• 富野アニメの貴重な1作『ザブングルグラフィティ』を見逃すな!
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2021.06.11

富野アニメの貴重な1作『ザブングルグラフィティ』を見逃すな!

来年放送40周年を迎える『戦闘メカ ザブングル』の劇場作品 (C)創通・サンライズ

6月13日(日)夜7時より、BS12 トゥエルビ『日曜アニメ劇場』にて富野由悠季監督のTVアニメ『戦闘メカ ザブングル』を再編集した劇場アニメ『ザブングルグラフィティ』(83年)が放送される。
 

『戦闘メカ ザブングル』は8283年に放送された、富野由悠季監督が『機動戦士ガンダム』『伝説巨神イデオン』に続いて手掛けたテレビシリーズだ。
物語の舞台は、惑星ゾラと呼ばれている地球。大異変によって大きな環境変化が発生、荒野が広がる西部開拓時代のようになった世界に、ドーム都市に暮らす前時代文明の生き残り=イノセントと、その外で「ウォーカーマシン」と呼ばれる作業ロボットを駆って逞しく生きる人々=シビリアンが生活していた。

シビリアンの中では「あらゆる犯罪は三日逃げ切れれば免罪される」という「三日の掟」が定められていたが、両親を殺された熱血少年ジロン・アモスはその掟を破って仇を追い続ける。目的のために戦闘用のウォーカーマシン「ザブングル」を手に入れようとしたことをきっかけに、ジロンは無法者の集団「サンドラット」のメンバー、交易商人「キャリング一家」のエルチ・カーゴらと共に行動することに。そして彼の真っ直ぐな生き様は、イノセントとシビリアンに2分された世界を大きく変えていく事になる――。

シリーズ中盤以降は支配階級が統べる世界を変えようとする「革命」の話へとシフトしていくが、『ガンダム』『イデオン』で顕著だった容赦のないシリアスな雰囲気は影を潜め、マンガ的な明るい描写・作風が徹底されているのが本作最大の特徴となっている。

『ザブングルグラフィティ』は1983年7月9日、同じく高橋良輔監督のTVシリーズ『太陽の牙ダグラム』の再編集劇場作品『ドキュメント太陽の牙ダグラム』、同作のスピンオフ的短編『チョロQダグラム』と共に公開された。

「グラフィティ」とは、スプレーやフェルトペンで壁などに描かれた落書き=ストリートアートを指す言葉。TVシリーズ50話を圧縮してストーリーを追うのではなく、セレクトした名場面や新規カットをつなぎ合わせ、時には番組放送当時のトラブルを逆手に取ったシーンや線画状態の映像を挿入するなどメタ的な要素をも織り交ぜた、まさに「映像のグラフィティ化」と言えるスタイルでまとめあげられている。また、少し暗い要素が残されていたTVシリーズのラストに明るい希望を与える変更を加えるなど、テレビシリーズの補完的な役割を担っているところにも注目だ。

ストーリー仕立ての作品でないことからか、これまでテレビ放送の機会はほとんどなかっただけに、上映当時に熱中していた世代は勿論のこと、タイトルは知っているものの本編を観たことがない世代も、本作で「明るく元気の出る富野アニメ」の魅力に触れてみてほしい。

C)創通・サンライズ

アニメージュプラス編集部

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