• ロボットアニメの新機軸を打ち出した『装甲騎兵ボトムズ』誕生への道
  • ロボットアニメの新機軸を打ち出した『装甲騎兵ボトムズ』誕生への道
2021.03.03

ロボットアニメの新機軸を打ち出した『装甲騎兵ボトムズ』誕生への道

(C)サンライズ



1979年に放送された『機動戦士ガンダム=ガンダム』は、ロボットを兵器として扱うことによって、それまでの “正義の組織に運用されるスーパーロボット” とは異なる、設定面でリアリティを重視した「リアルロボットアニメ」と呼ばれるジャンルを成立させた。
その状況を受けて、1981年にはサンライズによるリルロボットアニメの第2作目となる、植民惑星の独立戦争を舞台としたよりミリタリー色の強い作品である『太陽の牙ダグラム=ダグラム』が制作された。その監督を務めたのが、それまでサンライズ作品で『0テスター』や『サイボーグ009』などを手掛けてきた高橋良輔。『ダグラム』の制作で得た経験とそこで生じたさまざまな課題をより研鑽することで生まれた作品が『ボトムズ』なのだ。

『ボトムズ』でまず試みられたのは、よりパーソナルなメカとして演出することができる、全高約4メートルのロボット・ATの設定だ。主人公の機体でさえも完全な量産型に設定されることで、よりミリタリー的なリアル感を重視したメカニック群は本作の大きな特徴となっている。
『ガンダム』では約18メートルだったロボットの全高を、高橋良輔は『ダグラム』において、より兵器らしいリアリティを感じさせ、パイロットや兵士と身近さを伝える大きさとして約10メートルに設定する。しかし、10メートルというサイズに小型化されながらも、映像演出的にはそれでもなお巨大感が重視され、スピード感に欠けるメカとして描かれてしまった。
『ダグラム』のメカデザインを担当した大河原邦男も10メートルサイズのロボットでは、パイロットや整備士などの人間と絡める描き方をするには、まだ大きすぎるという感想を持ち、パワードスーツ以上で人間が搭乗できるギリギリのサイズである約4メートルのロボットのデザイン案を模索。スピード感のあるロボットが戦う姿を求めた高橋良輔の思惑と、大河原邦男の求めたアイデアが合致することでATが誕生した。

主役機が存在しないリアルなメカニック設定とハードな世界観は『ボトムズ』の大きな魅力に。 (C)サンライズ

その後、『ボトムズ』では、世界観設定や映像面でも80年代らしいイメージの模索がなされた。『ガンダム』が宇宙を舞台とした作品であったことを受けて、『ダグラム』ではもっと泥臭い、地上での戦いのみに焦点を当てる作劇が行われた。しかし、「陸戦」という戦争的なリアリティを重視した結果「美術的に単調となり、画面が地味になってしまう」という問題をもたらす。
『ボトムズ』は当初こそ「AT同士が試合形式で戦闘するバトリングに参加する主人公が、戦いながら各地を旅する物語」を企画していたが、その後1年間=4クールでの展開を、1クール=13話ごとに異なる美術設定の場所を舞台とすることに決定する。その舞台の移動に合わせて、作品イメージもより広大なものへと変化していった。
そして、そこにイメージソースとして取り入れられたのが、70年代後半から80年代にかけて話題となり、現在でも名作として語り継がれるSFや戦争モノなどの洋画だった。

アニメージュプラス編集部