• 『アーヤと魔女』宮崎吾朗監督がアーヤに託す多様性に対応する生き方
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2020.12.30

『アーヤと魔女』宮崎吾朗監督がアーヤに託す多様性に対応する生き方

宮崎吾朗監督 撮影/菅原 拓

いよいよ本日放送となる『アーヤと魔女』特集に、宮崎吾朗監督が登場。ジブリ初の本格的な3DCG作品を手がけるまでの経緯、そして主人公・アーヤにいかなる想いを託したのかを率直に語るインタビュー、まずは吾朗監督と原作の出会いから始めていこう。

――まず原作を手にとったのは、どういうきっかけだったんですか。

吾朗 プロデューサーの鈴木(敏夫)さんに「これやったらどう?」って『アーヤと魔女』の原作を渡されたのがきっかけです。「3DCGで作る」ということを前提にするならば、ぴったりの題材だなと思いました。

――そもそも、本作は3DCGで作ることが前提だった?

吾朗 宮崎駿監督が『君たちはどう生きるか』の制作中で、ジブリ作品にずっと関わっている手描きの優秀なアニメーターや美術スタッフはすでに動員されている状況でした。そして鈴木さん的野望でいうと、スタジオとして手描きとCG両方のアニメーションができるようになればいいよね、というのがあったんです。

『山賊の娘ローニャ』を制作する時も、「吾朗くん、次はCGでしょ」って。そういったこともあり、僕も次は3DCGに挑戦すべきだろうと思っていました。では、何で『アーヤと魔女』が3DCGで作るのにピッタリだったかというと、舞台となる場所が限定されているんです。

――確かに、舞台の大半は家の中ですからね。


(C)2020 NHK, NEP, Studio Ghibli

吾朗 手描きと違ってCGの場合は一つ一つセットを作らなきゃいけないという前提があるので、場所が多いとスタッフと制作費の負担がものすごく大きくなる。でも逆に、ある程度限定された空間の中でお話が進むのであれば、頑張ってそこだけ作り込めば、クオリティは上げられるわけです。

また、テレビ向けに作るのなら、子どもたちが観て楽しいと思える、80分くらいの少し短めの映画を作りたいというのがあって、原作のお話のボリュームはピッタリだったんです。

――冒頭のアーヤのお母さんのエピソードなんかは、かなり派手な展開になっていますね。

吾朗 NHKから「もう少し盛り上がる要素を」と言われたので、少し色気を足そうかなって(笑)。単に「子どもの家」に預けられた子とするのではなく、アーヤとう子の背景になるもの、つまりアーヤの血の中にあるものを描こうと考え、母親について掘り下げていきました。



(C)2020 NHK, NEP, Studio Ghibli

アニメージュプラス編集部

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