• 架空の戦場のリアルを追及した『装甲騎兵ボトムズ』のメカ描写
  • 架空の戦場のリアルを追及した『装甲騎兵ボトムズ』のメカ描写
2021.03.09

架空の戦場のリアルを追及した『装甲騎兵ボトムズ』のメカ描写

スコープドッグのデザインは今見てもインパクト大 (C)サンライズ



高橋良輔監督は、ATのイメージを「小型のジープのようなロボット」だと語っている。戦車や戦闘機のようなサイズ感であれば、しっかりとした整備環境や人員が必要であり、基地や空母のような場所が必要となってしまう。しかし、小型のジープのようなサイズ感であれば、軍隊から抜け出した兵士がひとりで整備、運用をしても不自然ではない。
また、身軽だからこそのスピード感のある演出を行うことができ、さらに小型ゆえに脆弱な装甲は危機的な状況やドラマを描くのに適していた。兵士の命を重視せず、同じ形状のATを戦いに勝つためだけに戦場に大量に投入して侵攻させる様子や、大型の砲で簡単にコックピットを射貫かれて兵士が絶命するなど、架空の戦場の残酷な現実が描写された。

さらにATが兵器として優秀な点は、その汎用性の高さにある。作戦内容や戦況に合わせた銃火器の変更はもちろん、背部には追加武装や空間戦闘の推進装置などを取り付けることができ、任務対応型の拡張型バックパックも装備可能となっており、歩兵以上の攻撃能力の高さや行動範囲の広さを獲得した。さらに、脚部には「グライディングホイール」と呼ばれる走行動力装置が取り付けられており、戦車などの大型車両以上の機動性を備えたことによって、兵器としての有用性に繋がっていく。
バックパック装着で宇宙空間での活動も可能に(C)サンライズ

兵器であることのこだわりは、主人公が搭乗するスコープドッグというメインの機体さえも、ワンオフのスペシャルなものではなく、完全なる量産型として設定されたことからも明らかだ。その結果、戦闘では簡単に破壊され、使用できないと破棄されるのは当然のこと、同型の別の機体を乗り継いだり、壊れた機体を別の同型機のパーツを流用して修理するというような、「道具」に近い描かれ方が徹底されることになる。その結果、高性能な専用機を母艦のバックアップを受けて運用するタイプのリアルロボットアニメとはひと味違った、より現実に即したミリタリー感を醸し出している。

(C)サンライズ

アニメージュプラス編集部

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