――ストーリーラインは、どのように決めていかれましたか。西村 プロットは、小林弘利さんとアラタFGのプロデューサー、監督が話し合ってまとめてゆきました。その間、私とのキャッチボールがあり、(1・2話脚本の)まなべゆきこさんに入ってもらって、青春ドラマの要素を追加していきました。
――『ガンディーン』は今年開催されるパラリンピックにピタリと合わせたような企画に見えるのですが、実際のところはどうだったのですか。西村 いやあ、企画当初はそういうことはまったく考えていなかったですね。さっき申し上げたように、まずパラスポーツとヒーローをくっつけようと思ったのが始まりで、その時点ではパラリンピックはまだまだ先の話だったので。しかもパラリンピックが2020年からさらに延期になるなんて、思ってもみなかったですからね。
――ちなみにガンディーンという名前の由来は?西村 モードシフターを渡すグーの頭文字は「G」、そして変身する大志の頭文字が「D」だから「GアンドD」――ガンディーンとなるわけです。
――『ガンディーン』制作のニュースは大きな話題を呼びましたが、それらの反響についての印象はいかがですか。西村 ネットでの騒がれ方は通常よりかなり大きく感じます。あとTwitterのツイートなんかを読んで「NHKが本格的特撮ヒーローものを作るのか」という驚きの反応は勿論ですが、それ以上に「こういうヒーローはなかった」という新しさを感じていただいていることが嬉しいですね。
――その新しさは、ヒーローのデザインからも感じられますね。西村 そもそも通常のヒーローデザインは、立ち姿が基本になって考えられているわけです。でもガンディーンは改造された競技用車いす・ハイパーホイールに乗っていて、前傾姿勢になっているわけです。
▲ハイパーホイールに乗るガンディーン。
デザインの打ち合わせは僕も何度か参加させていただいていますが、そこにはかなりこだわりましたし、デザインされた西川さんはそのバランスに大変苦労されたと思います。ガンディーンは宇宙由来の強化服みたいなものですけど、彼が乗るハイパーホイールは町工場の人たちが作っている。それぞれ出自は違うけれど、トータルとしては一体感のあるかっこよさがでなければならない。そのバランスのとり方は大変だっただろうなあと思います。
――ハイパーホイール自体も特殊な乗り物ではない?西村 第2話で火炎放射器は付きますけれど、動力もない普通の手こぎの車いすですからね。あと、ガンディーンも武器は基本持っていません。グーが住んでいたアラート星は、平和な種族が住んでいる争いのない星という設定ですので。