忌2020』のスタンプラリーに参加することでいただくことのできた限定特別御朱印。こちらはアマビエのデザイン (C)水木プロ

『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』『河童の三平』『総員玉砕せよ‼』など数々の名作で知られ、2015年にこの世を去った漫画家の水木しげるさん。東京都調布市では、その命日である11月30日を『ゲゲゲ忌』と名付けるとともに、生前の功績を称えるさまざまな催しを毎年11月下旬に開催してきた。

5回目となる今年は、新型コロナウイルス蔓延という予期せぬ事態に直面することとなった。だが、感染予防に最大限留意しつつも、結果的には11月21日(土)~11月30日(月)という、例年と変わらぬ10日間にわたって実施され、常連参加者である筆者としてもホッと胸をなで下ろす気持ちだった。

以下、今回の『ゲゲゲ忌2020』の内容を中心に、本イベントの魅力をご紹介するとともに、5回目を迎えたことで、『ゲゲゲ忌』が新たな可能性とユニークな特色を持ち始めている点についても触れてみたいと思う。
(取材・文・写真:原口正宏/リスト制作委員会)
▲『ゲゲゲの鬼太郎』第5期のレギュラーキャラだった妖怪アマビエが私たちに見せているのは、水木しげるさんが描いた「妖怪画」のアマビエ。江戸時代に肥後の国に現れたアマビエは、諸国の豊作と同時に疾病の流行も予言した。その際に「私の姿を写し、人々に見せよ」と言って海に帰ったとされる。『ゲゲゲ忌2020』のメインビジュアルは、その伝承にあやかった構図になっているのだ

■スタンプラリーでリアル「水木ワールド」を体験
『ゲゲゲ忌』の催しの大きなコンセプトの一つとして、「水木しげるさんゆかりの地を巡るイベント」という側面がある。調布市は、水木さんが1959年に住居を構えて以来、56年もの歳月(つまり生涯の半分以上)を過ごした第二の故郷ともいえる地である。2008年には調布市の名誉市民に選ばれている。当然、生活と執筆にまつわる数々の思い出や創作のヒント、舞台のモデルとなった場所、水木マンガゆかりのスポットが多く存在する。

例えば、『ゲゲゲの鬼太郎』の原作で猫娘の棲み家として言及されている神社は下石原八幡神社、鬼太郎が住んでいるのは布多天神社の裏の所有者不明の土地……といった具合だ。また、調布駅近くの天神通りには鬼太郎やねずみ男などのオブジェが設置されているし、市内を走るミニバスの車体には鬼太郎と仲間たちの絵が描かれている。深大寺門前には水木マンガにちなんだ甘味メニューが楽しめる「鬼太郎茶屋」もある。さらに、覚證寺を訪れれば、可愛らしい石造りの鬼太郎とねずみ男がデザインされた、水木さんのお墓にお参りすることも出来る。つまり、調布の至る所にリアルな「水木ワールド」が潜んでいるというわけだ。しかも、最新作のアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第6期では、犬山まなが暮らす舞台が調布市と設定されており、相乗効果として「聖地巡礼」の意味合いも加わったことになる。
▲下石原八幡神社の境内にて。原作『ゲゲゲの鬼太郎』で、猫娘が棲んでいたとされる神社のモデル。

▲布多天神社の本堂裏に回ると、妖怪ポストが立っている。


初回以来、毎年実施されてきた「スタンプラリー」は、そんな水木マンガゆかりのスポットや、このイベントに協賛している店舗や施設を巡りながら、お馴染みのキャラクターをあしらったスタンプを指定の用紙に集めていく趣向。まさに、調布市ならではの地の利を生かした催しなのである。

(C)水木プロ (C)水木プロ・東映アニメーション

アニメージュプラス編集部