• 【細田守インタビュー・後編】ネットの世界があるという前提で強く育ってほしい
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2021.07.18

【細田守インタビュー・後編】ネットの世界があるという前提で強く育ってほしい

(C)2021 スタジオ地図

7月16日(金)公開の細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』は、10代の少女の悩み、迷い、葛藤、直面する現実を描きつつ前向きで力強い希望を感じさせてくれる、胸躍るエンタテインメント映画だ。
主人公は、全世界から50億人が集うインターネット上の仮想世界インターネット上の仮想世界〈U(ユー)〉に、“もうひとりの自分” として参加することになる女子高校生の内藤鈴(すず)。
内気なすずは〈U〉の歌姫・ベルとなり、誰もが「自分のために歌ってくれている」と感じられるような不思議な歌声で、たちまち世界中の人気者になっていくのだが……。
そんなストーリーと映像に込められた思いを、細田守が語るロングインタビューでお届けしよう。

【インタビュー前編はこちら】もうひとりの自分と向き合い強くなる主人公

【画像】『竜とそばかすの姫』場面カット(写真14点)

それでもなお、ネットの世界を肯定的に

ーー主人公の内藤鈴(すず)は「ベル」としてインターネット世界の歌姫になりますが、それは「ネットで夢を叶えた」ということではなくて。逆に困惑し、難しい状況に巻き込まれていきます。

細田 インターネットも「夢の世界です」じゃないっていうことですよね。インターネットの中で歌姫をやるのも生やさしくないですよっていうことだけど、その中で何を勝ちとるかが大事だと思うんです。

——「生やさしくない」と描きながら、それで絶望するのではなくて。「でも、そこで頑張って生きてほしい」という想いが映画全体のトーンになっていますよね。

細田 そう、最終的にはそれでもなお、ネットの世界というものを肯定的に捉えられるような作品にしたいとは思っていました。というのも、『ぼくらのウォーゲーム!』や『サマーウォーズ』でネットを肯定的に描いてきましたが、世界の映画監督の中でもこれだけネットを肯定的に描く監督は僕くらいだと思うんです(笑)。

ーー確かにそうかもしれないですね。

細田 他の人はもっと否定的に、ネットに対するアンチテーゼとして映画を作ることが多いですが、僕はアンチテーゼのように見えて実はそうじゃない地点に、最終的に達したいと思っています。要は、現実世界とインターネット世界のどっちが正しいか、善か悪か、という二項対立にはしたくない。おそらくはどっちも本当の世界で、どっちの世界の自分も “本当の自分” なんですよね。たとえば、ツイッターやインスタグラムのアカウントごとに、それぞれ性格の違う自分をいくつも持っているのが今でしょう。裏アカとかがあったりね。そんな状況で建前と本音の境界線が本人にすら曖昧になる、なんてこともあるかもしれないけれど。そういうことを肯定できるかどうかというのがカギだと思う。そして、主人公が若い子だとしたら、やはりそこに希望を託したい。そういうことに惑わされないで、インターネットの世界があるという前提で、強く育ってほしいという想いを、今回の映画には込めています。

(C)2021 スタジオ地図

アニメージュプラス編集部