現在絶賛放送中のテレビアニメ『ゲッターロボ アーク』は、初の原作準拠によるアニメ化、作画を担当した漫画家・石川賢のテイストを前面に押し出したスタイルが大きな話題を呼んでいる。『アーク』をより楽しむには、石川賢のコミック版の魅力も併せて知るべき! ゲッター線をもっとも強く浴びた脚本家にして、編集者時代に『アーク』コミックの担当を務めていた中島かずきさんに、石川ゲッターとの出会いから『アーク』原作誕生の過程を語ってもらった。(全2回・前編)
――さっそくですが、中島さんと『ゲッターロボ』(~『ゲッターロボG』)原作コミックとの出会いからお話をうかがいたいのですが。▲「ゲッターロボ・サーガ」の原点となる1作。
(C)1974-2021 Go Nagai・
Tetsuko Ishikawa/Dynamic Production
中島 出会いは『週刊少年サンデー』の連載です。アニメが始まるより先に、漫画が始まっていたんですよ。その頃は少年誌をみんな読んでいて、石川(賢)さんも好きな作家だったので、楽しみに読み始めました。もう中学生だったので、いわゆる「テレビ番組のコミカライズ」というのは理解していたんですが、連載1回目からその枠を遥かに超えたテンションをぶっこんできて、「いいぞいいぞ!」と盛り上がって。
――ロボットバトルかと思いきや、まさかの流竜馬のケンカ空手バトルから始まるという。中島 一見『空手バカ一代』みたいな、掟破りの展開に驚きましたね。さらに「隼人の校舎」で「おおお!」となり、地リュウ一族の時の敷島博士のキャラに「こりゃたまらん!」と(笑)。
――通常のロボットアニメと一味違う、ハードで血なまぐさい戦いが続きます。途中、竜馬が敵の攻撃を受けて、顔中にガラスの破片が突き刺さった描写がまた衝撃的で。中島 ドキドキしましたよねー、このまま終わっちゃうんじゃないかって。
――連載は後に『冒険王』に移籍して終了しますが、中島さんが選ぶベストエピソードは何でしょうか。▲敵と掲載誌が変わり、新たな戦いが展開した『ゲッターロボG』
(C)1974-2021 Go Nagai・
Tetsuko Ishikawa/Dynamic Production中島 恐竜帝国編のラスト、ゴールの最期で本当に震えました。新ロボと敵戦力のチェンジ、さらに恐竜帝国側にもドラマがあるっていうことをひっくるめたあの物語性――コミカライズの枠組みの中で、これだけ滾るドラマが描けるんだっていうのが本当に目からウロコで。そこで『ゲッターロボ』は並の漫画ではないって思いました。
――あのエピソードは、ずっとテンションが上がりっぱなしですからね。中島 本当に! その前にムサシの最期も描かれますから。