冒頭に流されたメモリアル映像が庵野監督による編集であったことが明らかにされたあと、続いて塚田氏・吉村氏・白倉氏揃っての質疑応答が行われた。
――『シン・仮面ライダー』制作に至る経緯をお聞かせ下さい。白倉 6年前にさかのぼりますが、弊社の紀伊(宗之)という本作のプロデューサーが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の時に庵野監督と密な関係を構築させていただいて、その時庵野監督から「こういうものはどうだ」と企画メモを戴きました。それから足掛け6年準備を進めて、ようやく今日発表できるようになりました。
――現在の製作状況は?白倉 正直言いますと50周年記念イヤー内で公開できたらいいな、と思っていたのですが、コロナによるドミノ現象で2023年公開となりました。撮影はこれからですが、準備は十分にできておりますので、余裕をもって作業が進められると思います。
――世界のファンはこの3作をいつ観られますか?塚田 欧米は22年夏、ファニメーションから配信されます。他の地域でも観られるように、現在調整中です。
吉村 現在は未定ですが、全世界で同時公開できるよう調整中です。
白倉 全世界同時公開を目指しております。
――『仮面ライダーW』はマンガ化、アニメ化と異例の展開を見せていますが、なぜここまで作品が支持されると思いますか。塚田 タイトルにある「風都」と「探偵」、この二つの要素があったからでしょうか。ヒーロー作品でありながら探偵もの、事件ものとして面白いものを作ろうとこだわってきたことや、舞台となる風都の住人のような意識を持っていただけたことがファンに支持されたのだと思います。
――今回『BLACK SUN』に白石監督を起用された理由は?吉村 基となる『BLACK』の物語が、兄弟同然に育ってきた二人の青年がライバル関係になって対立するという人間ドラマが主軸になっていました。そういうドラマを新たに甦らせるには誰が相応しいか、と考えた中で白石監督の名前が挙がりました。
――庵野監督が手がける仮面ライダーはどういうものになるのでしょうか?白倉 今や世界的なクリエイターである庵野監督ですが、仮面ライダーに関してはものすごい愛着を持っておられるんですね。それは幸運な僥倖だと思っています。まだそのイメージは漠然としていますが、必ずや愛に満ちた、ライダーを初めて観る方でも楽しめる作品になると信じています。
――50年愛され続ける「仮面ライダー」の魅力とは何でしょう?塚田 「悪から発生した正義」というのが、他のヒーローと違う「影」や深いテーマ性を感じさせるのだと思います。
吉村 50年前に第1話を観て、ものすごく怖かった記憶があります。他の作品とは違う不思議な魅力を感じました。
白倉 私も50年前に第1話を観て、吉村と同じ印象を受けたのですが、2号ライダー・一文字隼人が出て来たあたりから明るいムードを感じるようにもなりました。陰と陽、深いドラマとエンターテインメント性を兼ね備えたからこそ、全人類が楽しめる作品になったのではないでしょうか。
――『シン・仮面ライダー』にもショッカーは出てくるんでしょうか?白倉 初代ライダーをベースにしていることは間違いありませんが、そういう名称が出てくるかどうかに関してはまだシークレットです。
――先ほどの石森プロコメント紹介時のイラストに描かれていた蜘蛛男、コウモリ男は出てきますか?白倉 初代1話・2話に出て来た怪人が出る展開になると私個人はアガるのですが、最終的にジャッジするのは庵野監督です(笑)。
初代ライダーに衝撃を受けた世代が、次の世代に向けて放つ新たなる「仮面ライダー」3作。それぞれの全貌が明らかになる日が、今から楽しみだ。
撮影/大山雅夫
(C)石森プロ・東映