• バトルから見える漫画家と編集者のリアル!「少年ジャンプ+」の注目企画「MILLION TAG」
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2021.08.05

バトルから見える漫画家と編集者のリアル!「少年ジャンプ+」の注目企画「MILLION TAG」

「MILLION TAG」番組キービジュアル

集英社のマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+(プラス)」が現在、漫画家を発掘する番組「MILLION TAG(ミリオンタッグ)」をYouTube「ジャンプチャンネル」で配信している。
新人漫画家が編集者と6組のタッグを組み、デビューを目指し競いあうというこの企画。
6組のタッグは「少年ジャンプ+」が用意した4つの課題に取り組み、最終課題で第1位を獲得した優勝者には賞金500万円のほか、「少年ジャンプ+での連載確約」「優勝作品の単行本化」、さらに「優勝作品のアニメ化」まで約束されるという豪華な副賞が用意されている(詳しくは公式サイトを参照)。

番組は、課題に挑む新人漫画家と編集者の様子がドキュメンタリータッチで映し出されるという内容で、新人漫画家にとって大きなチャンスであると同時に、漫画ファンにとっても興味深い内容となっている。
漫画家と編集者の打ち合わせは、どのように行われるのか。
漫画家はどのように作品を生み出し、編集者はそこへどのように手を貸すのか。
漫画家と編集者はどんな距離感で接しているのか。
また、参加している漫画家、編集者はそれぞれにタイプが異なり、各々が独自のスタイルで作品を生み出していく様子が見られるのも、この番組の注目点となっている。

現在、番組は第5話までが配信されており、8月6日(金)公開の第6話では第3課題「読切ネーム+キャラ絵」の制作に密着、そして第3課題の結果発表までが行われる。
注目の第6話を前に、この番組を企画したきっかけ、狙い、実施してみての手応えなどについて、「少年ジャンプ+」編集長の細野修平(ほその・しゅうへい)と、副編集長で今回の企画にも参加している林士平(りん・しへい)に話を聞いた。
▲林副編集長(左)と細野編集長(右)
>>>【画像】「MILLION TAG」番組の様子(写真9点)

【漫画家と編集者の多様な関係性】

——「MILLION TAG(ミリオンタッグ)」というユニークな試みは、そもそもどんな意図からスタートしたのでしょうか。

細野 最初は今のような形の番組として配信するといったことは、まったく考えていませんでした。きっかけは、「少年ジャンプ+」のブランド価値を高めるような企画ができるといいよね、という考えからでした。そこで、ジャンプ+の一番の売りはなにかと考えたときに、やはり編集者・編集力かなということで、それを伝えるためには、漫画家さんとの打ち合わせ風景を見せるのがいいのではないかということになりました。でも、ただ打ち合わせ風景を映しているだけでは、多くの方に興味を持っていただけるものにならないし……と、話していくうちに「バトル形式のオーディションをドキュメンタリー風に構成する」という、今の企画の形になっていきました。

——実際に企画が実現して、今のところの手応えはいかがですか。

細野 やってみてよかったなと思っています。ひとつは、見てくださった視聴者の方からのいい反応をいただけていることですね。「こんな風に編集者さんはアドバイスをしてくれるんだ」、「こんな風に打ち合わせができるのか」など、まさに僕らが意図していたような反応が返ってきているので、そこは本当によかったですね。あとは、自分自身が出演していない部分を見て思ったのが、番組としても客観的に非常にいい形になった、と。そして、これをきっかけに漫画家さんたちに「ジャンプ+っていい編集部だな」と思っていただけて、投稿してくれる方がさらに増えてくると、なおいいなと思っています。

 僕は企画の立ち上げから関わって、いろいろアイデア出しもしていたので、ちゃんと形になってよかったな、という感じです。思った以上に大変な労力がかかってしまったというのはありますが(笑)。それから、「若い編集者たちはこういう風に作家さんとコミュニケーションをとっているのか」とか、他の人(編集者)の仕事が見られるのも面白いです。各人、全然スタイルが違いますから。視聴者や漫画家志望者にも、そこを観ていただけるとありがたいですね。特に漫画家志望者の方が「自分と噛み合いそうな人がいる」と思って、うちの編集部に持ち込んでくれる人が増えたらいいなと思っています。

細野 確かに、編集者それぞれで仕事のスタイルは全然違いますからね。漫画家さんにとって自分と合う編集者がいるかどうかってことは、すごく大事なことだと思うので。とにかく、いろいろなタイプがいることがわかってもらえればいいですね。

——おっしゃるように、作家さんはもちろんですが、編集者にもそれぞれ個性がある。それが見られるのも今回の番組の楽しいところです。やはり、いろいろな編集者の方がいるんですね。

 むしろ、いろいろいたほうがいい、が正解じゃないでしょうか。同じ色に染まっていくと出てくる作品も同じになってしまうので。僕が編集部に入ったときには、キャラ立ちしない編集者はダメだ、みたいな空気がありましたよ。

細野 そんなのあった?(笑)

 いやいや、絶対ありましたよ(笑)。先輩編集者から「お前はどんなキャラなんだ?」っていう圧迫感がヤバかった。まあ、それは昔の話で。今はもう、それほど強制される空気はないですけどね。

——漫画家さんや編集者さんとの関係性も、やはり昔から変わってきたところはあるんでしょうか。

 時代では括れないですよね。そこもやはり、個々人です。昔も今も、すごくドライなコンビだけどうまくいっているケースもあったし、本当に家族みたいに濃密なお付き合いでうまくいっているコンビもいます。

細野 編集者による個人差もあるし、相手の漫画家さんによっても変わります。同じ編集者でも、ある漫画家さんとはビジネスライクに付き合って、別の漫画家さんとは家族ぐるみで、みたいに使い分けたりもします。むしろ、どういうスタンスが相手の作家さんにとって心地いいのかを、気にしている人が多いと思います。

 作家さんによって好みがわかれますからね。ベタベタするのは嫌だっていう人もいるので。

アニメージュプラス編集部