3年間のシリーズはいつもの12倍の長さ!──池畠さんは、この3年間はいかがでしたか?池畠 僕は二人と違って、長かった感がありますね。ようやく最後までたどり着けたなっていう。長かった楽しかった日々ももう終わってしまったんだなって。そういう寂しさがあります。『プリ☆チャン』と並行して1クールもののアニメもやっていたんですけど、1クールものって本当に一瞬で終わるんですよ。アフレコは3ヵ月かけてやっているはずなんですけど……「始まったばかりなのに、もう終わっちゃうの!?」みたいな。『プリ☆チャン』は4クール×3年でしたから、いつもの12倍の長さなわけで(笑)。
川瀬 放送期間は3年ほどでしたけど、準備期間を含めると3年半ですもんね。
池畠 ここまで長いプロジェクトには関わったことがなくて、それまでは長くて2クールものでしたから。それに僕自身、キッズ向け作品に立ち上げから監督として携わるのは初めてだったんです。なので最初は「最後までできたらいいな」とは思っていたのですが、無事ゴールテープを切れてよかったなという気持ちですね。
──「1年経つごとに、マラソンのゴールがまた1年遠くなる」みたいな感覚だったのですか?池畠 いえ、最初から3年想定ではありました。もちろん、アクシデントの可能性もあるので確定ではなかったですけど。
満田 「最低でも2年間はやります」という話でしたよね?
川瀬 あれ? 僕は「1年で終わるかもしれない」って聞いていましたよ。だから、毎年延長できるのかドキドキしていたんですけど(笑)。
満田 1年目の最後には、3年目はあると聞きましたよ。
川瀬 え、そうだったんですか? 僕は2年目後半のED「Brand New Girls」の絵コンテは、「これでシリーズが終わるかもしれない!」って気持ちで描いていましたよ(笑)。
池畠 確か1年目の後半くらいに、3年間のシリーズ全体のロードマップのようなものを、タカラトミーアーツさんからもらいました。「このタイミングで『アイドルタイムプリパラ』のゆい&らぁらが登場します」とか。だから早くからこの二人の再登場は決まっていたんですよね。
歴代シリーズのキャラクターをどうなじませるか──らぁらとゆいだけでなく、1年目ではあいら、2年目はなるなど、歴代の「プリティーシリーズ」のキャラが登場するのも楽しみの一つでした。『プリ☆チャン』の世界になじませる際の苦労はあったのですか?池畠 あいらとなるはそれほど苦労はなかったんですけど、ゆいとらぁらをどうなじませるかは大変でしたよね。特にゆいはキャラが濃いので、お話になかなかなじんでくれない。まぁ、なじまないまま投入してみようという感じではあったんですけど。
満田 ゆいが一番ぶっ飛んでいますからね(笑)。
池畠 らぁらは、彼女単体で扱う分にはいい子なので、ちょっとアレンジすればいけますけど、ゆいとの関係性を考えた時にどうしたらうまくいくのかなと。それで「ゆいのマスコットにして、成長しておなじみの姿になる」という形に収めたんです。
満田 絵柄的には、あいらが一番難航しましたよね。『プリティーリズム・オーロラドリーム』の時のあいらの髪型が、『プリ☆チャン』のゲーム筐体のヘアパーツになくて。
──ゲーム内のCGキャラで再現できないということですね。満田 そうなんです。なので、アニメもゲームに合わせてアレンジしてほしいと要望がありました。でも、僕はオリジナルの絵を大事にしたかったので試行錯誤があったんですけど、なる以降はそういうことはなかったです。やっぱり元の作品のファンをがっかりさせるのだけは嫌だなぁと思っていました。
川瀬 それは自分のワガママで言ってるわけじゃないですもんね。
満田 よりファンが喜ぶほうを自分は選択したかったんですけど、ゲーム側にもどうしようもない事情がありますからね。
川瀬 アニメサイドとゲームサイドでうまく折り合いをつけた感じですよね。
満田 ただし、『プリパラ』のキャラは瞳孔がないので、キャラの視線が定まらないのが、自分としてはなかなか大変で。
川瀬 あれは難しいですよね。
満田 なので、そこについてはハイライトの描き方を少しだけ変えさせてもらいました。
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