――絵コンテも拝見しましたが、「鬼の目にも涙」的な素敵な親子の話でした。松田 僕も同じくらいの歳の子供がいるので、少しは父親としての顔を見せられたらいいなって。実は以前、映画の上映前に流れるマナーCMに友人の俳優が出ていたことがあったんですが、テレビで観る時よりも圧倒的な訴求力を感じて、ライバル目線ですごく嫉妬していたんですよね。そういうこともあって、今回はガチョラと一緒にプレアドに出演できて嬉しいですね。
――ああ、やっぱり映画館のスクリーンに映るって特別ですよね。松田 スクリーンにかかるCMなんてなかなかないじゃないですか。オリジナルというと、「NO MORE映画泥棒」くらいしかないですよね。
――今回でリベンジが果たせますね(笑)。今作では「お父さんが泣いていい場所」として映画館が紹介されますが、ここで松田さんの映画体験というものをお聞かせください。初めて観た映画は覚えていらっしゃいますか。松田 はい。『レイズ・ザ・タイタニック』(80年)です。小学校2年生くらいだと思いますが、これは親父と兄貴についていっただけなんですけれどね。自分で選んで初めて観に行ったのは『ドラえもん のび太の恐竜』(80年)ですね。
――同時上映は『ゴジラ対モスラ』(64年)のリバイバルでしたから、そちらにも興奮しました?松田 え、そうでしたっけ? 僕は師匠と違ってああいう怪獣系には興味なくて、もしかしたら飛ばしたのかもしれないですね……あとはシュワちゃん(アーノルド・シュワルツェネッガー)、(シルベスター・)スタローン、ジャッキー・チェンの主演作に走ってましたね。
――真っ当な80年代少年の映画嗜好だと思います(笑)。松田 『コブラ』っていつくらいですかね?
――スタローン主演の?松田 いえ、アニメの。松崎しげるさんが声優をやっていた……。
――ああ、劇場版アニメの『SPACE ADVENTURE コブラ』ですか。82年公開です。松田 『コブラ』と『(SF新世紀)レンズマン』(84年)は、劇場に何回も行きましたね。あの当時、映画は入れ替え制じゃなくて、終わってもそのまま席にいてよかったじゃないですか。だから朝から晩まで観て。もちろん別日に行ったりもしましたけど
――すごいですね、2作のどういう部分に惹きつけられたのでしょうか。松田 寺沢武一先生のマンガが好きだったんですよ、僕は当時漫画家を目指していて『コブラ』をもじった『ケブラ』っていう漫画を描いていたので。
――そのまんまの内容を予感させるタイトルですね(笑)。
松田 あと『レンズマン』は確か主題歌がTHE ALFEEでしたよね? あの曲(『STARSHIP-光を求めて‐』)に惚れちゃったんですよ。
――漫画家を目指してらしたんですね?松田 そうなんですよ、それを経て『幻魔大戦』(83年)の大友克洋先生へと移行していった感じですかね。
――その頃の映画といえばアニメだった?松田 はい、アニメだと『コブラ』と『幻魔大戦』で、実写だと『アウトサイダー』(83年)。
――フランシス・F・コッポラ監督の青春ドラマですね。どこがよかったですか?松田 ダイアン・レインのむねが大きかったんですよね。
――感動ポイントはそこでしたか(笑)。最近観たアニメは何ですか。松田 こないだ娘と『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』を観に行きました。周りからすすり泣く声が聞こえてきて、アニメってやっぱりすごい力を持っているんだな、と。僕は『鬼滅の刃』を予習していなかったので、「煉獄さんがカッコいいな」とか「声優さん上手いな」みたいな印象だったんですが……。
髙寺 俺は煉獄さんのお母さんのエピソード以降はラストまでずっと泣きっ放しだったけど。
松田 伊之助の泣いているところは上手かったですね。
髙寺 そこも泣かなかった?
松田 僕はただただ感心していて。
髙寺 そうか、役者として観ちゃうのね。
松田 こんなに心を込めて、しかも変に生っぽく伝わらないのって、どういう技術なんだろうと、ずっと耳を澄ませていました。「本当にアニメはすごいな」って。
――お子さんと映画館へは結構行かれるのですか。松田 そうですね、大作やディズニー作品が多いかな。去年自分が声をやった『アナと雪の女王2』は何回か観に行きましたね。
▲『ガチョシアター』撮影現場での松田さん。