——『メガロボクス』の続編が制作されるとお聞きになった時は、まずどう感じましたか。
細谷 聞いた時は「やるんだな」という感じでした。正式なオファーが来るまではあまり期待をしないようにしていて。なので話を聞いた時点では割と淡々としていたと思います。
——では、正式なオファーが来てから気持ちが盛り上がって。
細谷 気持ちの盛り上がりとかはない方で。こういう言い方をすると『やる気がない』と思う人もいると思うんですけど、決してそうではなく。脚本を読んで、映像を観れば、自分がやることは解るので、特別に盛り上がったり、身構えたりするという事をしない方なんです。この作品に限らず、大体そんな感じです。この仕事を始めたばかりの頃は、勿論そうではなかったですけどね。今回も、普通にアフレコ当日まで待つ、という感じでした。ただ、振り返ってみると前作の『メガロボクス』の時はいい意味でも、悪い意味でも、「頑張っていたな」という印象があります。この作品が復帰作ではあったので。
——当時(2017年)、細谷さんはお仕事を休業して、『メガロボクス』の収録前に復帰しました。『メガロボクス』の物語の中で細谷さんが演じたジョーは、どん底の境遇から這い上がろうとする男でした。もしかしたら、その姿に当時のご自身を重ねた部分もあったのでは?
細谷 そういう良い印象を持って下さる方も居るかもしれないですね……(笑)。ただ、前作の『メガロボクス』に関しては、オーディション資料をいただいた時から「これは絶対にやりたい」と思える作品だったというのはありました。当時の自分は、どこかがっついていたのかもしれないです。今ではその時の自分を青臭く感じます(笑)。
——1作目の『メガロボクス』のストーリーを振り返っての印象はいかがでしょうか。
細谷 ジョーとその仲間達の、『人生が最も輝いていた時期』を綺麗に切り取った、上り坂をどんどん登っていく様な印象を持っています。
——原案である『あしたのジョー』では、主人公のジョーは最後の試合で惜しくも負けて、真っ白に燃え尽きた……という最後でした。でも『メガロボクス』のジョーは、ライバルである勇利との試合に勝ち、爽やかなハッピーエンドを迎えましたよね。
細谷 前作の『メガロボクス』の最終話のアフレコを終了した時点では、ジョーと勇利のどちらが勝ったか、わかりませんでした。完成した映像を確認したら、試合の勝敗を記したテロップがついていて。そこでジョーが勝ったと知りました。個人的に森山(洋)監督に対しては、王道はやらない人なんじゃないか?と思っていたので、ジョーが勝った結末は意外でした。
——主人公が勝つ、という王道の結末が意外だったわけですね。
細谷 はい「あれ?」と思いました。
——『NOMAD メガロボクス2』はどんな印象ですか?
細谷 前作が上り坂の物語だったとすれば、今作は下り坂の物語という印象です。勿論、それだけではないですけど。
——主人公のジョーは、前作でメガロボクストーナメントのチャンピオンになりましたが、今回はノマドという名前で、また地下のメガロボクスのリングに立っているそうですね。
細谷 ジョーのキャラクターデザインが前作とは大きく変わっているんですけど、前作をご覧になった方はそれ以上に大きな違和感を覚えるのではないかと思います。色んな想像をしながら楽しんで頂きたいです。
——ジョーの身に何が起きて、今、彼はどんな状況にいるのか? そこがまずは『NOMAD メガロボクス2』の見どころになりそうですね。
細谷 この作品が好きで、より深く楽しみたいという方は、前作『メガロボクス』を観た後に『NOMAD メガロボクス2』を楽しんで頂きたいです。でも、どんな形でもいいのでとにかく観て頂けたら、それが一番ありがたいです。
【プロフィール】
細谷佳正(ジョー/ノマド役)
ほそや・よしまさ/『ましろのおと』(澤村若菜)、『進撃の巨人』(ライナー・ブラウン) 、『約束のネバーランド』(ピーター・ラートリー) 、『半妖の夜叉姫』(麒麟丸) 、『ゴールデンカムイ』(谷垣源次郎)など
(C)高森朝雄・ちばてつや/講談社/メガロボクス2プロジェクト