• 物語に深い広がりをもたらす『装甲騎兵ボトムズ』OVAシリーズの世界
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2021.03.13

物語に深い広がりをもたらす『装甲騎兵ボトムズ』OVAシリーズの世界

現在のところ最長のOVAシリーズ『ペールゼン・ファイルズ』は、再編集された劇場版も公開された(C)サンライズ

『装甲騎兵ボトムズ』シリーズの映像作品全てを収録した「装甲騎兵ボトムズ Blu-ray Perfect Soldier Box」発売を記念して『ボトムズ』シリーズのさまざまな角度から作品の魅力を探っていく短期連載企画の第4回目。今回は、サーガの狭間とその後の物語を描くOVAシリーズについて掘り下げていこう。

『装甲騎兵ボトムズ=ボトムズ』はテレビシリーズで一応の完結を迎えるも、キリコの過去、精鋭部隊レッドショルダーの存在など、作品内には多くの謎が残されていた。その謎を紐解くOVAがリリースされることで、『ボトムズ』の作品世界はさらに大きく広がることになる。

85年発売の第1作目『ザ・ラストレッドショルダー』は、テレビシリーズの「ウド編」と「クメン編」の間に入るエピソードであり、キリコがかつてのレッドショルダーの戦友たちと共に、彼らを死地に送り込んだヨラン・ペールゼンに復讐を果たす物語となっている。ペールゼンは精鋭部隊レッドショルダーの創始者であり、「死なない兵士」であるパーフェクトソルジャー=PSの開発研究を推し進め、そこから2人のPS、フィアナとイプシロンが誕生したことが明かされる。

キリコがかつての戦友たちと過去の清算を目論む『ザ・ラストレッドショルダー』 (C)サンライズ

翌86年には第2作目『ビックバトル』が発売。物語は「クエント編」の終盤に入るエピソードであり、ワイズマンを倒したキリコがフィアナと共に宇宙へと旅立つ少し前の時間が描かれている。
旅の途中で寄った街でバララント軍にフィアナを誘拐されてしまったキリコたちは、彼女を取り戻すために全身に機械を埋め込んだバララント軍のPS、ラダァ・ニーバと戦うことになる。自らを巨大な地上戦艦に接続して操るニーバに、キリコは仲間たちと共に立ち向かう。謎解きよりも、キリコと仲間たちとの関係性を深めるエピソードが楽しめる一編だ。

88年には3作目『レッドショルダードキュメント 野望のルーツ』が登場。このエピソードで初めてテレビシリーズ以前の時間――キリコのレッドショルダー入隊、『ザ・ラストレッドショルダー』に登場するグレゴルー、バイマン、ムーザとの出会い、そしてテレビシリーズも登場する惑星サンサでの戦闘が描かれていくことになる。
本作における最大の衝撃はレッドショルダー以前のキリコの過去、そしてシリーズを通して重要な要素となる「異能生存体」についての事実が語られることだ。「異能生存体」とは死なないことを遺伝子的に保証された者のことであり、ペールゼンは最強の部隊を作り出すため「異能生存体」であるキリコに執着するようになったことが語られる。ここでペールゼンが「異能生存体」を模してPSを産み出していくこと、その力ゆえにキリコはワイズマンの後継者に選ばれたことがシリーズに紐づけされていった。

アニメージュプラス編集部

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