• PANTA×A-10対談「書の魔獣あかずきんを生んだのは頭脳警察の名曲」
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2021.01.30

PANTA×A-10対談「書の魔獣あかずきんを生んだのは頭脳警察の名曲」

頭脳警察に強い影響を受けた『赫のグリモア』(C)A-10/講談社

頭脳警察・PANTAさんと新本格ダークファンタジー『赫のグリモア』A-10さんのスペシャルトークは後半戦に突入。熱く過激なロックサウンドと新世代の魔法少女コミック、一見接点のない2つのカルチャーが共鳴し合う理由は何か? 世代を超えてお互いをリスペクトする2人の出会いは新たな化学反応を引き起こす!

――PANTAさんにはA-10さんの『赫のグリモア』を読んでいただいたんですが、どんな印象を抱かれましたか(取材当時は4巻まで刊行)。

PANTA(以下、P) 今のマンガやアニメの魅力が全部入った作品だなって思いましたし、紙のマンガを読んでいるはずなのに、ものすごいスピード、まるでアニメーションを観ているかのような感覚を覚えました。また作品を通して「大いなる愛」を感じることができたね。

A-10(以下、A) ありがとうございます!

P 1巻で出て来た戦闘機は零戦かなと思ったけど、キャノピーがフォッケウルフっぽいんだよね……。
※フォッケウルフ=第二次世界大戦時、ドイツ空軍が使用した戦闘機

A あ、フォッケウルフの前期型です。

P やっぱりそう?

A あれは完全にシャレで出していまして。「あかずきん」の話なので「狼」を出しておこうと。

P なるほどー。そういうミリオタ趣味から作品を考える、なんてことはないんですか。

A ミリタリー系のマンガにある蘊蓄は入れていて楽しいし、副次的要素としてはアリだと思うんですが、銃は人を殺す道具でその責任は最終的にそれを持つ者に委ねられる、という意識で描いているんです。そういう意味では、力を持たない若葉の「銃」として赤ずきんが存在する、みたいな感じでしょうか。

ちなみに、あかずきんというキャラクターは頭脳警察の「ふざけるんじゃねえよ」「歴史から飛びだせ」などを聴いたことから生まれたキャラクターなんですよ。
※あかずきん=魔導書が具現化した、少女の姿をした凶暴な「書の魔獣」。主人公・大麦若葉と契約を結び、行動を共にする。

▲『赫のグリモア』第二十一頁より (C)A-10/講談社

P ええっ、そうなの?

A  さっきお話したようにアルバムで一番好きなのは「歓喜の歌」なんですけれど、「ふざけるんじゃねえよ」「歴史から飛びだせ」は特別な2曲なんです(共にアルバム「頭脳警察3」に収録)。この曲を聴いていると、究極的には自分自身が思うこと、感じることこそが世の中のすべてだ、という原初の炎を感じるんですよ。

今、ゲームをやるにしても若い世代にはまずウィキペディアで「正解」を見てからプレイする人や、他人のプレイ動画を見るだけで満足している人が増えているんです。要は「勝てるケンカしか受け付けない」んです。僕なんかはそういうのを見ていると「失敗や経験を自分のものにしないでどうするんだ?」と思っちゃうんですよね。

P うん、すごくわかります。

A 特に中学生の頃なんか、子どもなりに考えて怒りを感じたことに「誰かガツンと言ってくれないかな、ぶん殴ってくれないかな」なんて考えていたりして。そんな「勝てる、勝てない」じゃなくて、「絶対許せないからぶん殴る」、そんな気持ちを形にしたのがあかずきんなんです。

まさに「ふざけるんじゃねえよ」を体現したキャラクターで、恥ずかしい言い方ですが、僕が頭脳警察に感じたものを読者にぶつけたかったんです……すみません、めちゃくちゃ語ってしまいました。もうPANTAさんにこういう話をするのが嬉しくて(笑)。

アニメージュプラス編集部

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