• 中島かずきが語る石川賢『ゲッターロボ』の魅力と『アーク』誕生の秘密!
  • 中島かずきが語る石川賢『ゲッターロボ』の魅力と『アーク』誕生の秘密!
2021.07.18

中島かずきが語る石川賢『ゲッターロボ』の魅力と『アーク』誕生の秘密!

『ゲッターロボ アーク』へと繋がるサーガの歩みを振り返る! (C)永井豪・石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所



――さて、91年に入って突如続編である『ゲッターロボ號』のアニメ・マンガ連載がスタートします。やはり興奮の気持ちで迎えた感じでしょうか。
▲マンガは91~93年に連載、アニメは91~92年に放送された。 
(C)1974-2021 Go Nagai・Tetsuko Ishikawa/Dynamic Production

中島 やっぱり「私は神……神隼人!!/これから先貴様に地獄を見せる男だ!!」っていうセリフに震えましたね。

――連載1回目最後のセリフですね。

中島 でもアニメと同時進行ということもあったのか、石川さんが描いた物語の割にはスケール感がちょっと窮屈な感じがしたんですね。もっと無法にいけるはずなのに、やはりコミカライズの制約みたいなものがあるのかなっていう気がして読んでいました。アニメが終わってからの展開からフルにエンジンがかかって、そこからどんどん自分が描きたかったゲッターの物語のスケールになった気がしますね。あと、もしかして號というロボットが描きにくいのかなって思ったりもしたんですよ。

――あ、確かに後半退場して、真ゲッターが登場しますね。

中島 そうそう、自分の描きやすいやつに描き直したんじゃないかと(笑)。

――その後、中島さんは双葉社の編集者として『スーパーロボット大戦』のアンソロジーコミックを入口に『ゲッターロボ』そして石川賢先生と関わることになります。

中島 以前に(劇団)新感線のチラシを石川さんに描いていただいたことがあって(96年『野獣郎見参』)、その時に石川さんとはお会いしていたんですが、その一方で『スーパーロボット大戦』の攻略本の編集担当としてダイナミック企画さんとやり取りをしていたんです。打ち合わせの中で、『スーパーロボット大戦』のコミカライズが可能だという話を聞いて、「つきましては、石川さんに『ゲッターロボ対ゲッターロボG』をお願いできませんか」と打診したんです。

石川さんは「いやあ、ゲッターロボって本体焼けて壊れてるから」と言ったんですが、「ゲームの中ではロボット博物館に保存されていることになっているんです。地リュウ一族の末裔に盗まれたGを取り戻すため、ゲッターロボに竜馬たちが乗って戦う話をやってくれませんか」とお願いしたんです。

――かなり具体的に物語のガイドを提案されたんですね。

中島 はい。「6機のゲットマシンがくんずほぐれつ飛び交うシーンが観たいんです!」って。

――そこから『ゲッターロボ・サーガ』が再起動することになるんですね。

中島 はい。でもゲームのコミカライズの体での展開は限界があるので、じゃあ定期的に石川さんに描いていただこうと。そこで僕は「地獄の釜の蓋を開けることになるな……」とは思いつつ(笑)、「『ゲッター』と『號』の空白の7年間で早乙女研究所に何が起こったのかを見たいです」ってお願いしたんですよ。

――それが『真ゲッターロボ』ですね。原稿を受け取る時も毎回楽しみだったんじゃないですか。
▲ゲッターロボの世界をさらに拡大した連作シリーズ。 
(C)1974-2021 Go Nagai・Tetsuko Ishikawa/Dynamic Production

中島 本当に楽しみでしたね。最初にそういう話をしただけで、その後ほとんど打ち合わせはしなかったんです。石川さんが思うままに描いてほしかったし、通常の担当仕事はダイナミックプロのお仕事でしたから、僕は本当に原稿をいただくときにちょっと軽く話をして、打ち合わせ……というより雑談をするだけ。作品の一番目の読者でしかなかったんです。

――当時のやり取りの中で印象に残っていることは?

中島 今でも覚えてるんですが、ある時、ネームをもらうためにマネージャーさんに電話をしたら、「とんでもないことになっていますよ! とりあえずFAXで送るから見てください」って。そしたら、これがゲッターエンペラー登場の回で……もう本当にとんでもないことになったな、と思いました。

――地獄の釜の蓋が開いた瞬間ですね(笑)。さて、『真ゲッターロボ』が一段落して、いよいよ『アーク』が始まります。企画はどのような形でスタートしたのですか。

中島 『スーパーロボット大戦』関連の書籍が好調だったので、『スーパーロボットマガジン』という雑誌を立ち上げることになって、これには絶対に石川さんのゲッターの新作がほしい、と。またしても地獄の釜の蓋を開けることになるなと思いつつ、お願いに伺ったんですよ。そんなに抵抗なく「うん、いいよ」くらいの感じで受けてもらった記憶があります。

――また人類と恐竜帝国との因縁が描かれることになりましたが……。

中島 『真ゲッターロボ』でこれまでのシリーズとの間を繋ぐ仕事をされていた流れで、こういう物語になっていったんじゃないかという気がするんですね。

――打ち合わせでは、どのようなやり取りが。

中島 ちょっと細かいことは忘れてるんですが、「次世代の話にしましょう」と。あとは石川さんにお任せです。ひとつだけ、カムイは恐竜一族と人間のハーフにしましょう、と自分から提案しました。

――それはどういう理由から?

中島 本当にフラッシュアイデアでしかないんですよ、そのほうが面白いんじゃないかっていうだけのことで。深く考えていたわけではないですが、恐竜帝国が滅んでいないことが僕は気になっていたから出したところがありました。でも恐竜だとゲッターに乗れないから、ハーフにしましょうと。

>>>石川賢原作イラスト・『ゲッターロボ アーク』場面カットを見る(写真12点)

アニメージュプラス編集部

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