• 『ゲゲゲ忌2020』に見た、そのユニークな魅力と可能性~前編~
  • 『ゲゲゲ忌2020』に見た、そのユニークな魅力と可能性~前編~
2020.12.30

『ゲゲゲ忌2020』に見た、そのユニークな魅力と可能性~前編~

『ゲゲゲ忌2020』のスタンプラリーに参加することでいただくことのできた限定特別御朱印。こちらはアマビエのデザイン (C)水木プロ


■シアタス調布で行われる歴代『ゲゲゲの鬼太郎』アニメ上映会
アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第6期の放映がスタートした2018年から東映アニメーションが企画に協力するようになり、本イベントにアニメ上映&トークという新たな魅力が加わった。前年の2017年にも、オープン直後のイオンシネマ シアタス調布で、無料上映という形で「京極夏彦氏が選ぶ! 水木しげる作品 アニメ上映会」が開催されたことはあったが、2018年は、映画館本来のプログラムとして、格段にバージョンアップが行われた。すなわち、1~6期すべてのアニメからエピソードを4話ずつ厳選、連日夕方の回に上映会が実施されるというスタイルになったのである。各期ごとに上映日が分かれているのもユニークで、上映の合間には、その期にちなんだゲストを招いてトークショーも行われるなど豪華な内容になっている。

今年は、上映&トークが行われる日数は過去2年間よりも抑えられ(土日と祝日、千秋楽の計6日)、ゲストの生出演も別会場からのライブビューイングとなったが、映画館に来られない遠隔地のファンにとっては「生配信」という形で自宅や離れた場所からでもリアタイ視聴出来るという幸いな面もあった。また、当日から1週間はアーカイブ配信を購入でき、これによって期間内なら何度でも観賞することが可能となった。
▲シアタス調布で連日行われたアニメ上映会。今回は『ゲゲゲの鬼太郎』第4~6期と『悪魔くん』からの名作エピソードをセレクト。

■「ゲゲゲ忌2020」ゲスト陣のパワーアップとあふれる水木愛

実際、今年のトークはゲストの顔ぶれや内容に、ひと工夫もふた工夫も凝らされたものが多かった。上映エピソードもよく吟味されており、登壇者の思い入れの深い回が的確に選ばれているように感じた。
以下、トークショーにおける各ゲストのお名前と概要を紹介する。

まず、11月21日(土)の夜は『悪魔くん』のスペシャルデー。ゲストは昨年同様、悪魔くん役の三田ゆう子さん、メフィスト2世役の古川登志夫さん、シリーズディレクターの佐藤順一さん、選曲の佐藤恭野さんが揃った。リモート収録ならではの工夫として、ゲストの背後にあるグリーンバックに、同作の主人公・埋れ木真吾の部屋の美術ボードが合成されているのが粋な演出だった。佐藤恭野さんが自ら用意してきたオカリナで、ソロモンの笛のメロディーを演奏するくだりなど、ライブならではのハラハラ感も楽しかった。

昨年は『悪魔くん』TVアニメ化30周年という名目があったが、今年も実施されたのは、東映アニメーション側のスタッフにとっても、昨年の同プログラムの反響が想像以上だった(会場でのオープニング大合唱や古川さん演じるメフィスト2世のセリフ「魔力『絶対水木さんを忘れない!』」がファンの心をとらえた)ことが、今回の企画につながったのだという。

続いて11月22日(日)の夜に行われた『ゲゲゲの鬼太郎』第4期スペシャルデー。ゲストはねこ娘役の西村ちなみさん、プロデューサーの清水慎治さん、シリーズディレクターの西尾大介さんに加え、初参加となるねずみ男役の千葉繁さん。2年ぶりの登壇となった清水さんは、憂歌団や京極夏彦さんを作品に起用した当時の思い出を次々と披露。千葉さんは、「演じる」という意識をほとんどもたずにねずみ男という役に入り込めた、とその愛着を語った。西村さんは、今年は千葉さんという「相方」がいるお陰で、ねこ娘×ねずみ男の掛け合い芝居にも熱が入り、千葉さんも期待通りのアドリブ連発となって、会場は大いに盛り上がった。

11月23日(月)の夜は『ゲゲゲの鬼太郎』第5期スペシャルデー。ゲストは鬼太郎役の高山みなみさん、ねずみ男役の高木渉さん、ねこ娘役の今野宏美さん、プロデューサーの櫻田博之さん、シリーズ構成の三条陸さんといった昨年のメンバーに加え、「2020年の顔と言ったらこの妖怪でしょ!」と誰もが思っていたであろう、アマビエ役の池澤春菜さんが登壇。今から13年前、『ゲゲゲの鬼太郎』の世界に、いやアニメの世界に初めてアマビエをレギュラー入りさせた第5期スタッフ(特に三条陸さん)の先見の明や恐るべしと言ったところか。今年の「ゲゲゲ忌2020」のポスターは、5期『鬼太郎』で作画監督や原画を務めた市川慶一さんが手がけたが、声優4名が参加した掛け合い芝居では、そのポスタービジュアルが完成するまでのメタフィクションストーリーが演じられた(人間界で話題になっているアマビエの写真を撮り、一儲けしようと企むねずみ男。だが、一足早く調布市の人間がアマビエに声を掛け、「ゲゲゲ忌」のポスターのモデルになってくれるよう依頼していた。ねこ娘はカメラマンを務め、アマビエは鬼太郎にも一緒に映ってくれるよう頼むといった内容)。

~『ゲゲゲ忌2020』後半戦の模様は後編をご覧ください~

(C)水木プロ (C)水木プロ・東映アニメーション

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事