• 音楽学校を舞台に友情と青春を描く『かげきしょうじょ!!』
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2021.07.09

音楽学校を舞台に友情と青春を描く『かげきしょうじょ!!』

(C)斉木久美子・白泉社/「かげきしょうじょ!!」製作委員会

葛藤や苦悩、トラウマを乗り越えて夢を目指す物語
【インタビュー】
諏訪 豊(プロデューサー/音楽プロデューサー)


歌劇スターを育成する紅華歌劇音楽学校を舞台に、生徒たちの友情と青春を描く7月新番アニメ『かげきしょうじょ!!』。第一幕では、主人公の渡辺さらさと奈良田愛をはじめとする個性豊かな少女たちが、記念すべき100期生として紅華歌劇音楽学校に入学し、スターへの道を歩み始めた。まだまだクラスメイトとしての絆も、互いへの信頼も芽生えてない彼女たちは、これからどんなドラマを描いていくのだろうか?

発売中のアニメージュ8月号では、諏訪豊プロデューサー(キングレコード)がさらさ&愛コンビの魅力を語るインタビューを掲載しているが、ここでは本誌に収録しきれなかったロング版をお届け! アニメ化の経緯やスタッフィングの狙い、さらさたちの同級生である予科生のキャスティングについてなどを教えてもらった。

作品の軸となるさらさと愛のバディ感

——まずは、TVアニメ『かげきしょうじょ!!』の企画の経緯を教えてください。

諏訪 原作コミックス第1巻の表紙を見て「キラキラしていてすごくかわいい!」と感じたのが、作品に興味を持ったきっかけでした。そこから物語を読み始めていくと、キラキラした世界だけでなく、各キャラクターが葛藤や苦悩、トラウマを乗り越えて夢を目指していく、熱い物語が描かれていて。その骨太なストーリーに胸を打たれまして、「ぜひアニメ化したい」と原作サイドに問い合わせたというのが大まかな経緯です。

——もともと、諏訪さんは歌劇がお好きだったんですか?

諏訪 いや、実は全然詳しくなかったんですよ。この作品をきっかけに「どういう世界なんだろう?」と興味を持ちました。実際に観に行ってみたところ、ものすごく面白くて。そんな僕みたいに、作品を通じて誰かにきっかけを与えられたら素敵だなと思ったのも、企画の発端の一つですね。

——先ほど、「第1巻の表紙に惹かれた」というお話がありましたが、今回のアニメ化は第1巻からではなく、その前日譚を描いた『シーズンゼロ』からのスタートですね。

諏訪 実はここはちょっと迷った部分でした。当初は、一つのアイデアとして、「アニメに先駆けてドラマCDで『シーズンゼロ』を描き、アニメでは第1巻から描いていく」という選択肢もあったんです。さらさと愛の関係性が出来上がった状態の第1巻の物語からアニメを始めるという構成も素敵だとは思ったのですが、二人の出会いや心が通うシーンはアニメで観たいという気持ちもあって。それで『シーズンゼロ』からのスタートという構成になりました。この作品の軸となるさらさと愛のバディ感は、『シーズンゼロ』の物語があってこそ生まれるものですし、ほかにも予科生の活躍シーンもたっぷりと描かれています。アニメでもそこは丁寧に描いていきたいと思ったんです。

——この作品をアニメ化するにあたって、諏訪さんが「ここは絶対に大切にしたい」と考えた肝となるポイントはなんですか?

諏訪 「各キャラクターの気持ちは、どんな小さな動きも無駄にしないこと」ですね。僕が原作を読んで素敵だなと思ったのは、やっぱり、キャラクターそれぞれの心理描写の繊細さだったんです。つらいことに直面しても、グッと歯を食いしばって夢に向かって歩き続ける。そんな彼女たちの素敵な姿を伝えるためにも、各々の心の機微は丁寧に描きたいと思いました。この作品は登場人物が多いですけども、それぞれの気持ちをきちんと吸い上げていくことが物語全体をより輝かせるだろうと思っていて。だからこそ、そこは一番大事にしたかったですし、絵も、芝居も、音楽も、同じ方向を向いてくださるクリエイターの方々に作り上げていただきたいと考えていました。

——米田和弘監督の起用も、そのような観点からだったのですか?

諏訪 そうですね。米田監督とは以前に別作品でご一緒したことがあったのですが、そのときから原作に真摯に向き合ってくださる方だと感じておりました。原作の魅力に対する理解度が深く、それを丁寧に緻密に描くことに全力で取り組まれる方だな、と。今回も、すごく原作を読み込んでくださり、さらに制作にあたってミュージカルの世界についてもとても熱心に勉強されていました。もともとは米田監督も僕と同様、ミュージカルに対して造詣が深いわけではなかったそうなんです。でも、一度一緒に宝塚歌劇団の公演を観に行ったところ、ドハマりされたようで。今では、生涯の趣味になるんじゃないかというくらいの宝塚マニアになっていますね(笑)。好きだからというのもあるのでしょうが、各団員さんを研究したり、過去の演目をたくさん見たりして、この作品のディテールに活かそうとすごく試行錯誤されていて。米田監督のそういう職人気質な部分は、まさにこの作品にピッタリと合っていたと思っています。また、米田監督は、この作品のもう一つの要素でもある歌舞伎にも造詣が深くて。そういう意味でも、『かげきしょうじょ!!』の監督は米田さんをおいてほかにいなかっただろうと感じますね。監督の深い原作愛とミュージカルへのリスペクト、瑞々しい感性と論理的な思考が、映像の随所に表れていますので、ぜひ細部まで注目してほしいと思っています。

——歌劇の世界を描く『かげきしょうじょ!!』には、歌も欠かせない要素だと思います。キャラクターソングに関する展開も、諏訪さんの中では企画段階で既にイメージとしてあったのでしょうか?

諏訪 そうですね、歌劇の世界を描くこの作品の音楽とは、正面から向き合いたいと当初から考えていました。その中で、宝塚歌劇団や舞台のお仕事も多くやられている斉藤恒芳さんに音楽をお願いした形です。僕は斉藤さんとも以前別作品でご一緒したことがあったのですが、そのときは劇伴だけだったので、歌でもご一緒したかったという気持ちもありました。今回は劇伴に加え、キャラクターが歌うエンディング曲や劇中歌も作詞・作曲・編曲を斉藤さんに手掛けていただきました。とんでもない量の楽曲を作ってくださり、本当にありがたい限りです。

(C)斉木久美子・白泉社/「かげきしょうじょ!!」製作委員会

アニメージュプラス編集部