• 『鬼滅の刃』はなぜヒットしたのか!? 3つの環境から読み解く
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2021.03.20

『鬼滅の刃』はなぜヒットしたのか!? 3つの環境から読み解く

『鬼滅の刃』はなぜヒットしたのか!? 3つの環境から読み解く


重要なのは社会的環境

そして『鬼滅の刃』のヒットをこれからの社会について考える材料とするうえでは、特に3つ目の社会的環境の要素が重要ではないか、と思います。

出版社は、『鬼滅の刃』のプロモーションの際に「これは、日本一慈(やさ)しい鬼退治」というキャッチフレーズを使っていました。これは作品の内容をとても良く表現した言葉だと思います。『鬼滅の刃』は過酷な状況の中で登場人物たちがいかに生きるかに焦点を当てた作品です。作品の傾向でいうと80年代の『マッド・マックス』的な世界観とはまた違い、2000年代の「サヴァイヴ系」と言われるような、「自らが生きるか死ぬか」のサバイバルな状況下を描いた作品の延長線上にあるといえます。

この『鬼滅の刃』のような、圧倒的強者と向かいあい続けなければいけない人びとを描いた作品はこれまでも存在してきました(特に就職氷河期以降の「先が見えない」状況下で増加しました)。そこでは、「戦わなければ生き残れない」「生き残るためには強くあれ」「この世界は残酷なんだ」というメッセージが強調されてきました。また、ときに強者が生き残るために弱者が犠牲になることを受け入れざるを得ない展開も描かれます。代表的な作品としては『進撃の巨人』などが挙げられるでしょう。「勝ち組」「負け組」という言葉が広がった後の時代では、そのような弱肉強食のシビアな世界の中で「どう生き残るか」という描写に多くの読者がリアリティを感じたのだと考えられます。

アニメージュプラス編集部

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