• 押井守が語る『ぶらどらぶ』で久々にシリーズアニメに戻ってきた理由
  • 押井守が語る『ぶらどらぶ』で久々にシリーズアニメに戻ってきた理由
2021.02.01

押井守が語る『ぶらどらぶ』で久々にシリーズアニメに戻ってきた理由

(C)2020 押井守/いちごアニメーション



――それはどういう部分が?

押井 いろんな制約や諦めなきゃいけない部分があるけれど、「数を作る」という楽しさはシリーズでしか味わえない。同じ役者・同じキャラクターと1年近く付き合ったことが大きかったね。自分の頭の中のイメージを客観視して映像に落とし込む、なんていうことは随分やったし、キリもないよね。なのに、一人の女優と会うことでガーッとモチベーションが吹き上がってくるんだから。ここで「役者こそが映画だ」「役者が最高のモチベーションになる」ということが理解できた。そこで「だったらアニメのシリーズ、もう1回やってみようかな」と思えたんだよね。

そこに、偶然にもiPadのアプリ用に僕が作った原作(『ちまみれマイ・らぶ』)があった。それは、完成までに時間がかかり過ぎたことや、さまざまな問題があって、結局あまりうまくいかなかった。そこに、何とかリベンジしたかったアプリの開発元であるコミックアニメーションの建石(俊之)さんという人が「これ、アニメシリーズにしませんか」と、製作出資をしてくれるいちごアニメーションさんを連れてきたわけ。僕も、このご時世に自分の原作でシリーズアニメを作る機会もそうそうないと思ってね。

▲本作のヒロイン・マイは名門・トランシルヴァニア一族の血を引く美少女吸血鬼だが、まさかの問題を抱えていて……。

――確かにそうですね。

押井 しかもドタバタものでしょう、これをやらない手はないなと思った。ここで全員の利害が一致したわけだ。いちご(アニメーション)さんはコンテンツ事業を新しく始めたくて投資先を探していた、建石さんは先の投資分を回収したい、で僕はシリーズアニメを作りたい。「何だ、みんなハッピーじゃん!」って(笑)。

――それ、上手くいけばの話ですよね?

押井 そう、上手くいかなかったらさらなる問題が(笑)。しかも今回はその2社との初めての座組だから、ここでしかできないものをやろう、と思った。何度も「本当に好きにやっていいんだね?」って確認したら「ご自由に」と言ってもらえたし。

――あー、だからこんな内容になっちゃったんですね(一同笑)。

押井 身内のスタッフからはいくつかダメ出しがあったけどね。例えば「キレイな男の子が出ていない! こんなの、当たるわけがないじゃないですか」って。

――言われてみれば確かに!

押井 でも、出す気はまったくなかったので(キッパリと)。僕にしては珍しく女の子はいっぱい出しているけど、男はケダモノみたいな空手部の男子生徒が4人と、オッサンだけ。これは最初から決めてたから。

――何なんですか、その固い意志は。

押井 だって(美少年に)興味がないんだもの。こっちはいたってノーマルな男性で、実写の時だって可能な限り女性の頭数を増やそうと企むんだから。

――可能な限り(笑)。

(C)2020 押井守/いちごアニメーション

アニメージュプラス編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事

RELATED関連する記事

RANKING

人気記事