• 『機動戦士ガンダム』OVA3作が深化させた宇宙世紀の戦場のリアル
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2021.08.24

『機動戦士ガンダム』OVA3作が深化させた宇宙世紀の戦場のリアル

『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』(C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS

現在大ヒットを記録中の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。本作をきっかけにして、改めてアムロ・レイとシャア・アズナブル、そして地球連邦とジオン公国の間でくり広げられる戦いの歴史に注目が集まっている。
『閃光のハサウェイ』へと繋がっていく宇宙世紀(U.C.)を背景としたガンダムシリーズの魅力を紹介する連載企画の第2回は、宇宙世紀という作品世界を歴史という縦軸ではなく、語られていなかった別の戦場の姿を描き、世界観の歴史の裾野とディテールの深化をはかった3作のOVA作品『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(89年)、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』(91年)、『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』(96年)にスポットを当て、各作品が掘り下げた宇宙世紀の出来事を追っていこう。

『機動戦士ガンダム』初の外伝作品『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(以下、『ポケットの中の戦争』)が最初に制作されたのは、1989年。アムロ・レイとシャア・アズナブルの決着が描かれる『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』が前年に公開され、富野由悠季監督によるガンダムサーガが一度幕を下ろした中で、当時テレビ、劇場に続くアニメ作品の新たな発表の場となっていたオリジナルビデオアニメとして制作されることになった。監督は、『超時空要塞マクロス』などの演出を務めていた高山文彦が務めた。

一年戦争末期、サイド6のコロニー〈リボ−〉に住む少年アルフレッド・イズルハ(アル)は、新型ガンダムの奪取を目的としたジオン公国の特殊部隊〈サイクロプス隊〉の一員としてサイド6に潜入した若きジオン兵バーナード・ワイズマン(バーニィ)と出会う。アルはバーニィやサイクロプス隊のメンバーと交流し彼らの任務を手伝うが、その先には戦争の悲惨な現実が待っていた……。
▲『0080 ポケットの中の戦争』よりアル(左)とバーニィ。

モビルスーツによる戦闘は抑え気味にしつつ、ひとつのコロニー内に絞った舞台設定、主人公を一般人の少年に据え、人間ドラマに重きを置いた作劇は、ガンダム作品の幅を大きく広げることに成功した。それまでプラモデルや模型雑誌などを中心に展開してきたメカニックデザイン企画「MSV(モビルスーツバリエーション)」などでは、テレビシリーズでは描かれなかった戦場や設定について言及されてきたが、アニメ作品として、しかも富野由悠季監督が手掛けない本作が登場したことで、ガンダムを題材とした作品の幅が拡大するきっかけを作ったことは間違いない。
ちなみに、タイトルの「0080」は、宇宙世紀0079年の1月から始まった一年戦争が、宇宙世紀0080年1月1日に終戦を迎えることからつけられたものである。

『ポケット』の作品的な成功を受けて、外伝第2弾となるOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』が1991年に発売された。モビルスーツの戦闘シーンが多い巻が売れたという『ポケット』の実績から、企画段階から「ガンダム対ガンダム」、「メカによる戦闘描写を多くする」という内容に重きを置いて制作がスタートした作品でもある。
作品の舞台は、タイトルにもある宇宙世紀0083年。『機動戦士ガンダム』の舞台0079年と『機動戦士Zガンダム』舞台である0087年の間に何が起こったかという、歴史的なミッシングリンクを埋める形となっており、その後『機動戦士ガンダムUC』などにもこの手法は受け継がれることとなる。

ジオン残党軍であるデラーズ・フリートが、地球連邦軍から核弾頭を発射可能なガンダム試作2号機を強奪。ガンダム試作1号機を擁する地球連邦軍の強襲揚陸艦アルビオンは、ガンダムを取り戻すために追撃を開始する。しかし、ガンダム強奪は、デラーズ・フリートが計画する「星の屑作戦」のきっかけに過ぎなかった……。
ジオン残党軍による武装蜂起が、その後の連邦軍内の過激な軍閥・ティターンズ誕生へと繋がるというストーリーラインを、『機動戦士ガンダム』に影響を受けた世代のスタッフが集まって制作。メカ設定はもちろん、ミリタリー的なディテールにこだわった作画・演出、緊迫感のある作戦展開の作劇など、ファンから高い評価を得ることになった。
▲『0083 STARDUST MEMORY』よりガンダム試作3号機.「デンドロビウム」。

C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS

アニメージュプラス編集部