• 【山寺宏一+福井晴敏インタビュー】「宇宙戦艦ヤマト」という時代とデスラーという男
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2021.06.07

【山寺宏一+福井晴敏インタビュー】「宇宙戦艦ヤマト」という時代とデスラーという男

(c)2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会 (c)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

不朽の名作『宇宙戦艦ヤマト』シリーズをベースに、新たなストーリーを描き出した『宇宙戦艦ヤマト2199』と『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』。
この2作品で描かれたヤマトの物語を、新作カット・新録ナレーションを織り交ぜてリビルドした『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』が、6月11日(木)より全国36館で3週間限定上映される。
〈2199年イスカンダルへの大航海〉と〈2202年ガトランティス戦役〉を、技師長兼副長としてヤマトに搭乗していた真田志郎の証言とともに振り返るドキュメンタリーとして再構成した本作。『ヤマト2199』『ヤマト2202』という作品に異なる角度から光を当てることで、タイトル通り〈ヤマトの時代〉を浮き彫りにするユニークな作品となっている。

その公開を記念し、本作ならびに『ヤマト2202』の構成を担当した福井晴敏と、『ヤマト2199』『ヤマト2202』でヤマト宿命のライバルとして高い人気を誇るアベルト・デスラーを演じた山寺宏一のインタビューをお届けしよう。
ドキュメンタリー形式を採用した意図、より深く掘り下げられたデスラーの人間像、そして、2021年上映予定の新作『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』についてのコメントも注目だ。

>>>【画像】本作の場面カット(写真8点)


ドキュメンタリー構成の意味

ーー山寺さん、本作『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』をご覧になっての感想はいかがですか。

山寺 最初は総集編的な作品かなと思っていたし、実際『宇宙戦艦ヤマト2199』と『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』のダイジェスト版的な面もあります。でも、まず「真田さんの目線で語られるドキュメンタリー」という構成になっていることに非常に驚き、観終わってからは「さすがは福井さん、新しい切り口でこの作品を見事にまとめあげてくださったな」と、感動いたしました。あとは、沢城みゆきちゃん大活躍だなと思いました(笑)。もちろん一緒にたくさん仕事もしていて、すばらしい役者・声優であることは知っていますが、彼女がナレーションを読むと非常にリアリティがあるというか……報道っぽくも聞こえますね(笑)。

ーー今回の総集編を「真田志郎を語り部としたドキュメンタリー」という構成にした理由や意図は、どのようなものだったのでしょうか。

福井 核心めいた話になってしまいますが、タイトルでもある『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』とはどんな「時代」なのだろうと考えると、身も蓋もない言い方をすると「毎年のように宇宙人が攻めてくる時代」ですよね。

山寺 わたくし(デスラー)もそのひとりでした(笑)。

福井 ある時期には、そこが「いくらなんでもマンガ的すぎる」と批判されることもありました。でも現在の、2020年の視点で見ると、“毎年のように新しい災害が起こる時代” とはすなわち、まさに今のこの現代でしょう、と。今のところ宇宙人こそ攻めてこないけれど、今までの常識がまったく通用しないことが、ここまで次々と起こると、来年あたり宇宙人が襲来してもそんなに驚かないレベルで(笑)。

山寺 そうですね(笑)。

福井 何が起こってもおかしくないという苦難を、10数年間も生き抜いてこなければならなかった時代。そういう意味で、“宇宙戦艦ヤマトという時代” を現代日本の鏡像として描ける時代がきてしまった。そこを真正面から捉え、ご覧になるみなさんに肌身で感じていただくために、あえて少し引いた目線でドキュメンタリーにしよう。そんな意図でした。そして真田さんは、過去の『宇宙戦艦ヤマト』のころから人気のキャラクターで、「こんなこともあろうかと」という名セリフも……実は本編中では一度も言っていないらしいんですけど。

山寺 ええっ、そうなんですか!?

福井 伝説がひとり歩きしているようですね(笑)。でもそれくらい、ある種、ドラマの解説役のような立ち位置をずっと担わされてきた人です。加えて今回の『2199』、『2202』のふたつのシリーズでは、あらためて人間像が掘り下げられて。少しコミュニケーションが苦手な純粋理系の人物が徐々に人間的になっていく様子が描かれました。『2199』、『2202』のふたつのドラマをまとめて語らせるとしたら、この人しかいないなという印象でした。

ーー今回、2つのシリーズを2時間の映像にまとめるにあたって、核になったものは何でしょう。

福井 『宇宙戦艦ヤマト』というのは、やはり古代進という男の物語です。彼が何を見て、何を感じて、最終的にどこに向かったのかまでを描く物語。そこはブレずに描こうと思いました。ただし、それを古代自身の目線で、本人が語ってしまうと、どこか偏ったものになってしまう。そこで、引いた目線で語る人物としての真田、という人選でした。ドキュメンタリータッチということで、確かに巨視的に世界を捉えている部分もあります。でも、けっして取りつきにくいということはなく、あくまでも「誰が、何をしたのか?」という人間のドラマを根幹において作っていますので。それこそ、今まで『ヤマト』を一度もご覧になったことがないお客さんでも、すんなり楽しんでいただけるのではないかと思います。

(c)2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
(c)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

アニメージュプラス編集部